今回は三木聡監督最新作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』の裏話・トリビアを特集します!
撮影初日に死にかけた阿部サダヲ
『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』のクランクインは2017年の11月3日。撮影内容はシンとふうかが初めて出会うシーン。その撮影は消防車から出る大量の放水を半裸の体に浴び続けるというもの。
どんな役でも引き受けてきたという阿部サダヲさんですが、さすがに演技で死にかけたのは初めてだったとのことです。
細かくは言えないですけど僕がぶっ倒れて水をビシャーって浴びる撮影で、そのビッシャーがすごく長くて! メイクが取れるまで浴びるわけです。何トンだったかなあ。初日の夜中なのにいきなりびしょびしょ。本当に死にかけましたからね。しかも「そのまま口を開けて思いっきり痙攣(けいれん)してください」って言われて。口を開けていると水が全部入ってくるでしょ? さすがに「俺もうこのまま死ぬ!」って思って。カットがかかる前に立ち上がってしまったのは初めてかもしれない。
出典:『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』阿部サダヲ 単独インタビュー – シネマトゥデイ
フルメイクで現場を後にした阿部サダヲ
阿部サダヲの水関連の災難は他にも。
撮影最終日は映画の冒頭のシンのライブシーン。そうとう濃いメイクをしていた阿部サダヲさんのためにシャワーも現場に用意されていたのですが、何らかの不手際でシャワーからは水しか出なかったとのこと。
結局阿部サダヲさんはシンのメイク姿のまま帰ったそうです。
撮影後はシンのメイクのまま帰りました(笑)。初日も大量の水を浴びまくるシーンだったんですけど、最終日もすごいことになってましたね。
出典:映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」特集|阿部サダヲ×三木聡対談 / コンピレーション盤全曲解説 – 音楽ナタリー 特集・インタビュー
阿部サダヲのキャスティングは7秒で決まった
今回の主人公、シンを演じる俳優に求められたのは単なるロックミュージシャンを演じられる人間と言うだけではなく、松尾スズキさんやふせえりさんと言った一流のコメディ俳優とも対等に渡り合えること。
三木聡監督は「環太平洋を見回しても、阿部さんしかいない」というほど、シンのキャスティングはすぐに阿部サダヲさんに決まったそうです。
歌はもちろん、ライブのシーンもあるし、松尾スズキさんやふせえりさんとのコント的な芝居も求められて、ヒロイン役の吉岡里帆ともドラマを作っていかなくちゃいけない。つまり全方位的な演技の引き出しが必要なんだけど、僕もプロデューサーも阿部さん以外に思い付かなくて。7秒くらいで決定しました(笑)。
出典:映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」特集|阿部サダヲ×三木聡対談 / コンピレーション盤全曲解説 – 音楽ナタリー 特集・インタビュー
麻生久美子の眼帯の理由
劇中で麻生久美子さん演じる銀髪で眼帯というかなりエキセントリックな女医。
映画本編では明かされなかったものの、公式サイトにはそのバックグラウンドまで解説されています。
東京のアンダーグラウンド、主にダークサイドの患者ばかり診ている救済病院の女医。かつて国境なき医師団のメンバーとして活動していたこともあり、片方の目はその時に戦闘に巻き込まれて失っている。プライベートは謎。
実は一切アドリブなし!
相変わらず全編にわたってギャグの多い三木聡映画ですが、意外にもアドリブは一切なし。
今作でもアドリブと呼べるのは松尾スズキの「より目」くらいなもので、セリフを一言一句脚本通りに言うのはもちろん、句読点や間においても「完璧さ」が求められたそうです。
阿部サダヲさんのインタビューより
実はアドリブはないんですよね。突拍子のないセリフとかも、全部脚本通りなんです。リアクションとかもすごく細かく演出していただけるので。三人のシーンも三木監督の演出に合わせていく感じでした。
吉岡里帆さんのインタビューより
組の一人として、面白いものにしなければと感じました。実際に演じて思ったのが、コメディの “間” の難しさです。監督が、微妙なところまで徹底してこだわっていて、セリフも、一言一句間違えられないプレッシャーがありました。
というのも、監督が事前に、「台本に書いてあるセリフは、句読点に至るまで、全部忠実に言ってほしい」とおっしゃっていたんです。1ヵ月前に、舞台のお稽古みたいなリハーサルがあったとき、私の場合はその “間” で何度も躓きました。
うまくいくシーンもありましたが、全然監督に響かないシーンも多くて……。「なんか違うんだよな」みたいに、ぽろっと呟くんです。“間” がちょっとでも違うと “ピクっ” てなって(笑)。コメディなので、どこまで面白くなるかは、話し合いながら、緻密に作っていった感じです。
自分のやってることを理解していなかった聖飢魔Ⅱのおばちゃん
映画の中で無数に笑いどころはあるのですが、大きな一つは岩松了さん演じる「無料レコード」社長の審査のもと行われるオーディションのシーン。
そこではオーディションに来たおばちゃん二人が聖飢魔Ⅱの名曲『蝋人形の館』をアカペラで唄うという何ともシュールなもの。
彼女たちは自分たちが何を演じているか把握していなかったという裏話がありました。
リハーサルをして台本をちゃんと把握してから演じている僕らと違って、オーディションを受けに来た設定のおばあちゃん二人組に関しては全く分かっていない状態だったんです。そのおばあちゃん達が劇中で聖飢魔Ⅱを歌ってるんですけど、監督に“中指を立ててください”と言われて“なんでですか?”と返していて(笑)。その様子を見てたらなんだか力が抜けてきて楽しくなっちゃったのを覚えています(笑)
出典:『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』阿部サダヲインタビュー – SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)