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「バトルフィールド・アース」のスタッフ・キャスト
監督
ロジャー・クリスチャン
脚本
コリー・マンデル
J・D・シャピロ
原作
L・ロン・ハバード
製作
エリー・サマハ
ジョナサン・D・クレイン
ジョン・トラボルタ
製作総指揮
アンドリュー・スティーヴンス
アショク・クマール
ドン・カーモディ
出演者
ジョン・トラボルタ
バリー・ペッパー
フォレスト・ウィテカー
「バトルフィールド・アース」のあらすじ
異星人サイクロ人によって人類はわずか9分間で壊滅した。
それから1000年後、わずかに生き残った人間は文明を忘れ、原始人さながらの生活を送っていた。サイクロ人は地球に巨大なドームを作り人間を奴隷にして鉱物資源の採掘を行っていた。地球人の青年ジョニーは山の洞穴に隠れ住む村の出身。そこは食糧も乏しく村人たちは常に死の恐怖におびえて暮らしていた。ジョニーは人類安住の地がどこかにある事を信じて旅に出るが、サイクロ人の奴隷狩りに捕らえられてしまう。
サイクロ人の地球指令隊長タールは一刻も早く地球から出たいと思っていた。名門の家柄である彼にとって、地球のような辺境の地でくすぶっている事はとても我慢できなかった。そんなとき金の鉱脈が発見される。タールはそれを裏金にして地球から離れようと考える。ところが金鉱脈の周囲の大気には放射能が含まれていた。サイクロ人の呼吸ガスは放射能と反応すると爆発を起こしてしまうため、サイクロ人は近づく事ができなかったのだ。
タールは地球の人間を教育して金鉱脈を掘らせる事を思い付く。そこで目に付いた地球人ジョニーを「学習機」に掛けてサイクロ人の言語や知識を憶えさせる。一方、ジョニーはサイクロ人の知識を利用して人類を救おうと考える。そして仲間と共に金鉱脈を掘るふりをしながらサイクロ人と戦う準備を着々と進めていった。
出典:バトルフィールド・アース (映画) – Wikipedia
感想・レビュー
これは観なければ!と思う作品がたまにあるんですけど、『バトルフィールド・アース』はまさにそんな作品のひとつ。
もちろん、バカ映画として。
この『バトルフィールド・アース』、知ってる人は知っている、有名な底抜けSF映画なのです。
原作はトム・クルーズも信者の宗教『サイエントロジー』の創始者、L・ロン・ハバードのSF小説。それを同じくサイエントロジー信者ジョントラボルタが私財を投げ売って(投げ捨てて?)映画化。
なにしろ、トラボルタにとっては「この作品の映画化は私の夢だった」と語るほどの強い思いの込められた作品のはずが、蓋を開けてみれば大コケ。
ラジー賞では
2001年:第21回ゴールデンラズベリー賞
最低作品賞:バトルフィールド・アース
最低監督賞:ロジャー・クリスチャン
最低主演男優賞:ジョン・トラボルタ(『ラッキー・ナンバー』に対しても)
最低助演男優賞:バリー・ペッパー
最低助演女優賞:ケリー・プレストン
最低スクリーンカップル賞:ジョン・トラボルタ&バトルフィールド・アースで彼と一緒にスクリーンに映ってしまった人全部
最低脚本賞:コリー・マンデル、J・D・シャピロ
2005年:第25回ゴールデンラズベリー賞
25周年最低ドラマ賞:バトルフィールド・アース
2010年:第30回ゴールデンラズベリー賞
2000年代最低賞:バトルフィールド・アース
という堂々の評価を残しています。
『バトルフィールド・アース』は決して笑わせようだとか思ってなく、至って真面目に作られたSF映画なのですが、その割には突っ込みどころ満載。。
ちなみにジョントラボルタ主演とのふれこみではあるものの、主人公はバリー・ペッパー演じる地球人のジョニー。トラボルタはあくまで敵の宇宙人、サイクロ星人という役柄です。
しかし、そもそも、このサイクロ星人の設定からしてまず可笑しい。
地球人と同じように英語を話し、バーで酒をのみ、銃をもち、どこの学校に息子が入るか、出世はどうなるかが会話の話題。
『2001年宇宙の旅』でスタンリー・キューブリックが宇宙人の外見を科学的・論理的にどうしても納得できるものがなく、物質であるモノリスを登場させたなんていう悩みを遥か数千光年まで吹きとばすかのような設定。
同じくSFバカ映画の『リディック』でさえ、姿形は同じでも、せめて文化だけは宇宙人同士異なるように描いていたのに!
1000年後の世界
今作の舞台は西暦3000年。ざっと今から1000年後の世界です。
それなのに、図書館には本が普通に残っていたり(1000年も経つともはや紙の名残すらなくなる気がします)、戦闘機がそのまま使えたり(燃料や電気系統はどうなっているのか??)、とても1000年も経った世界には見えないいい加減さ。
『ターミネーター4』の世界とあまり変わらん。。
サイクロ星人はアホなのか?
極めつけは地球を9分で制圧したとされるサイクロ星人のアホさ加減。
今回の敵役のトラボルタなんですが、狡猾で非情、それでいて頭の切れる男として設定されたはずなのですが、はっきり言ってアホ。
例えば地球人のなかでも特に反抗的な主人公のジョニーにあろうことか、サイクロ人の言語から文明まですべてを教えてしまう。
ほかにも採掘された金が延べ棒になっている(実際はよその金の貯蔵庫から延べ棒を運んでいただけ)ことを、『延べ棒に加工した方がサイクロ人にふさわしいと思って』というジョニーの良いわけをそのまま信じてしまったり。
挙げ句のはてに、ドームを脱出したジョニーたちが空腹に耐えかねて食べたネズミを『地球人はネズミが好物なのか!』と勘違い。
1000年以上もサイクロ星人は地球にいたのなら、なぜ地球人の好みくらい把握できていないのか?
映画としても、終始ナナメに傾いている画面や、画面のカラートーンが脈絡なく変わるなど、意味不明な演出がてんこ盛り。
サイクロ人のドームの風景の描写はまんま『ブレードランナー』だし、ジョニーが反乱を起こすときの銃撃戦はそのまんま『マトリックス』のロビーの銃撃戦。
かといって当然『マトリックス』よりカッコいいわけでもなく(ネオはロビーで敵を銃撃していたわけですが、ジョニーはただ逃げてるだけ)、特撮に関して言えば、『バトルフィールド・アース』より20年も前の『ブレードランナー』に負けている始末。
さらに言えばサイクロ星人の登場シーンは「プレデター」にも似ているなぁ。頭ドレッドだし。
みんなでツッコミながら観るのが正しい『バトルフィールド・アース』の観賞法かと思います。
ちなみに、地球を9分で制圧したとされるサイクロ星人ですが、サイクロ星人の母星、サイクロ星は地球人によって30秒くらいで爆発させられました。