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「メッセージ」のスタッフ・キャスト
監督
ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本
エリック・ハイセラー
原作
テッド・チャン
「あなたの人生の物語」
出演者
エイミー・アダムス
ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー
マイケル・スタールバーグ
「メッセージ」のあらすじ
冒頭、言語学者のルイーズが娘との思い出、娘が生まれてから若くして亡くなるまでを回想するシーンから始まる。
『私の人生観が変わった時』として、宇宙人の出現の日へと時間はさかのぼっていく。
地球上に現れたUFOとそこにいるエイリアンとコンタクトをとるため、言語学者のルイーズ、物理学者のイアン、アメリカ軍大佐のウェバーらは宇宙船に乗り込み、彼らが地球へきた目的を探ろうとする。
宇宙人からの文字は墨を吹き付けたようにして描かれる難解なものであったが、そのメッセージの意味が断片的に解明されてきたことで、その解釈によって国家間で対応にばらつきが生まれる。
中国はメッセージの内容が戦争に結び付くと考え、他国との強調を差し置いて、一方的に宣戦布告を行う。
アメリカも撤退準備を始め、もはや戦闘は避けられないかに思えたが、ルイーズは一人宇宙船へ乗り込み、彼らからのメッセージを受けとる。
感想・レビュー
エイリアンとどうコンタクトをとるのか。宇宙人ものをしてはさんざん扱われてきたテーマですね。
今作『メッセージ』の監督を努めるのはドゥニ・ヴィルヌーヴ。
今作の後にリドリー・スコットを製作総指揮にした『ブレードランナー2049』の監督にも抜擢されています。
『ブレードランナー2049』もそうでしたが、SF映画でありながらも、エンターテインメントに偏らず、倫理的・哲学的な問いかけと、リアリティに誠実な演出が好感が持てます。
個人的には今一番注目している監督さんです。
主役にエイミー・アダムス。『キャッチミー・イフ・ユー・キャン』で僕は知ったのですが、ずいぶん成熟した女優さんになったなぁという印象です。
今回は言語学者のルイーズを演じています。
こうした映画はしばしば軍人だとか、科学者が主役になることが多いのですが、会話の基礎である言葉のプロという役柄を主役に置いたところに監督のテーマへの誠実さを感じさせます。
映画は娘との思い出、娘が生まれてから若くして亡くなるまでを回想するシーンからスタートします。
そして、『私の人生観が変わった時』として、宇宙人の出現の日へと時間はさかのぼっていきます。
地球上に現れたUFOとそこにいるエイリアンとコンタクトをとるために、放射線スーツや気圧調整などの装備で向かう主人公たち。ここでもリアリティを重視した演出に思わず頷きます。
個人的にはこの部分をリドリー・スコットにも見習ってほしい・・・。
『エイリアン・コヴェナント』ではクルーが見知らぬ惑星に降り立ち、「この惑星の大気、地球とほとんど同じじゃね?」とみなマスクを脱いでしまいます。なんて無用心な!
その結果耳から胞子が入りエイリアンに案の定寄生されるハメに。。
リドリー・スコットとは『ブレードランナー2049』でタッグを組みますが、『エイリアン・コヴェナント』にも是非参加してほしかった!
SF映画の意味
さて、今作は個人的にはすごく上質なSF映画だと思います。
SF映画の意味合いは大きく分けて2つあると思ってまして、
1つは単純にエンターテインメント。今の技術力では無理なことや別世界みたいな設定だからこそ楽しめるストーリーや画をお客さんに楽しんでもらうことです。
2つ目は『神の視点』。
こうした『人間以外のなにか』を描くことによって、我々人間とはなにかを客観的に映し出し、そこに人間とは何かだったり、世界の問題点などを浮き彫りにすることができるのではないでしょうか。
となると、今作は2に近いですね。
ネタバレ
宇宙人からのメッセージが断片的に解明されてきたことで、その解釈によって国家間で対応にばらつきが生まれます。
中国はメッセージの内容が戦争に結び付くと考え、他国との強調を差し置いて、一方的に宣戦布告を行います。
アメリカも撤退準備を始め、もはや戦闘は避けられないかに思えましたが、ルイーズは一人宇宙船へ乗り込み、彼らからのメッセージを受けとります。
彼らが地球上に来た理由は、3000年後に人類の手助けが必要なこと、そのために自分達の『言葉』を授けに来たということでした。
彼らの『言葉』とは、時間の超越し未来を見渡せる能力でした。
ルイーズは宇宙人の文字を習得するにつれ、その能力を獲得し、子供との記憶が自身の未来のことであることを認識しました。、また、世界が一つになった未来の記憶を辿って、中国の高官へ連絡、攻撃を中止させます。
その後ルイーズはやがて夫と離婚し、子供に先立たれることを覚悟の上でイアンからのプロポーズを受け入れます。
時間の超越(未来の認識とは?)
この少々難しい時間の超越。未来の認識という概念。たまたま日常生活の中でこういうことかな?ということを体験できました。
今日少し疲れてたんで、お布団で横になってたんですね。
でいつのまにか眠ってしまってたんです。
夢の内容は飼ってる犬を散歩につれてって犬と競争して、家まで戻るっていう他愛ないものだったですが、だいたい実際にやろうとしたら30分くらいがかかるんですよね。
ただ、目が覚めて時計を見たら眠りに落ちてから 10分くらいしか経ってない。
こういう経験というか感覚、誰にもあると思うんですが、ここで、夢を未来に置き換えると、この感覚が掴めるかなと思うんです。
未来のことも、夢も、共通しているのは『自分がまだ実際には体験していないこと。』
けれど、それらは空想とは違いますよね。
そして、体験したことは記憶になっていくわけですが、必ずしも過ごしたすべてを覚えているわけではなくて、断片的になっています。
断片的という意味では、夢の世界と同じです。
夢も空想ではなく、また断片的なものでもあります。そうでなければ30分の内容の夢を10分で見られるはずはありません。
少し時間をおいてもう一度観たくなる作品です。
『メッセージ』のトリビア
UFOの形はあのお菓子に影響された?
公開後からSNSを中心にUFOの形がお菓子のばかうけに似ている!と盛り上がったそう。
監督の自身も、UFOの形はばかうけに影響されたことを明言しています。
うーん、ジョークのわかる大人は素敵だ!(実際は太陽系を公転する小惑星エウノミアをモチーフにしているそうです。)
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