オードリー・ヘプバーンとジバンシィ
二人の出会い
1953年にオードリー・ヘプバーンとユベール・ド・ジバンシィは、パリのジバンシィのアトリエで出会いを果たしました。
オードリー・ヘプバーンは54年に公開される「麗しのサブリナ」の衣装を自ら買い付けるために、パリの当時の最新のモード・ファッションを探していたのでした。
しかし、当時オードリーより有名だったキャサリン・ヘプバーンに会えるものと思っていたジバンシィは、期待と違ったオードリー・ヘプバーンの登場に落胆し、空いている時間がほとんどないと一度断っています。
それでもなおも食い下がるオードリーの熱意に、ジバンシィは前回のコレクションのサンプルの中から好きなものを選ぶようにオードリーに伝えます。彼女が選んだアイテムと着こなしのセンスにジバンシィは衝撃を受け、以降二人は多くの映画でタッグを組むようになりました。
そしてこの時オードリーが選んだアイテムの一つが、グレーのダブルジャケット。
それはのちに「麗しのサブリナ」でサブリナが帰郷するシーンで着用された洋服でした。
その後、ユベール・ド・ジバンシィは
『麗しのサブリナ』
『パリの恋人』
『昼下りの情事』
『ティファニーで朝食を』
『パリで一緒に』
『シャレード』
『おしゃれ泥棒』
などでもヘプバーンの衣装を担当しました。
ファッションを超えた友情
二人の付き合いはファッションの枠にとどまるものではなく、私生活においても親密な付き合いがありました。例えばヘプバーンが2度目の結婚式で着用したペールピンクのミニドレスとヘッドスカーフは、ジバンシィのデザインでした。またヘプバーンが自身の遺言の証人に指名したのもジバンシィでした。このようにオードリー・ヘプバーンとユベール・ド・ジバンシィは生涯にわたって強い友情で結ばれていました。
後年、オードリー・ヘプバーンはユベール・ド・ジバンシィはについて下記のように語っています。
「ジバンシィは私の外見に、さまざまなものを加えてくれました。彼はいつも素晴らしく、そして最高でい続けてくれました。彼と私の好みはずっと同じだったのです。特別な素材と途方もない才能で仕立てられた、シンプルな細身のドレスと一組のイアリング以上に美しい装いはないでしょう」
史上最も有名なドレス
1961年の映画「ティファニーで朝食を」でオードリーが着用したドレスこそ、史上最も有名なドレスと言われているリトル・ブラックドレスです。もちろんデザイナーはジバンシィ。
2006年12月5日にクリスティーズのオークションにかけられ、当初の落札予想額の7倍近い467,200ポンド(約一億円)で落札されました。しかしながら、このクリスティーズのオークションに出品されたドレスは、ヘプバーン自身が着用したものではなく、映画のために用意された複数のドレスの一つでした。
オードリー・ヘプバーンのファッション