【感想 レビュー】「ドリーム」NASAを支えた黒人女性の実話

「ドリーム」は2016年公開のアメリカの伝記映画です。

60年代のアメリカの有人宇宙飛行計画のマーキュリー計画をテーマにしています。

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「ドリーム」のスタッフ・キャスト

監督
セオドア・メルフィ

脚本
アリソン・シュローダー
セオドア・メルフィ

原作
マーゴット・リー・シェッタリー
『Hidden Figures』

出演者
タラジ・P・ヘンソン
オクタヴィア・スペンサー
ジャネール・モネイ
ケヴィン・コスナー
キルスティン・ダンスト
ジム・パーソンズ

「ドリーム」のあらすじ

1961年、アメリカはソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた。NASAのラングレー研究所には、ロケットの打ち上げに欠かせない“計算”を行う優秀な黒人女性たちのグループがあった。そのひとり、天才的な数学者キャサリンは宇宙特別研究本部のメンバーに配属されるが、そこは白人男性ばかりの職場で劣悪な環境だった。仲の良い同僚で、管理職への昇進を願うドロシー、エンジニアを目指すメアリーも、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた。それでも仕事と家庭を両立させ夢を追い続けた3人は、国家的な一大プロジェクトに貢献するため自らの手で新たな扉を開いていくのだった……。

出典:http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
映画『ドリーム』オフィシャルサイト| 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント

感想・レビュー

ライアン・ゴズリング主演の『ファースト・マン』を観てから、アメリカの宇宙開発の歴史に興味を持ってしまって。。

『ファースト・マン』では、宇宙飛行士であるニール・アームストロングに焦点を当てた物語でしたが、今回は対となるNASAの職員にフォーカスした作品です。

さて、この『ドリーム』、劇場公開時には『ドリーム 私たちのアポロ計画』という副題つきで公開されたのですが、実際の映画の内容はアポロ計画の前身であるマーキュリー計画についてだったことから邦題詐欺では?との声も大きく、ソフト化される際に『ドリーム』というタイトルに改題されました。

NASAの職員として働く三人の黒人女性を主人公にした本作。

アメリカ初の有人宇宙飛行計画の成功に向けて働く彼女たちですが、そこにはまだ当時アメリカで根強く残っていた人種差別の問題が降りかかります。

NASAの所在地はアメリカ南部のテキサス州ヒューストン。もともと工業による経済発展を目指した北部と違い、南部は農業が盛んで、そのために労働力の確保を目的とした奴隷制度が広まりました。余談ですが、このことが南北戦争の原因のひとつにもなります。

そして、南部では1964年までジム・クロウ法と呼ばれる、白人と非白人でそれぞれ場所を分ける、人種差別的な法律が施行されていました。

映画のなかでも、黒人であるキャサリンは白人の同僚とは使うトイレやコーヒーポッドまで区別されていました。

しかし、史実では50年代の終わりにはすでにNASAではそうした人種による場所の区別は撤廃されています。

しかし、心の中の差別はそう簡単には消せないもの。

女性計算手のキャサリンは宇宙特別研究本部で同僚のスタッフォードからは露骨に嫌な顔や嫌がらせをされます。

もちろんドラマを盛り上げるためには加えて60年代になっても人種差別が制度としてもNASAで横行していた方が盛り上がりを生むのは明白です。

しかし、この映画は61年の段階で実際に彼女達が置かれていた状況よりもさらに悪い状況に置かれていたかのように見せるんですね。

感動の実話として製作されることと、そのために人種差別がドラマを盛り上げる材料のように付け足されていることには少し違和感があります。

とはいえ、ケビン・コスナー演じる、キャサリンのボスのハリソンがキャサリンのためにトイレの「白人用」の表札を壊すシーンに最も胸を打たれました。

気難しくて、とっつきづらい人でも、内面に本当に大切なものをきちんと持っている。

キャサリンは用を足すにも一人だけ800メートルも離れたトイレに行かねばならず、また職場で彼女のコーヒーポットに手を触れる人すらいませんでした。

そんなひどい状況を涙ながらに訴えるキャサリンの想いに、ハリソンは一人しっかり応えているのです。

そこに最も胸を打たれました。

また、実話をもとにした作品にありがちなドキュメンタリータッチの描写ではなく、映画を音楽と色彩にあふれたリズミカルな物語に仕上げているのもポイント。

前述のように、史実とは異なる部分も多分にありますが、それでも彼女たちの努力と功績が色あせることはありません。

しかり、こうした宇宙モノの映画だと、どうしても宇宙飛行士に焦点が当たりますが、その裏で奮闘するスタッフを称えた作品は稀有であり、また一つの真実を私たちに伝えてくれています。

キャサリン、ドロシー、メアリーの三人はそれぞれ人種差別に直面しながらも、努力と行動によってそれらを跳ね返した彼女たちの功績は、今なおNASAの歴史に刻まれています。



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