いつの時代にも、時代を越えて愛される映画があります。ですが、どの映画もそれぞれ作られた時代の空気をまとっています。今回は50年代のおすすめ名作映画をご紹介!
この記事のコンテンツの目次を見る
ローマの休日
『ローマの休日』は1953年公開のウィリアム・ワイラー監督、オードリー・ヘプバーン、グレゴリー・ペック主演の恋愛映画。
恋愛映画を超えて、映画史に燦然と輝く名作であることは言うまでもありません。
当時新人女優だったオードリー・ヘプバーンの瑞々しさ、美しさはもちろんのこと、個人的な恋愛を国家間の友好にまで昇華させるストーリーの素晴らしさ。
脚本を手掛けたダルトン・トランボは当時赤狩りによってハリウッドを追放されていたため、友人の脚本家ハンターの名前を借りて発表されています。
波止場
『波止場』は1954年公開のドラマ映画。
監督はエリア・カザン、主演はマーロン・ブランドという、まさに名監督と名優を擁した作品です。
前述のトランボとは反対に、赤狩りの力に屈してしまったカザン。
この作品は、カザンが自らを正当化しようとした作品だとも言われますが、逆に理想と贖罪を込めた作品として観ることもできます。
1954年のアカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞など8部門受賞に輝いた名作です。
ゴジラ
『ゴジラ』は1954年に公開された、ゴジラ映画の第一作目となる作品です。
まだ戦後10年と経っていない時代、この『ゴジラ』には現実の壁が戦争の爪痕がそのまま刻み込まれています。
東京を襲うシーンは東京大空襲の再現のようにも見え、都市を破壊し闊歩していくゴジラは悪魔的な印象すら与えます。
逃げ惑う人々の中でも、幼い子供を抱えて「もうすぐお父ちゃんのところへ行くのよ」と子供たちに聞かせる母親が印象的です。言うまでもなく、父親は戦争で戦死したのでしょう。
またゴジラの出現に対して、「また疎開か」とぼやくセリフなども、この映画が戦争とどれだけ近い距離にあったかをよく表しています。
世界に影響を与えた特撮映画の金字塔にして、エンターテインメントと社会的なメッセージを高いレベルで両立させた、稀有な名作です。
ゴジラ映画の原点にして頂点。以降に作られた幾作ものゴジラ映画も、未だにこの作品を超えることはできないでしょう。
勝手にしやがれ
「勝手にしやがれ」は1959年に公開されたジャン=リュック・ゴダール監督の長編デビュー作品です
主演は当時新人だったジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグ。
ヌーヴェル・ヴァーグの代表的な作品として知られています。
ジャン=リュック・ゴダールの長編デビュー作品です。
ジャン=ポール・ベルモンドが演じる主人公のミシェルが「カサブランカ」のハンフリー・ボガートを崇拝しているという設定からもゴダールのアメリカの犯罪映画への憧れが反映されていることがわかります。
デビュー作ということでカットの編集の粗さや予算のなさによるロケ主体の撮影のため終始画面が揺れ続けているなどの点はあるものの、当時はそれが斬新だと芸術的に受け入れられ、ヌーヴェル・ヴァーグの代表的な作品として認知されるようになりました。