『ジョンQ』
主人公のジョンはいわゆるブルーカラー(貧しい労働者層)であるがゆえに、十分な医療補助を受けられない、しかしそんな折りに子供に高額な医療費がかかる手術が必要になるー。
北欧の高福祉高負担の社会モデルとは対をなす、アメリカの社会モデル。
その裏で富の有無によって生存権まで脅かされてしまう現実の歪み。
どうしようもなく追い詰められた主人公は息子を助けるために、病院で人質をとり、治療を要求します。
「俺は息子を埋葬しない、息子が俺を埋葬するんだ」
そう言いながら必死に治療を訴えるジョン。
その姿に人質になっている人たちまで動かされ、ジョンに協力し始めます。手段は別にしても、ジョンの主張そのものは普遍的で正しいことだとみんながわかっているからでしょう。
親なら子供に対する深い愛情と責任に共感・感動すること間違いなし。おすすめの作品です。
『ライフ・イズ・ビューティフル』
是非ハンカチの用意をしてから観てほしい作品です。
まさに人生賛歌。グイドを演じた主演のロベルト・ベニーニ曰く、「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」という信念に感銘を受け、物語を着想したそうです。
人生の小春日和のような心躍る恋愛の時でも、冬の砂漠のようなナチス・ドイツの収容所にいた時においても希望を持ち続けること。
故・中島らもさんの言葉にこういう言葉があります。
「生きていれば、生きていて良かったと思える日が一日くらいはある。
だから死ななくてもいい」(たしかこんな言葉だったかと)
絶望が蔓延する場所でも希望を持ち続けること。そしてそれは誰かの希望になる。誰かを助けることができる。
まさに「どんな状況下でも人生は生きるに値するほど美しい」ことをグイドは劇中でずっと示し続けているのです。
この作品は泣けるのはもちろん、こんな絶望的な状況に比べたら失恋のつらさなんて些細なものに思えてくるかもしれません。是非、この美しい物語を体験してほしいと思います。
『ワンダー 君は太陽』
久々に人が映画館で泣いてるのを観たほどの感動作でした。
クライマックスからエンドロールが終わるまで映画館のあちこちからすすり泣く声が・・・。どうやらお母さん世代に涙する方が多く、胸に込み上げるものがあるようです。
さて『ワンダー 君は太陽』、予告編からすると、オギーだけにフォーカスを当てたストーリーなのかなと思ってましたが、実際に観てみるとオギーはもちろんですが、彼を取り巻く姉弟やクラスメイトを含む子供たちの物語でもありました。
オギーと彼の親友のジャック。
姉のヴィアと親友のミランダ。
それぞれ親友でありながら小さな誤解から疎遠になってしまう。
「どんなことにも2面性がある」とはオギーの通う学校の校長先生の言葉ですが、それぞれの出来事を四人の視点から描くことによって、それぞれに事情や思い違い、立場があったのだとフラットにかつ登場人物の一人一人の心情をより深く感じることができました。
映画の中には名言や格言も多く、心が洗濯されるような気持ちになれる作品です。