「ファーストマン」は人類史上初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの挑戦を、デイミアン・チャゼルとライアン・ゴズリングの『ラ・ラ・ランド』のコンビで映画化した作品です。
この記事のコンテンツの目次を見る
「ファーストマン」の予告編
「ファーストマン」のスタッフ・キャスト
監督
デイミアン・チャゼル
脚本
ジョシュ・シンガー
原作
ジェームズ・R・ハンセン
『ファーストマン: ニール・アームストロングの人生』
製作
ウィック・ゴッドフリー
マーティ・ボーウェン
アイザック・クラウスナー
デイミアン・チャゼル
出演者
ライアン・ゴズリング
ジェイソン・クラーク
クレア・フォイ
カイル・チャンドラー
コリー・ストール
キーラン・ハインズ
クリストファー・アボット
パトリック・フュジット
ルーカス・ハース
「ファーストマン」のあらすじ
ニール・アームストロングは幼い娘を亡くし、その傷を抱えながらも、悲しみから逃れるためにジェミニ計画の宇宙飛行士へ志願する。
時代は冷戦の最中。ベトナム戦争と同時期に推し進められたのが宇宙開発事業。
当時は、宇宙開発においては何もかもソ連がアメリカの一枚上を行っていた。その中でソ連に逆転勝利するには『人を月に送る』ことだとされ、そしてそれはジェミニ計画、アポロ計画へと引き継がれていく。
しかし、ジェミニ計画では訓練中にパイロットが死亡、ニール・アームストロング自身も、ジェミニ8号で生死の境をさまようアクシデントを経験。予定されていたミッションのほとんどを中止して地球に帰還せざるを得なくなる。
月面着陸のための技術開発とその実現を目的としたジェミニ計画は終わり、いよいよ人類を月に送るというミッションはアポロ計画に引き継がれるが、アポロ1号は最終テスト中に火災が発生。設備の不備もあって、中にいた宇宙飛行士3名が犠牲になってしまう。
またベトナム戦争への反戦の機運が高まるにつれ、巨額の税金を投入しながら、犠牲者ばかりが増える宇宙開発事業への世論の批判や疑問も大きくなっていく。
数多の失敗を超えてニール・アームストロングはアポロ11号で月へ向かう。
感想・レビュー
ポルノグラフィティのデビュー曲が「アポロ」だったり、お菓子のアポロ(あの形はアポロ11号の)の由来だったり、今もなお大きな出来事だったアポロ11号の月面着陸。
しかしアポロ11号の月面着陸、それは非常に危険なミッションでもありました。
今回は人類史上初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの挑戦を、デイミアン・チャゼルとライアン・ゴズリングの『ラ・ラ・ランド』のコンビで映画化。
時代は冷戦の最中。ベトナム戦争と同時期に推し進められたのが宇宙開発事業でした。
当時は、宇宙開発においては何もかもソ連がアメリカの一枚上を行っていました。その中でソ連に逆転勝利するには『人を月に送る』ことだとされ、そしてそれはジェミニ計画、アポロ計画へと引き継がれていきます。
主人公のニール・アームストロングは幼い娘を亡くし、その傷を抱えながらも、宇宙飛行士へ志願します。
しかし、ジェミニ計画では訓練中にパイロットが死亡、ニール・アームストロング自身も、ジェミニ8号で生死の境をさまようアクシデントを経験。予定されていたミッションのほとんどを中止して地球に帰還せざるを得なくなります。
1960年代ならではのアナログさ
予告編でも言われていたように、携帯電話もまだない時代。NASAの訓練施設のアナログさ、汚さには驚きます。
「ファイト・クラブ」のタイラーの部屋を思い出しますね。
それは宇宙への有人飛行ががまた手探り状態であることを示しています。
そしてその分だけ、危険性が高いであろうことも。
月面着陸のための技術開発とその実現を目的としたジェミニ計画は終わり、いよいよ人類を月に送るというミッションはアポロ計画に引き継がれます。
しかし、アポロ1号は最終テスト中に火災が発生。設備の不備もあって、中にいた宇宙飛行士3名が犠牲になります。
またベトナム戦争への反戦の機運が高まるにつれ、巨額の税金を投入しながら、犠牲者ばかりが増える宇宙開発事業への世論の批判や疑問も大きくなっていきます。
微妙にわかりづらい・・・
確かに、映画を通してもアメリカの宇宙開発の動機がソ連には負けたくない!というただそれだけであって、冷戦を超えた崇高な使命感が感じられないんですよね。
おまけに3人の宇宙飛行士の死も、彼らのキャラクターをそのシーンまでに掘り下げていないため、感情移入しづらいんです。
この映画はあくまでニール・アームストロングとその家族にフォーカスをあてています。
ただ、結果からいうと、それが上手く映画の面白さとして寄与したとは思えません。
『不可能なミッション』『人類史上最も危険なミッション』そういったキャッチコピーの本作ですが、であればNASAの限りない安全性への挑戦と、宇宙飛行士の絆というあくまで『お仕事メイン』でいくべきだったかなと思います。
第一、ニール・アームストロングの妻役のクレア・フォイ、映画の本筋的にはあまり重要ではないんですよ。
せいぜい、家庭と向き合おうとしない夫を注意するくらい。
もう少しエンターテインメント寄りでもよかったのでは
エンタメ色が強いマイケル・ベイ監督の『アルマゲドン』ですが、やはり人物に感情移入させたりだとか、エンターテインメントの見せ方としては上手いなぁと感じましたね。クリント・イーストウッドの『スペース・カウボーイ』も同様に宇宙飛行士たちの絆がメインで描かれています。
『ラ・ラ・ランド』の監督と主演コンビということで、実話をもとにしながらも、もう少しエンターテインメント感のある作りにもできたはずなんですね。それにラ・ラ・ランドのイメージをもって観にくる観客は少なからずエンターテインメントを求めていたんじゃないかなと思います。
だとしたら今作はドキュメンタリータッチ。
いよいよ、数多の失敗を超えてアームストロングはアポロ11号で月へ向かうわけですが、事前にNASAではアームストロングが死亡した場合の文章も作成されていたり、またアームストロングが実際にアポロに乗り込みますが、その表情はかなり厳しく、コクピットはまるでそれが彼らの棺桶であるかのように描写されています。
月や宇宙の描写が凄い!
僕は今回、福岡の博多駅のドルビーシネマで鑑賞しました。宇宙空間の壮大さをドルビーならではの環境で体感したい!という思惑があったのですが、その割には 宇宙空間へいってもカメラは宇宙船内にフォーカスしてるし、宇宙空間を撮ってもカメラは固定なので映画のリズムが途切れるような感覚を受けましたね。
恐らく宇宙空間の撮影はスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』にかなり影響を受けているのではないでしょうか?
逆に凄かったのは月の描写。ここばかりはドルビーシネマの効果もあって、本当に月の上に立っているかのよう。