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【感想 レビュー】[キル・ビル Vol.1」タランティーノのおもちゃ箱!

『キル・ビル Vol.1』はクエンティン・タランティーノ監督・脚本の2003年の映画です。

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「キル・ビル Vol.1」のスタッフ・キャスト

監督
クエンティン・タランティーノ

脚本
クエンティン・タランティーノ

製作
ローレンス・ベンダー

出演者
ユマ・サーマン
ダリル・ハンナ
ルーシー・リュー
千葉真一
栗山千明

「キル・ビル Vol.1」のあらすじ

かつて裏社会で最強の女エージェントとして仕事をしていたブライド(ユマ・サーマン)は結婚式当日、かつてのボスであり恋人であったビル(デヴィッド・キャラダイン)に襲撃される。結婚相手、友人、妊娠中だった子供、全てを失ったブライドはビルへの復讐を誓う。

出典:https://www.cinematoday.jp/movie/T0001649
キル・ビル (2003) – シネマトゥデイ

感想・レビュー

『キル・ビル Vol.1』はクエンティン・タランティーノ監督・脚本の2003年の映画です。

公開当時、かなり宣伝されてた記憶があります。ハリウッドの映画でありながら日本がかなりフィーチャーされた内容だったからでしょうか。

しかし、実際は他の単純なアクション・エンターテインメント映画とはとても同列には並ばない作品でもあります。

少なくとも絶対にデートムービーにはなり得ない映画。

宣伝に騙された人けっこういるんだろうな。。

クエンティン・タランティーノの作家性を知っていれば、B級スプラッターのカルトアクションムービーだとわかるんですが。

逆にそれを楽しめる人でないと、『キル・ビル Vol.1』には肩透かしを食らったような気分になるのではないでしょうか。

監督・脚本のクエンティン・タランティーノについて説明すると、タランティーノは幼い頃から映画マニアの母とともに映画を観て育ち、大人になるとレンタルビデオ屋の店員として働くようになります。そこでさまざまな映画に触れ、文字通り映画漬けの日々を送ります。

いわゆるB級映画や日本を含むアジア映画にも造詣が深く、映画オタクが高じて監督になったタイプの人。

同じオタク型の監督であるギレルモ・デル・トロが特撮や怪獣やロボット映画のマニアであり、映画の中にそれらへの偏愛は感じさせつつも、エンターテインメントとしてのカタルシスやテンポはあくまで王道であるのに対して、タランティーノの映画のテンポはかなりぎこちない部分があります。

特にそれは今作の『キル・ビル Vol.1』で顕著ですね。

静かなトーンで幕を開けるオープニングから序盤のとの戦いに突入するその唐突さ、そしてバトルシーンも不意に中断したりと一般的なエンターテインメント映画のリズムでは撮られていない、それがタランティーノの作家性の一つだと思います。

もう一つは暴力シーン。80年代のスプラッターホラー映画へのオマージュとして演出されていて、明らかにギャグなんですね。噴水のように溢れる血飛沫とかもうメチャクチャ。

ヤクザを演じた國村準もタンカ切ったは良いものの、あっという間にルーシー・リューに首チョンパされてしまいます。

それと同時に突然暴力シーンが訪れるのもポイント。

暴力をストレートに写し出すのは北野武監督や深作欣二監督などのバイオレンス映画の影響もあるのかと思います。

流石に後半の青葉亭の場面ではチャンバラ・エンターテインメントになっていますが、序盤のヴァニータ・グリーンとの戦いなどはその最たるものです。

青葉亭でルーシー・リューとその部下と戦うこのシーンには『マトリックス』の影響も感じられます。カンフーシーンの振り付けも『マトリックス』と同じユエン・ウーピン。ただ、やはりテンポに独特のぎこちなさがあります。

フランスの映画監督のジャン・ピエール・ジュネは『エイリアン4』でハリウッドに招聘されたとき、ハリウッドのアクション映画のカット割りを細かく分析したそうです。

確かに『エイリアン4』は王道のエンターテインメント映画としてのカットであったりテンポで構成されており、ジュネが如何にハリウッド映画ということを意識して撮影していたかがわかります。

ジュネの他の作品、例えば『アメリ』や『ミックマック』の作品のテンポやリズムはいわゆるハリウッドの大作エンターテインメント映画のものとは外れた部分があります。

もちろん、大作映画は芸術というより、緻密に計算され尽くしたヒットを生むための「商品」としての側面が色濃いのですが。。

しかし、タランティーノが惜しみ無く自分の好きなものを映画に投入しまくっていて、オンリーワンの作品になっている、それこそが『キル・ビル Vol.1』の魅力ではないかと思います。

4年間昏睡状態にあったブライドは目覚めた当初、手はなんとか動くものの、足の筋力が衰えて歩くことはおろか、指を動かすことすらできません。

足を動かせないブライドが腕だけで男性看護師を殺し、車椅子で病院から抜け出そうとする、それ自体がユニークな設定ではあるものの、それ以上に看護師のクルマに乗り込んだ後にブライドが足を動かそうとする(正確には足の指を回そうとする)ことに時間を費やしています。

そしてを男性看護師を殺してから13時間後足が動くようになり、ようやく病院の駐車場から出ていくのです。

足の指を動かすのにこれだけの時間を費やするのも一般的な映画だとほとんどあり得ないと思います。

また昏睡状態から目覚めた状態で、足が動かないというのはリアルかとは思うのですが、それでも13時間後にはほとんど回復しているという驚異の早さ、そして13時間経っても殺人がバレていないことは良くも悪くも「ご都合主義」ではあると思います。

ちなみに映画評論家の柳下毅一郎氏は『リハビリなしで4年間も昏睡状態にあった人がいきなり動けるようになるなんてあり得ない』と「ベスト・オブ・映画欠席裁判」で発言されていますが、『バトル・フィールド・アース』なんて1000年間放置しといた戦闘機がいきなり完璧に動作するなんてトンデモ演出を大真面目にやっていることに比べたら可愛いものです。

前述したように、『キル・ビル Vol.1』はタランティーノの好きなもので構成された映画。

それがキャラクターに独特の魅力を与えています。

例えば、沖縄に降り立ったユマ・サーマンが着ているオキナワTシャツ!

「私に欠けているものは慈悲と寛容」と言っていたブライドは何を考えてそのTシャツを買ったのか・・・。そんなことを思うとブライドの人間味が可愛らしく思えてきます。

まるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような映画の『キル・ビル Vol.1』。

そのごちゃごちゃ具合はタランティーノの盟友、ロバート・ロドリゲスの映画にも通じるものがあります。

変な映画やカルト映画などの個性的な映画が好きな人には超おすすめの作品です。