【トリビア裏話】映画の効果音の正体!あの音はまさかのセロリ⁉

三谷幸喜監督の映画『ラヂオの時間』では、終盤、めまぐるしく変わるラジオドラマのストーリーにとうとう効果音が揃わない状態が発生。
ピンチを切り抜けるために、元伝説の音効スタッフの守衛さんの活躍が描かれていました。
彼が使用していたのは小豆や掃除機など私たちの身近にある意外なモノでしたが、実際の映画ではどんなものを使って効果音を生み出しているのでしょうか?

効果音01 人を殴る音(パンチ音)

『レイジング・ブル』

『レイジング・ブル』はマーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロがコンビを組んだドラマ映画。

サウンド・デザイナーのフランク・ワーナーは動物のうめき声や金属のぶつかる音を合わせてリアルなボクシングの音を作り上げました。

ちなみに今作で実在のボクサー、ジェイク・ラモッタを演じたロバート・デ・ニーロの役作りも語り草になっています。

関連記事:デ・ニーロ・アプローチとは?ロバート・デ・ニーロの役作りエピソード

『ファーナス/訣別の朝』

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ノーブランド品

『ファーナス/訣別の朝』はクリスチャン・ベール主演の2013年の映画。同作でサウンドデザインのチームは、よりよいパンチ音のためにあらゆる試行錯誤をしたことが明かされています。

マーシャルアーツの選手を呼び、実際の人を殴る音を撮ったのはもちろん、ザ生地の固まりや、濡れたタオルの上に置いた肉の厚切り、ウォーターメロンなど、様々なものを殴ってもらったのだそう。

『ファイト・クラブ』

『ファイト・クラブ』は1999年のデヴィッド・フィンチャー監督の作品です。この作品は内容もさることながら、デヴィッド・フィンチャーのスタイリッシュな映像美、そして効果音も細かい工夫がなされています。

「しかし、過去のパンチ音はセロリの束をラップで巻き、へし折った音を使っていたため……」

「乾いた音になってしまい、リアルさに欠けてしまうという問題がありました」

「そこで、私たちは鶏肉をたたくという方法を試すことにしました」

「その後、試行錯誤を繰り返した結果、鶏肉の中にクルミを入れてたたいた音と……」

「伝統的なパンチの音と合成することで、リアリティーのあるパンチ音を生み出すことができました」<

出典:映画「ファイトクラブ」の人を殴るリアルな音はどうやって再現しているのか? – GIGAZINE

効果音02 鳴き声

『ジュラシック・パーク』

スティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』では、T-レックスの鳴き声を作成するのに、なんと小型犬が採用されました。ジャック・ダニエル・テリアの鳴き声の再生速度を遅くし、ティラノサウルスのうなり声をつくっているとのこと。

ちなみにヴェロキラプトルの声はイルカとセイウチの鳴き声をもとにしているそうです。

『ゴジラ』

日本が世界に誇る怪獣王、ゴジラ。その鳴き声にはコントラバスが使われています。

ゴジラの鳴き声は伊福部の発案で、外したコントラバスの弦を松ヤニをつけた皮手袋でしごいて起こした音を、音響技師の三縄一郎が加工して使用している。この「ゴジラの声」は、以後の作品でもさらに加工して連綿と使用されている。

出典:ゴジラ (1954年の映画) – Wikipedia

効果音03 ライトセーバー

『スターウォーズ』

『スターウォーズ』で使用されたライトセーバーの音は映写機のモーターの音とブラウン管の音を組み合わせただけのものだそう。意外と映画スタッフの身近なもので構成されていたんですね!

 

刀で斬る音

刀で斬る音は野菜のセロリをめった刺しにするときの音が使われることがあるとのことです。

また、『リディック:ギャラクシー・バトル』や『フライト』、マット・デイモン主演の『エリジウム』など、様々なハリウッド作品で効果音を担当されている小山吾郎さんは人を刺すときの音にはセロリとグレープフルーツを愛用しているとのことです。

セロリとグレープフルーツは大好きですね。グレープフルーツは人間の体や動物の体を刺す音を作る時に使います。皮が固くて、実も肉厚で、汁が入ってるので、ピッタリの音が出るんですよね。重宝しています。

出典:野菜や果物で映画の効果音を作り出す! 「フォーリー・アーティスト」ってどんな仕事? | ガジェット通信 GetNews

その他

『ターミネーター2』

1991年公開のジェームズ・キャメロン監督『ターミネーター2』。その中で大きなインパクトを残したのが液体金属製のターミネーターT-1000でした。T-1000が液体のときの効果音の正体はなんとドッグフード。

サウンドデザイナーのゲイリー・ライドストロムによって、ウェットタイプのドッグフードを床に落とした時のサウンドをもとにT-1000の効果音は作られているのです。

 

本物の音にこだわる映画監督

さて、ここまで効果音の作り方を紹介してきましたが、一方本物の音にこだわる映画監督もいます。一人は『ヒート』や『パブリック・エネミーズ』の監督、マイケル・マン。
そしてもう一人は世界のキタノこと北野武監督です。

北野武監督は映画『アウトレイジ 最終章』のインタビューにおいて次のように音へのこだわりを話しています。

(ガンエフェクト師の)納富(貴久男)さんと拳銃の音を聴き比べて。マニアックな人は、みんな音を聞けば分かるんだよね。結局は弾入ってないし、相手が死ぬわけじゃないんだけど、どこかで凝りたいじゃない? 音まで偽物だとつまらないよね。だから、リアルにできるものはした方がいいと思って。
出典:北野武監督、周囲に委ねて「俺のやり方でやる」 – 18作の歴史が刻まれたアウトレイジ表現法 【短期連載 暴走の黒幕】 (1) 音楽・鈴木慶一に頼んだ「失礼なこと」 | マイナビニュース

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