『ディア・ハンター』は1978年に公開されたマイケル・チミノ監督ロバート・デ・ニーロ主演の戦争映画。
ベトナム戦争を描いた作品の中でも代表的なもののひとつで第51回アカデミー賞並びに第44回ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞を受賞しています。
今回はそんな『 ディア・ハンター』からトリビア・裏話をご紹介します。
過酷なダイエットに挑んだクリストファー・ウォーケン
マイクの友人でともにベトナムへ向かう役柄を演じたクリストファー・ウォーケン。
クリストファー・ウォーケンはベトナム戦争で疲弊しきった役柄を演じるため、1週間米とバナナと水だけを食べ続けたという逸話があります。
過酷なベトナム戦争の撮影
『ディア・ハンター』においてベトナム戦争のシーンはわずか30分程度ですが、監督のマイケル・チミノは、ロバート・デ・ニーロ、ジョン・サヴェージ、クリストファー・ウォーケンらに一ヶ月の間着替えも髭剃りもシャワーも禁止させます。
病をおして出演したジョン・カザール
鉄工場でマイクらとともに働く友人のスタンを演じたジョン・カザールですが、実はこの時すでにカザールは末期がんに侵されており、スタジオ側はカザールの起用に反対していました。しかし、当時のカザールの婚約者だったリンダ役のメリル・ストリープやロバート・デ・ニーロの後押しもあり、カザールはスタンを演じ切りました。
その後ジョン・カザールは本作の完成を観ることなくに他界。本作『ディア・ハンター』はジョン・カザールの遺作となっています。
メリル・ストリープの本心
今作でヒロインに抜擢されたのは当時まだ映画デビューを果たして間もないメリル・ストリープでした。彼女を抜擢したのはロバート・デ・ニーロでした。デ・ニーロはアントン・チェーホフ作の『桜の園』の舞台でのメリル・ストリープを見て『ディア・ハンター』のヒロインに推したのです。この時点でストリープが出演した映画は何一つ公開されていませんでした。
一方のメリル・ストリープは『タクシードライバー』のデ・ニーロを観て女優を志したといいます。
ロシアンルーレットの真実
『ディア・ハンター』を批判する声として最も大きいのは「実際のベトナム戦争では映画のようにロシアンルーレットは行われていなかった」ということでしょう。
今作でも健在の「デ・ニーロ アプローチ」
戦地へ赴く主人公たちの出身地がピッツバーグだったことから、ロバート・デ・ニーロも役作りの一環としてピッツバーグで暮らしました。さらに役柄と同じく鉄工所でも働こうとしましたが、さすがに現地の人に拒否されたという逸話があります。
カザールの銃は実弾が入っていた
ベトナム帰還兵となったマイクが戦争のトラウマを追ってしまったことがはっきりとわかるのが帰還後狩猟に行ってもシカに対して引き金を引けなくなっているシーンと、その後銃を振りかざす弱気なスタンから銃を奪い、スタンに突きつけるシーンでしょう。実はこのシーンではデ・ニーロが「実弾入りの銃を使えば、演技がもっと良くなる」と監督のチミノに提案したといいます。スタン役のジョン・カザールもそれを了承。このシーンでは実弾入りの本物の銃が使われました。