「フロントランナー」は2019年に公開されたドラマ映画です。
アメリカの1988年の大統領選挙で「ジョン・F・ケネディの再来」と呼ばれ、最有力候補と言われたゲイリー・ハートがたった一つのスキャンダルによって転落していく様を描いています。
上記のゲイリー・ハートの実話を基に、メディアはどうあるべきか、受け取る側の我々はどうあるべきかを問いかける作品。
監督はジェイソン・ライトマン、ゲイリー・ハートをヒュー・ジャックマンが演じています。
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「フロントランナー」の予告編
「フロントランナー」のスタッフ・キャスト
監督
ジェイソン・ライトマン
脚本
ジェイソン・ライトマン
マット・バイ
ジェイ・カーソン
原作
マット・バイ
『All the Truth Is Out: The Week Politics Went Tabloid』
製作
ジェイソン・ライトマン
ヘレン・エスタブルック
アーロン・L・ギルバート
出演者
ヒュー・ジャックマン
ヴェラ・ファーミガ
J・K・シモンズ
アルフレッド・モリーナ
「フロントランナー」のあらすじ
史上最年少の46歳で民主党の大統領候補になった若きカリスマ政治家ゲイリー・ハート。ジョン・F・ケネディの再来と言われた彼は1988年の大統領選予備選で最有力候補《フロントランナー》に一気に躍り出る。しかし、たった3週間後、マイアミ・ヘラルド紙の記者が掴んだ“ある疑惑”が一斉に報じられ、急展開を迎える……。勝利を目前に一瞬にして崩れ去る輝ける未来。その時、ハートは? 家族は? 選挙スタッフは? スクープを求めるジャーナリストは? そして、国民はどんな決断をしたのか?
出典:http://www.frontrunner-movie.jp/
映画『フロントランナー』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
感想・レビュー
公開二日目の週末に観てきましたが、小さめのスクリーンにも関わらず、席はガラガラ。。アメリカの政治モノで、日本では知名度の低い人物、そして予告編の段階でハッピーエンドではないことがわかりきってる、ということが大きいのでしょうか。(ゲイリー・ハートのWikipediaについて、アメリカ版にはページがあるのに、日本版にはないということが、日本におけるゲイリー・ハートの知名度をそのまま表しているように思います。)
一般的に知名度のある俳優も、主演のヒュー・ジャックマンくらいなので仕方ないのかなと。
そして、ハッピーな気持ちになれるエンターテインメントでもない。
個人的には映画の世界になかなか入り込みづらかったです。
エンターテインメントではない、何かを私たちに問いかける作品
監督は『ジュノ』や『マイレージ・マイライフ』のジェイソン・ライトマン。
他にも『ヤング≒アダルト』や『タリーと私の秘密の時間』などの監督作があり、こうしてみるとコメディが得意な監督なのかなと思います。確かに政治ドラマにありそうな実録的な編集ではなく、映画のカットなどのリズムは予想外に軽快で、政治をテーマにした悪い意味での映画らしさは感じさせませんでした。
ちなみにJ・K・シモンズは監督の作品の常連俳優ですね。
しかし、登場人物の顔と名前と所属先(選挙事務所のスタッフなのか、ワシントン・ポストなどのマスメディアの人間なのかいまいちわからない)がずーっとつづいてしまい、中々映画に気持ちが入っていかなかった・・・。
ただ、本来の映画らしい映画だと思います。
エンターテインメントだけではない、何かを私たちに問いかけるような作品でしたね。
ゲイリー・ハート
物語の舞台は1988年の大統領選挙。
ヒュー・ジャックマン演じる大統領候補のゲイリー・ハートは次期大統領最優秀候補と呼ばれていました。
46歳の若手候補の彼は失業者対策や、反核、教育への投資などの政策で圧倒的な人気を誇っていました。しかし、選挙中活動中にマイアミでモデルの女性との不倫を地元紙に報じられてしまいます。
ゲイリー・ハート自身はこれを政治家の資質そのものとは関係のない事柄だとして説明もしない方針でしたが、世論の彼への支持率は大きく下がっていきます。
映画では選挙から撤退したところでエンディングでしたが、実際は再度選挙に復帰したようですね。
(その後再度撤退)
メディアはどうあるべきか
トランプ政権誕生以降、マイノリティをもっと認めよう!みたいなメッセージの映画がとても多くなっているイメージなのですが(同じくヒュー・ジャックマン主演の『グレイテスト・ショーマン』などはその顕著な例ですね)、今作はメディアの公人への過度なプライバシーの追求の是非と、それを私達はどう受け止めるべきかという問い。
誰も今までの自分の過去や構想に対して、完璧な人間などいません。
ゲイリー・ハートは映画のエンディングで自身をこう振り返ります。
「私は間違いを犯した。それは私が人間だからだ。」
またヒュー・グラントは自身が演じたゲイリー・ハートのスキャンダルと転落について、こう述べています。
この映画が描くテーマのひとつは、ゲイリーのように人に奉仕する人生がパンチライン(ジョークのオチ、人の関心を煽るわかりやすいフレーズ、謳い文句)に終わってよかったのかということ。それも、事実かどうかも分からない疑惑のために。
本当に報道が事実だったとしても、それって(ゲイリーの政治人生を)全ておしまいにするほどのものなのでしょうか。最近は、失敗に対してもずいぶん寛容になったと思います。誰でも失敗はする。例えばバーニー・サンダースが支持されるのは、彼の言葉に嘘偽りがないからです。
「この映画では、”やったかどうか”ということは問われません。問うているのは、“その質問は果たして必要だったのか”ということ。例えば、自分が明日手術を受けるとします。でも執刀医に”お宅の結婚生活はどうですか”なんて絶対聞かないですよね。それはどうでもいいこと。自分の命がかかっているんですから、腕のいい執刀医かどうかだけを知りたいはずです。でもどういうわけか、これが政治家になると、夫婦の仲はどうだとか、どんな犬を飼っているんだ、とかが気になってしまう。そういう点を突く映画です。」
出典:https://theriver.jp/frontrunner-hugh/
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