「メリーに首ったけ」は1998年に公開されたファレリーの兄弟のラブコメ映画。
主演はキャメロン・ディアスとベン・スティラー。
今作は予想外のヒットを飛ばし、キャメロン・ディアスのブレイク作となりました。
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「メリーに首ったけ」のスタッフ・キャスト
監督
ボビー・ファレリー
ピーター・ファレリー
脚本
エド・デクター
ジョン・J・ストラウス
ボビー・ファレリー
ピーター・ファレリー
製作総指揮
ボビー・ファレリー
ピーター・ファレリー
出演者
キャメロン・ディアス
ベン・スティラー
「メリーに首ったけ」のあらすじ
キャメロン・ディアスの人気を決定づけた下ネタ満載のエッチ・コメディ。高校時代、学園一の人気者メリーとプロムへ行くチャンスを手にしながら、人には言えないような事故を起こして入院するハメになったテッド。それから13年後、今もメリーのことが忘れられないテッドは、探偵のヒーリーに彼女の調査を依頼する。だがヒーリーはメリーに一目惚れしてしまい、テッドに彼女をあきらめるように嘘の報告をする。しかしメリーをあきらめきれないテッドは彼女の住むフロリダへと旅立った……。
出典:http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=84698
映画 メリーに首ったけ – allcinema
感想・レビュー
キャメロン・ディアスが卓越したコメディエンヌぶりを遺憾なく発揮した今作。
「ラブコメの女王」といえばメグ・ライアンですが、キャメロン・ディアスも負けてはいないですね。
監督はファレリー兄弟。兄のピーター・ファレリーは2019年公開の映画『グリーンブック』でアカデミー賞作品賞に輝いています。
もともとファレリー兄弟はコメディを得意とする監督で、『グリーンブック』のようにシリアスな作品は割と異色に近いです(それでももちろん笑えるパートもあるのですが)。
その点では今作『メリーに首ったけ』はとにかく笑わせてくれます。
「ヘア・ジェル」
序盤からメリーのトイレでジッパーに◯◯◯を挟んでしまうテッド。
テッドが乗せたヒッチハイカーの置いていった「荷物」によって連続殺人犯の疑いを持たれてしまうシーンなどなど。
極めつけは「ヘア・ジェル」でしょう。
メリーとの夜、失敗しないためにデートの直前に一人マスターベーションするテッド。気づかぬままに彼の耳についた精液をメリーはヘア・ジェルと勘違いして自分の髪につけてしまう。。
映画のポスターやパッケージでもこの時のメリーの髪型がフィーチャーされている、本作の特徴的なビジュアルです。
ちなみに「ヘア・ジェル」という言葉、アメリカでは一時流行語になったそうです。
ちょっと下ネタが多い作品ではあるのですが、それすら難なくこなしてしまうキャメロン・ディアスの度量の大きさ!
男性目線での女性の描き方
メグ・ライアンのラブコメ映画でも、『恋人たちの予感』で偽のオーガズムを演じるというシーンはあったのですが、同シーンはあくまで女性目線で女性の本音を表現したシーン。ちなみに脚本は女性脚本家のノーラ・エフロン。
このシーンでは「今まで付き合ってきたすべての女性を満足させてきた」というハリーにメグ・ライアン演じるサリーが「女は一度は(オーガズムの)演技をしたことがある」と言っていきなり偽のオーガズムの演技を始めるのです。
対称的に『メリーに首ったけ』の下ネタは男目線での女性の描き方。
その事を指摘したのは『ゴーン・ガール』の原作者ギリアン・フリンでした。
彼女は20代の頃に映画館で今作を観て、メリーの描かれ方を男性目線での「イイ女」と感じたと述べています。
『ゴーン・ガール』は女性の本音を押し出したミステリーとして多くの女性の共感を集めたのですが、劇中でギリアン・フリンはロザムンド・パイク演じるエイミーに以下のようなセリフを語らせています。(以下は映画から。ちなみにギリアン・フリンは映画の脚本も担当しています)
「男はいつも褒め言葉として使う
『彼女はいい女だ』
“いい女”はなんでもしてくれ、いつも機嫌よく男に絶対に怒らない
恥ずかし気に愛情深く微笑み、その口をファックに提供する
“いい女”は男の趣味に合わせる
彼がオタクならマンガ好き
彼がポルノ好きならイケイケ女
アメフトを語り、フーターズで食事する」
ロザムンド・パイクはそんな「イイ女」とは「振り向かせたい男の好きな女」のことだと言います。
その点で言えばメリーは男性に媚びるキャラクターではありません。
しかし、男性の理想を投影したキャラクターではあります。この場合は脚本を担当した四人の男性にとっての女性の理想像の一つではなかったでしょうか。
少し天然で誰にも優しく、セクシー。スポーツが趣味で、高収入で、フレンドリーで気軽にスキンシップをとれる女性。
それはまるで聖母のような女性。ちなみにメリー(mary)は聖母マリアを指す名前でもあります。
キャメロン・ディアスの魅力と才能
しかし、それらを考慮したとしてもやはり本作のキャメロン・ディアスはこれ以上ないほど魅力的。
ベン・ステイラーのコメディアンっぷりも素晴らしいのですが(あんなに老けてる10代はいないよ!若い頃のオアシスか?)、キャメロン・ディアスの美しさ、キュートさ、チャーミングさ、そうしたものがなければここまでのヒットはなかったでしょう。
後に『クリスティーナの好きなコト』や『バッド・ティーチャー』で下ネタ方面にも更なる適応力を発揮すると共に『私の中のあなた』のようなシリアスな作品や『チャーリーズ・エンジェル』などのアクション映画など、コメディ映画にとどまらない活躍を見せるキャメロン・ディアス。
メグ・ライアンも2003年の映画『イン・ザ・カット』でコメディエンヌから演技派への転身を図りますが、成功したとは言いがたい結果に終わっています。