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1位 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
映画の奇跡を見事に見せてくれた作品
2019年劇場で観てきた映画の中でベストワンはこの作品です。
タランティーノ偏愛というわけでもないのですが、やはり作家性の強い監督には惹かれますし、タランティーノの場合キャリアを脚本家させたこともあって、どの作品も鑑賞後には満足感があります。
今作ではブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオの共演はもちろんですが、シャロン・テート殺害事件をベースにしながらも『イングロリアス・バスターズ』同様の「映画の奇跡」を見せたくれたことには胸がいっぱいになりました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の感想・レビューはこちら
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の
2位 JOKER
まさに圧巻。この迫力は2019年No.1!
ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じたこの作品。
やはり『ダークナイト』でのヒース・レジャーが圧巻の演技で絶賛されていただけに、ホアキン・フェニックスのジョーカーが不安視されていたものの、結果的に『JOKER』はベネチア国際映画祭で金賞を獲得するなど、世界的に絶賛されることになりました。
一人の男が狂気へ陥るさまを深く鋭く描き出したこの作品。2019年に限らずともここまでの迫力が滲み出た映画もそうないのではないでしょうか。
『JOKER』の感想・レビューはこちら
3位 記憶にございません!
三谷幸喜復活!エンターテインメントの傑作
『ギャラクシー街道』ではその内容を酷評された三谷幸喜監督ですが、2019年の映画『記憶にございません!』では見事に復活。
同率3位 グリーンブック
シャーリーとトニーの確かな絆に涙が溢れる!(ネタバレあり)
監督のピーター・ファレリーはキャメロン・ディアスの『メリーに首ったけ』などのコメディ映画を得意とする監督ですが、本作では少しシリアスな実話をもとにした作品に挑戦。
しかし、終始音楽の流れるテンポのいい軽快な作品に仕上がっているなという印象でした。
シリアスなパートも下手ではないんですが、コメディパートの方がずっと映画のなかでは際立っていましたね。
その一つが手紙のシーン。旅の中で、ドロレスに度々手紙を送っていたトニーですが、『それはツギハギの脅迫状か?』とシャーリーに言われるほど悪筆な代物。しかしそれはシャーリーのアドバイスにより、とてもロマンチックなラブレターへ変貌していきます。
こうして毎回手紙にはシャーリーの推敲が入るようになりドロレスも喜びますが、ドロレスにはそれがシャーリーのアドバイスによるものだと内心気づいていたのです。
エンディング、ニューヨークの自宅へたどり着いたトニーは「家へ寄っていかないか」とシャーリーを誘いますが、シャーリーはそれを断り、自身の運転で帰路につきます。部屋の中で孤独に過ごすシャーリーとは対照的に、クリスマスパーティー真っ最中のトニーの家。親族や友人にかこまれての席でしたが、トニーは浮かない表情。
そんな中、トニーの玄関からノックの音が。そこに姿を見せたのは質屋のチャーリーと、その後ろで物静かに立っているシャーリーでした。
トニーはシャーリーを喜んで出迎ます。
シャーリーはドロレスに『ご主人は帰したよ』と伝えてハグを交わします。
ドロレスはシャーリーの耳元で『手紙をありがとう』と感謝を伝えます。
シャーリーとトニー一家の確かな絆に涙が溢れます。
ラストシーンが尻つぼみになる作品も多いですが、「グリーンブック」は映画的にきちんと考えられている作品だなと感じます。
【考察】アカデミー賞受賞作「グリーンブック」はなぜ批判されたのか?
5位 アラジン
洋画No.1の興行収入も納得の1本
2019年の国内での洋画興行収入のNo1となった『アラジン』。
ディズニーの名作をガイ・リッチー監督が実写化した作品です。
6位 アリータ:バトル・エンジェル
感動すら覚えるエンターテインメント!
圧巻のクオリティのバトルアクションを実現してくれたロバート・ロドリゲスに喝采!
感動すら覚えるエンターテインメントに思わず涙した作品です。いや泣くポイントおかしいのはわかっていますが。
ロバート・ロドリゲス、盟友のクエンティン・タランティーノと組むとはしゃぎすぎた個性的な映画になりますが、今回脚本と製作を担当したジェームズ・キャメロンはよくも悪くもキレイにまとまった作品が多いので、『アリータ:バトル・エンジェル』はキレイすぎず、またマニアックすぎず、バランスは良かったかなと思っています。
いい意味でバカバカしくて、残酷描写もギャグにしてくれるのがロドリゲスの良いところ。
『アリータ:バトル・エンジェル』でも街の風景がメキシコや南米の雰囲気を感じさせるのはロドリゲスの作品らしい分かりやすい記号ですね。
今作は俳優陣も要所要所に実力派の方々がいるので安心。主演のローサ・サラザールに加え、アカデミー賞受賞者のクリストフ・ヴァルツとマハーシャラ・アリの演技も見どころ。
やはりアクションシーンやモーターボールは凄いです。それとアリータって今回CGで制作されているのですが、本当にそれがわからないほどのレベルなんですね。
こういう細かく繊細なクオリティにはジェームズ・キャメロンの力を感じさせます。
アクションとかエンターテインメントそのものに感動することはあまりないのですが、『アリータ:バトル・エンジェル』はとにかくエンターテインメントに感動できる作品です。
7位 ミスター・ガラス
どんでん返しに次ぐどんでん返し!シャマラン完全復活の傑作!
シャマラン、完全復活ではないでしょうか?
凄く面白かったですねー!
『スーパーヒーローは現実社会のなかでどのように解釈されるのか?』
今作『ミスター・ガラス』では、彼らの能力はハイレベルではあるが、人間の限界を越えるものではないとされ、スーパーヒーローはすべて彼ら自身の妄想とされます。
『アンブレイカブル』では、圧倒的な知能というよりも、ダンをスーパーヒーローとして覚醒させる導き役として描かれていたイライジャですが、ここでは彼の並外れた『知能』が存分に描かれます。
全ての黒幕として存在し、映画の中盤からはストーリーを進めていくのはこのイライジャ。
どんでん返しに次ぐどんでん返しに劇場でめちゃくちゃ興奮しましたね。
『アンブレイカブル』『スプリット』のヒーロー総集めで描かれた『ミスター・ガラス』はシャマラン版の『アベンジャーズ』とも言えるでしょう。
そこにブロック・バスターのようなエンターテインメントではなく、ヒーローとしての苦しみ(イライジャは人と異なって産まれた自分の人生を『最低だ』と漏らしています)、そして自らの存在意義を問う、リアリズム溢れる作品に昇華させました。
『ミスター・ガラス』、快作を観せつけられた思いがします。
8位 イエスタデイ
ダニー・ボイル
9位 クリード 炎の宿敵
圧倒的な家族の物語
前作『クリード チャンプを継ぐ男』の内容をまたひとつ深く掘り下げた作品ですね。
今作で炸裂するのは圧倒的な家族の物語。
因縁の相手とも言えるドラゴ親子をロッキーとクリードの敵として采配することでより深く炙り出されていきます。
今作『クリード 炎の宿敵』ではいくつもの家族の様々な想いを複雑に積み重ねています。
アドニスの妻、ビアンカの難聴も前作では設定としては存在していても、病気を感じさせる描写はなく、ほぼ健常者と同様に描かれていました。
今作では、難聴が進み、またそれが子供にも遺伝してしまうかもしれないという苦悩をクリード夫妻にもたらします。
そんな中でも必死にクリードを支え、救おうとする姿は、前作の恋人、彼女というポジションではなく、妻として、母親としてのものです。
再戦の地、ロシアで何とかヴィクターに勝利したアドニスは、ビアンカとともにアポロの墓前に勝利の報告をします。
初めて訪れたアポロの墓。それは父の呪縛から一人立ちし、自分の人生を歩き始めたことをアドニス自身が実感していたからでしょう。
ロッキーもその頃息子を訪ねていました。ロッキーが勇気を出して、孤独な生活から家族の繋がりを再確認した場面です。
それぞれの家族の再生。前作では描写されなかった視点をうまく補完した良質な作品となっています。
ただ、前作と比較すると、やはり前作に軍配が上がってしまうかなというのが正直なところ。
惜しい点はありつつも十分泣ける作品に仕上がっている本作。
2019年の初泣きはこの作品ですね。おすすめです。
10位 トイストーリー4
11位 ターミネーターニューフェイト
12位 天気の子
13位 フロントランナー
私達も含めたメディアの在り方を問いかける作品
アメリカの1988年の大統領選挙で「ジョン・F・ケネディの再来」と呼ばれ、最有力候補と言われたゲイリー・ハート。彼がたった一つのスキャンダルによって転落していく様を描いている作品です。
トランプ政権誕生以降、マイノリティをもっと認めよう!みたいなメッセージの映画がとても多くなっているイメージなのですが(同じくヒュー・ジャックマン主演の『グレイテスト・ショーマン』などはその顕著な例ですね)、今作はメディアの公人への過度なプライバシーの追求の是非と、それを私達はどう受け止めるべきかという問い。
誰も今までの自分の過去や構想に対して、完璧な人間などいません。
ゲイリー・ハートは映画のエンディングで自身をこう振り返ります。
「私は間違いを犯した。それは私が人間だからだ。」
今作のキャッチコピー「裏切ったのは ―― マスコミか、国民か、それとも彼自身か」は正に秀逸。
日本でも、政治家の本質は関係のないところで、政治家の資質が問われるという奇妙なニュースがありました。(カップ麺の値段を知らない、漢字が読めないなど・・・。)
映画の舞台は1988年・・・今から30年前ですが、今やだれもがSNSなどで情報発信者(劇中の言葉を用いれば「狩人」)になれる現在、『フロントランナー』もやはり2019年ならではの意味を持った作品だと思います。
『フロントランナー』はメディアはどうあるべきか、公人はどうふるまうべきか、国民はどう判断するべきか、そのどれにも敢えて明確な回答を示しません。
よくも悪くも分かりやすいエンターテインメントが氾濫する今、映画を観終わった後でふと立ち止まって考えさせてくれるような作品は貴重だとも言えます。
『フロントランナー』感想・レビューはこちら
14位 ジェミニマン
15位 メン・イン・ブラック:インターナショナル
16位 ジョンウィック
観た作品、随時追加していきます!