感動の実話に涙する
『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
インドで幼少期に家族と離れた少年、サル―。裕福なオーストラリア人夫婦に養子としてもらわれた彼がGoogle Earthで故郷の家族を見つけるという物語です。
一度サルーの脳裏をよぎった故郷への情景は日増しに大きくなり、どこにいても故郷の家族の姿を見るようになります。
しかし、それは育ての母に対する裏切りではないか、今の生活を捨て去ることができるのかー。
しかし、そんなサルーの背中を押したのは育ての母の一言でした。
「立派になったあなたをお母様に見せたい」
こうして訪れない故郷の地。再会した実の母親との25年ぶりの抱擁。
ニコール・キッドマンをはじめとする俳優の繊細で丁寧な演技も相まって、なんとも言えない感情が胸に迫ります。
エンディングには後日談として、オーストラリアの育ての母も伴って再度故郷を訪れているサル―の実際の映像が流されます。
アカデミー賞で作品賞にノミネートされたこともうなずける名作。再会の場面ではホントに泣けます・・・。
『グリーンブック』
『グリーンブック』はイタリア系の用心棒トニー・“リップ”・バレロンガと黒人の天才ピアニスト、ドン・シャーリーの友情を描いた作品です。タイトルにもなっているグリーンブックとは、ジム・クロウ法が施行されていたアメリカで、黒人が泊まれる場所をリストアップした小冊子のことです。
ドン・シャーリーは黒人差別が色濃く残る南部へのツアーを企画。ツアーマネージャーとして雇われたのがトニー・“リップ”・バレロンガでした。当初は黒人に対して差別意識を持っていたトニーですが、ドン・シャーリーの人柄と、彼が南部で受ける想像以上の差別を目の当たりにし、いつしか二人の間にはあつい友情が芽生えていきます。
そして、そんなトニーの変化は、トニーの家族にもまた変化をもたらします。
シャーリーとトニーの確かな絆に涙が溢れる感動作。おすすめです。
『エレファント・マン』
『エレファント・マン』は1980年に公開されたデヴィッド・リンチ監督作品。広範囲に及ぶ外見の酷い奇形からそう呼ばれたジョゼフ・メリックの人生を映画化した作品です。
幼いころからその外見のせいで差別され続けていたジョゼフ・メリック。彼は見世物小屋で働いていた時に医師のフレデリック・トリーブスと出会い、彼のもとに引き取られます。
トリーブス夫妻との食事の場面、メリックは彼が幼いことに亡くなった母の写真を見ながら、まるで天使のようだったと言います。続けて「こんな僕でさぞがっかりしたことでしょう」とも。
そして、「僕に素敵な友人がいることがわかれば、母も僕を愛してくれるかもしれない」と口にします。そのあまりに純粋で哀しい告白にトリーブス夫人は思わず涙を流します。
僕がこの映画の中で一番心揺さぶられるシーンです。
『ホテル・ルワンダ』
『ホテル・ルワンダ』は1994年に起きたルワンダ虐殺を扱った映画です。
虐殺の中で自らが勤務するホテルに家族や難民を秘密裏にかくまい、1200人を虐殺から救ったポール・ルセサバギナの実話をもとにした映画です。
「アフリカのシンドラー」とも呼ばれる彼の物語は正に感動のヒューマン・ドラマそのもの。
当初は家族だけを守ろうとしていたポールでしたが、やがてホテルの中で助けを求め続ける人々全員をわが身を犠牲にしても守ろうとします。
クライマックス、自分と家族だけはこの場所から安全な場所へ脱出できる状況になった時、土壇場でポールが下したのは家族だけは脱出させ、自分はみんなのためにホテルに残るという決断でした。
『ホテル・ルワンダ』は「アフリカのシンドラー」と呼ばれた男の勇気と信念に溢れた泣ける感動作です。
ただ、ポールの献身の裏にはルワンダへの国際社会の関心の低さがありました。劇中でも語られていたように西欧諸国とほぼ利害のないルワンダの虐殺は介入はおろか虐殺行為との認定もなかなか行われず、その結果として100万を越える死者を出す結果となってしまいました。
例えば9.11のテロ事件は100年後の世界史にも刻まれるでしょうが、100万人が虐殺されたこのルワンダ虐殺は果たして今後の歴史に覚えていてもらえるのでしょうか。
もちろん、数の大小ではないことはわかっていますが、 それ以上にアフリカという地域は軽視されているのだと感じます。