1988年からはギルドホール音楽院に入学。舞台デビューはシェイクスピア『トロイラスとクレシダ』のアガメムノン役でした。同校で3年間にわたって学び、1991年に卒業。
映画デビューは翌1992年の『パワー・オブ・ワン』。1998年の作品『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』のジョージ・ダイアー役ではエディンバラ国際映画祭最優秀演技賞を受賞します。
2005年に5代目ジェームズ・ボンドであったピアース・ブロスナンの引退を受けて、第6代目ジェームズ・ボンド役への抜擢が発表ました。
それまでのジェームズ・ボンドとは異なる金髪のボンドということや、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じてきた俳優の中では比較的小柄であることなどから大きなバッシングが巻き起こり、アントサイトが開設されるほどになりました。しかし、そんな中公開された『007 カジノ・ロワイヤル』ではダニエル・クレイグは原作に忠実なボンドを演じ切り、「ショーン・コネリー以来の最高のボンドだ」と評されるほど、興行面・批評面においても絶賛される結果となりました。また、今作の演技によって『007』シリーズ初の英国アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされています。
ダニエル・クレイグが演じた007
ダニエル・クレイグは以下の作品でジェームズ・ボンドを演じています。
第21作 007 カジノ・ロワイヤル
『007 カジノ・ロワイヤル』は2006年に公開された『007』シリーズ第21作目の作品です。
監督は『007 ゴールデンアイ』でも『007』シリーズの監督を務めたマーティン・キャンベル。
原作はイアン・フレミングの小説『007』シリーズ長編第1作。
元々『007 カジノ・ロワイヤル』は1967年に一度映画化されています。その時に公開された『007 カジノ・ロワイヤル』は『007』シリーズをパロディにしたコメディ作品でしたが、今作では比較的原作に忠実な映画に仕上がっています。
ダニエル・クレイグ版の『007』はシリアスでリアリティのあるボンド映画に回帰しました。
ジョージ・レーゼンビーがジェームズ・ボンドを演じた『女王陛下の007』以来の悲恋に終わるボンド映画です。
第22作 007 慰めの報酬
『007 慰めの報酬』は2008年に公開された「007」シリーズ第22作目の作品です。
監督は『ネバーランド 』『ワールド・ウォーZ』なども務めたマーク・フォスター。
原作はイアン・フレミングの007原作は唯一映像化されていなかった短編『ナッソーの夜』になります。
『007』シリーズの中で唯一前作の直接的な続編という位置づけになっており、前作のラストから物語が始まるようになっています。
今作でダニエル・クレイグはヴェスパーの復讐に燃えるボンドを熱演。現実の世界における「水利権」をテーマにした作品でもあります。
第23作 007 スカイフォール
『007 スカイフォール』は2012年に公開された「007」シリーズ第23作目の作品です。監督は『アメリカン・ビューティー』でアカデミー監督賞を受賞したサム・メンデス。
今作ではジェームズ・ボンドの過去が明かされるとともに、彼の生家である「スカイフォール」が登場します。
今作は『ゴールデンアイ』からMを演じてきたジュディ・デンチの最後の007作品でもあります。(厳密には次作の『007 スペクター』にも登場しているのですが、ビデオレターという形でのカメオ出演だったからかクレジットはされていません。)
第24作 007 スペクター
『007 スペクター』は2015年に公開された「007」シリーズ第24作目の作品です。
監督は前作に引き続きサム・メンデスが務めています。
第25作 007 ノー・タイム・トゥ・ダイ
『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』は2021年に公開予定の『007』シリーズ最新作。
前作『007 スペクター』がダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる最後の作品になるかと思われましたが、のちにこの作品をもってジェームズ・ボンド役を降板するとアナウンスされています。
監督は当初ダニー・ボイルが内定していましたが、「創造性の違い」により降板。
後任に日系アメリカ人である キャリー・ジョージ・フクナガを迎え制作が始められました。
その他のジェームズ・ボンド
これまでに見てきた上記の作品たちはイーオンプロダクション制作のいわゆる「正史」の『007』シリーズですが、それ以外にも『007』は以下の作品で映像化されています。
ここではその他の「正史以外の」ジェームズ・ボンドを紹介します。
バリー・ネルソン
初代ジェームズ・ボンドと言えばショーンコネリーですが、ショーンコネリーに先立つこと8年前に世界で最初に映像化されたジェームズ・ボンドがドラマ版「007」です。
今作でボンドを演じたのがバリー・ネルソン。そのためバリー・ネルソンを指して初代ジェームズ・ボンドという人もいます。
バリー・ネルソンは 1917年生まれ、アメリカ サンフランシスコ出身の俳優です。
カリフォルニア大学バークレー校を卒業した後、1941年に『影なき男の影』でデビュー、1954年にはドラマ版「007」でジェームズ・ボンドを演じます。
その後も80年にはスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』などの作品にも出演しています。
ドラマ版「007」
ピーター・セラーズ
007/カジノロワイヤル
『007/カジノロワイヤル』は1967年に制作された『007』のパロディ的な作品です。
1967年に公開された007映画の番外編とでもいうべき映画『カジノ・ロワイアル』。元々『カジノ・ロワイヤル』は55年に映画化の権利を取得されながらも、その後10年以上に渡って実際に映画化されることはありませんでした。
別の会社が権利取得した『007 ドクター・ノオ』が先に映画化され、それに続くシリーズがヒットしたことから、『カジノ・ロワイヤル』も正規シリーズとしての映画化を模索するも、別会社との交渉が決裂。そのために『007』含む当時のスパイ作品をパロディにするようなコメディ調の作品として映画化することに。
原型をほとんど留めないその仕上がりは今日においてもカルト映画として高い評価を得ています。
ショーン・コネリー
ネバーセイ・ネバーアゲイン
1983年に公開された映画『ネバーセイ・ネバーアゲイン』。同作はショーン・コネリーが12年ぶりに007に復帰した作品でもありますが、タイトルの由来はショーン・コネリーの妻が再びジェームズ・ボンド役のオファーに迷っていた夫に「もうやらないなんて、そんなこと言わないで(ネバーセイ・ネバーアゲイン)もう一度おやりなさい」と言った言葉からつけられたそうです。