【完全解説】考察「悪魔のいけにえ」の恐怖は何を意味するのか

今回の考察ではホラー映画の金字塔、「悪魔のいけにえ」を考察してみます。

1970年という時代の中でも圧倒的に恐ろしい本作。

その恐怖は今なお衰えず、私たちに迫ってきます。

「悪魔のいけにえ」の恐ろしさ、そして魅力は一体何でしょうか。

スポンサーリンク

「悪魔のいけにえ」とは

悪魔のいけにえ」とは1974年のトビー・フーパー監督作品。テキサスを訪れた若者が人の皮のマスクをかぶった殺人鬼「レザーフェイス」とその家族に襲われる様を描いた作品です。
その残酷さ、暴力描写ゆえに上映禁止国は多いですが、一方で作品のマスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されるなど、その芸術性も高く評価されています。

「悪魔のいけにえ」予告編


公開40周年記念版のものです。

「悪魔のいけにえ」あらすじ

墓荒しが勃発していた1973年のテキサス。
墓の無事を確かめるとともに遊びも兼ねて、サリー、ジュリー、フランクリン、カーク、パムの五人の若者が訪れる。

その道中、同い年くらいのヒッチハイカーを車に乗せるも、ナイフで自傷を始めたり、仲間に切りつけたりと異常な行動をしたために途中で下ろすことに。
その後、ガソリンを分けてもらうために近隣の家を訪れるが、その家こそが墓荒らしの犯人であるソーヤー一家の棲み家だった。

カークとジュリーが扉を叩くも返事はなく、カークが扉を開けて入ると突然彼の目の前に異様な大男が現れる。白いエプロンを付け、顔には人の皮膚でできたマスクを被っている。

それがソーヤー一家の末っ子レザーフェイスだった。

レザーフェイスは何も言わずにカークの頭上にハンマーに振り落とす。ジュリーもカークを探しに家に入るが、レザーフェイスに捉えられ、太いかぎ針に生きたまま食肉のように吊るされる。絶叫し泣き叫ぶジュリーの目前で大男、レザーフェイスによってカークが解体されていく。

ジュリー、フランクリン、パム・・・一人、また一人チェーンソーで殺されていく。

サリーはレザーフェイスの追撃を何とか振り切りガソリンスタンドの店主に助けを求めるが、その主人、ドレイトンもソーヤー一家の一員であった。

「悪魔のいけにえ」ができるまで

監督 トビー・フーパー

トビー・フーパーは1943年にテキサス州オースティンで生まれました。
両親も共に大の映画ファンで、フーパーは父の経営する映画館で映画を観て過ごす少年となりました。
テキサス州立大学で撮影技術と音楽を学んだあとmテレビCMや短編映画を監督。

そして1974年に「悪魔のいけにえ」で長編映画監督としてデビューするのです。

「悪魔のいけにえ」制作のきっかけ

そのころのアメリカはベトナム戦争への不満が社会に渦巻いていた時代。フーパーはその思いを別の視点から身近な道具で表現できないかと考えます。
そんな中、年末の買い物で工具売り場を訪れたフーパーの目に留まったのがチェーンソーでした。

ベトナム戦争への不満やアメリカが当時抱えていた問題点や暗い世相を反映したものとして当時、隆盛を誇っていたアメリカン・ニューシネマ。それらはいずれも若者の反抗と挫折を描いていました。。
40年代までのハリウッド映画が観客に「夢を与える」ものとは対照的にアンチ・ヒーロー、アンチ・ハッピーエンドという物語を持つ作品たち。

そんなアメリカン・ニューシネマとは別の方法でアメリカへの不満を映画にぶつけたのがトビー・フーパー、そして「悪魔のいけにえ」という映画なのでした。

しばしば本作はエド・ゲインの実際の事件をモチーフにしたと言われています。未だにそれを真実として発信しているウェブメディアも多くありますが、監督のトビー・フーパーは製作時にその事件を知らず、冒頭のテロップ『これは実話に基づいた作品』はなんとか恐怖を煽ろうとして付け加えた、いわば苦肉の策だったのです。

実際はフーパーが医学生の頃に先生から聞いた「遺体安置所の死体から皮を剥いで、乾かしてハロウィンのコスチュームにした」という物語。

ただ、実在の事件に全く影響を受けていないのかと言われるとそうではなく、実在の連続殺人鬼ディーン・コールの片棒のエルマー・ウェイン・ヘンリーが逮捕された時に、堂々と罪を告白している姿に異常性を感じ、キャラクターに投影したと言います。

これらの要素を組み合わせ、チェーンソーで人を屠殺する怪物「レザーフェイス」のアイデアが生まれる事になるのです。

過酷な撮影

低予算で作られた本作。レザー・フェイスを演じたガンナー・ハンセンの衣装はシャツ一着しかありませんでした。映画のためにわざと汚してあるため洗うこともできず、彼はテキサスでの暑い撮影中、ずっとそのシャツを着続けるしかなく、撮影終盤には悪臭が漂っていたと言います。

ソーヤー一家の父、グランパがマリリン・バーンズ演じるサリーの指の血を吸うシーン。
その血はマリリン・バーンズ本人のもの。マリリン・バーンズはこのシーンのために実際に指を切られています。血が出る仕掛けを施した小道具のナイフの不調と、暑い中での27時間にもおよび撮影、セットから漂う悪臭、早く撮影を終わらせたいスタッフによってマリリン・バーンズの指は実際に切られることとなったのです。また劇中でサリーの口を塞ぐ際に使用された雑巾もその辺にあったものをそのまま利用しています。

このような過酷な撮影の中で「悪魔のいけにえ」は完成しました。

「悪魔のいけにえ」撮影裏話はこちら