【レビュー】スイス・アーミー・マン

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スイス・アーミー・マン、前からずっと観たかった作品ですね。

主演はダニエル・ラドクリフ。

ハリー・ポッターシリーズで華々しく子役としてデビューしながらも、ハリー・ポッターのイメージからいち早く脱出しようとしていたのもまたダニエル・ラドクリフではないでしょうか?

なんと今回は死体役!大胆な設定とアイデアの作品です。

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「スイス・アーミー・マン」のスタッフ・キャスト

監督
ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン
脚本
ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン
出演者
ポール・ダノ
ダニエル・ラドクリフ
メアリー・エリザベス・ウィンステッド

「スイス・アーミー・マン」のあらすじ

一人の男が遭難した無人島で孤独に耐えかねて首を吊ろうとしていた。

彼の名前はハンク・トンプソン。

そんな彼の前に現れた一人の倒れた男。

ハンクは首吊りを中断し、男に人工呼吸を試みるも、男はすでに死んでいた。

再度首吊りをしようとした男の目に写ったのは、死体の男がジェットスキーのように海へ進んで行く姿。

ハンクは男にまたがり、無人島からの脱出を目指す。

感想・レビュー

ダニエル・ラドクリフが死体役!

これまでもハリー・ポッターのイメージから脱却するかのように様々な役を演じてきたラドクリフ。今回はなんと死体役です。

タイトルの『スイス・アーミー・マン』とは、スイス・アーミー・ナイフから来ています。日本語でいうと十徳ナイフですね。

その名の通り、ただの死体のはずのラドクリフが様々な活躍をします。

・ジェットスキー

・水ポンプ

・話す

・方位磁針

・ライター

・矢

人生の喜びとは

人生の喜びとは何でしょうか?

当初は首を吊ろうとしていた男と、ただの漂着死体。

ハンクの身の回りに誰もいない孤独。

同じように誰もいない地で孤独に餓死した青年の人生を描いた『イントゥ・ザ・ワイルド』では、「幸せは誰かと分かち合ったときに本当になる」という言葉が出てきます。
それは主人公がその人生の終わりを前にしてようやくたどり着いた彼なりの答えでした。

この映画もそうなのだと思います。

ハンクはメニーと出会うことで何より孤独を忘れることができました。

なぜ死体なのか

ダニエル・ラドクリフ演じる死体のメニー、かなり早い段階から喋ります。

で、一過性のものじゃなくて、本編通してその後もずーーーーっとしゃべってるんですよね。

正直、死体じゃなくていいじゃん。。と思ったんですが、映画の後半になるとこの死体という設定が効いてきます。

死体、、、、それだけでどんな過去か、どんな人間だったのかを問われることなく避けられる存在。メニーに過去の記憶を持たせなかったのも、『死体』という表面的な状態をより強調したかったのかもしれません。

同じように、ハンクも『自分は醜く嫌われている』と思い込み、外の世界に一歩踏み出せない青年。

そう思うと『森』という環境はハンクとメニーだけの世界の象徴でもあります。

二人しかいない世界。誰に迎合することもない楽しい時間。ただこれでいいのか?という不安や悩みはある。また森の中にも熊のような危険もある。

後半、町へ戻ってきたハンクに向けられる視線は、死体の存在もあって、より厳しく、また冷たいものでした。

その中で必死にあがくハンクの姿。

バスで見かけた女性に声すらかけられない気弱さはありません。

そう考えるとハンクの成長の姿とも言えるでしょう。

ただ、それだと一般からみたハンクの異常性はそのままで、『フツーの人からみたら気が違っていたんじゃないか?』との思いを払拭できませんね。

それを嘲笑うかのように、ハンクと彼を追いかけた人々の前でメニーはまたジェットスキーになり、水平線の彼方に消えて行くのです。

そしてまたどこかで誰かのお役立ち死体になる。

なんたか寓話のような物語でした。