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草原の椅子
この作品はまさに『大人のため映画』ということが言えそうです。
紆余曲折を経て手に入れたそれぞれの現在。
しかし、理想だけではない、子供の頃の憧れとは少し違う、大人であること、現実の苦み。
妻とも離婚し、娘と二人暮らしの平凡なサラリーマンの遠間。
そして、そんな遠間に50才で出来た親友、富樫、
彼はカメラ店の社長。表向きはひょうひょうとして明るくも、経営者として非情になりきれずそのために人知れず苦悩する。
そしてそんな遠間達の前に現れる圭介の存在。
独りの身で圭介を受け入れるかどうかの狭間で悩む遠間。会社経営の人員削減に胸を痛め、自分を責める富樫。そして、実の両親から虐待を受け、4歳で見捨てられた圭介。
誰しも明るく振る舞いながらもどこか心に暗い影をもっている。
彼らだけではなく、この現実に暮らす私たちも、大なり小なりそうではないでしょうか?
圭介との最後の思いで作りとしてのパキスタン、フンザの旅行はまた、さまざまな大人の思いや悩みが導かれ、たどり着いた場所だとも言えます。
日本の雑踏から離れ、自分の人生を見つめ直す3人。
遠間役の佐藤浩市さんが本作のインタビューでこう発言されていたのが印象的だったのですが、
人生というのは捨ててしまうにはあまりにもったいない
大人だからといって決して生きるのが器用ではない、恋もすれば、傷つき人に戸惑うこともある。それでも人生は美しく、またいとおしい。
この映画を観ると、いつもそんな気持ちにさせられます。
ちなみに主題歌はGLAY。
『真昼の月の静けさに』
人生の苦味を表現したというこちらも必聴です。
映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 [DVD]
今作の公開当時、子供の付き添いで鑑賞したはずの大人の方が泣いてしまうという現象が続出したそうです。
それもそのはず、今作は父親である野原ひろしにフォーカスを当てた作品でもあるからです。
自分の生まれ育った20世紀。それを抜けた21世紀では大人として振る舞っていかねばならない、その影にある一抹の不安と寂しさ。
子供時代を再度体験しているひろし。実際は子供だからこそ、叶わない願いもあります。
そこを救いに来たしんのすけにより、ひろしは今の暮らしにもまた素晴らしさが溢れていることに気づかされます。
この感覚は当時も今も大人である私たちの、胸の奥の郷愁をくすぐり続けるのではないでしょうか。
今作のクライマックスは敵との対決ではなく、傷だらけになりながらも未来のためにしんのすけが階段をかけ上って行くシーン。
いつものおバカな戦いでしめくくりではなく、死のうとしたケンとチャコを、キジバトの親子が防ぐというラスト。
その分だけ、余計に静かな感動が胸に染みわたります。
それまでのクレヨンしんちゃんのフォーマットに沿わないラストには反対の声もあったようですが、結果として映画は今までにないお客さんからの高い評価を得ることになりました。
今作品のDVD発売時のCMには俳優の阿部寛が出演し、大人の鑑賞にも堪え得る感動作であることをPRしています。
ジョンQ -最後の決断-
主人公のジョンはいわゆるブルーカラー(貧しい労働者層)であるがゆえに、十分な医療補助を受けられない、しかしそんな折りに子供に高額な医療費がかかる手術が必要になるー。
北欧の高福祉高負担の社会モデルとは対をなす、アメリカの社会モデル。
その裏で富の有無によって生存権まで脅かされてしまう現実の歪み。
どうしようもなく追い詰められた主人公は息子を助けるために、病院で人質をとり、治療を要求します。
「俺は息子を埋葬しない、息子が俺を埋葬するんだ」
そう言いながら必死に治療を訴えるジョン。
その姿に人質になっている人たちまで動かされ、ジョンに協力し始めます。手段は別にしても、ジョンの主張そのものは普遍的で正しいことだとみんながわかっているからでしょう。
親なら子供に対する深い愛情と責任に共感・感動すること間違いなし。
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