隠れた名作映画11. 『ペルシャ猫を誰も知らない』
あらすじ
ネガルと、アシュカンはイランで活動するミュージシャン。二人は規制の激しいイランを抜け出して、ロンドンで演奏することを夢見る。
しかしアシュカンは無許可の演奏により逮捕されており、ようやく釈放されたばかり。
ふたりは便利屋のナデルの仲介で違法にパスポートを入手しようとしたり、またバラバラになってしまったバンドメンバーを再び集めようと、イランの多岐にわたるミュージシャンに声をかけてゆく。
ここがおすすめ
自由を制限された環境の中で、文字通り命がけで自由を求めるミュージシャンの姿を描く作品です。
イランでは1979年のイラン革命以来、伝統的イスラムに基づく社会改革が行われ、西洋文化は音楽を含め厳しい規制の下にあります。
この映画に映し出されるミュージシャンからは自由への渇望、音楽への渇望が痛いほど伝わってきます。
「ペルシャ猫を誰も知らない」の製作がイラン当局の規制を受けていないため、映画ではありのままのリアルなテヘランの姿を観ることができます。(ちなみにテヘランはイランの首都)
そこには日本と変わらない車の行きかう都市らしい光景や、子供の手を引く母親といった家族の日常の風景の一方で、ネズミが徘徊するようなごみの山の中で眠るホームレスのような人々の姿も真実として映し出されます。
普段我々が観る映画はハリウッドの洋画か、邦画がほとんどでしょうが、イランもマイナーながら昔から評価の高い名作映画を生み出してきました。
その中でも「ペルシャ猫を誰も知らない」はイランの現実がわかる稀有な作品、そしてあらためて自由とは何かに目を向けさせてくれるまさに名作と呼べる映画です。
隠れた名作映画12. ぼくのエリ 200歳の少女』
あらすじ
ストックホルム郊外で母親と暮らす12歳のオスカー。彼は同級生から執拗にいじめを受けている。オスカーは家庭にも居場所がなく、鬱屈した気持ちとナイフをポケットに忍ばせ、彼らに復讐する妄想をしていた。
ある晩、彼のアパートの隣の部屋にある親子が引っ越してくる。そしてオスカーは夜の公園で、引っ越して来た同い年くらいの「エリ」と出会う。
学校にも行かず、孤独がちなエリ。オスカーとエリは自然と惹かれ合っていく。
同じころ、オスカーの家の周囲で殺人事件が相次いでいた。ある青年は喉を切られ、血を抜かれていた。
そんな中、オスカーはエリの勧めもあり、いじめっ子をやり返そうとしていた。
ここがおすすめ
映像も、ストーリーも、ものすごく美しい映画です。
ホラー映画でもあり、ファンタジックなラブロマンス映画でもあります。
刹那的な今という時をただエリと生きようとするオスカーの願いや行動の儚さは哀しい青春であり、ある意味では純愛映画とも言えます。
そんな危うくも美しい二人の関係、そして、エリの吸血鬼ゆえに「人の血がなければ生きられない」という業からくるホラー描写とサスペンス。
北欧の透けるような白銀の中、それぞれの要素が絶妙に絡み合い、退屈させない作品になっています。
間違いなくおすすめの名作です。同じジャンルでこの作品に比肩する作品はなかなかないのではないでしょうか?
2010年にはクロエ・グレース・モレッツ主演で『モールス』としてハリウッドリメイクもされていますね。
隠れた名作映画13. 『クリスティーナの好きなコト』
あらすじ
クリスティーナは自他ともに認める「イケてる女」。
「恋愛本?そんなもの私には必要ない、頼るだけ時間の無駄!」そう言ってはばからない彼女が「本当の恋」を見つけていくストーリー。
ここがおすすめ
人気絶頂期のキャメロン・ディアスがハチャメチャな下ネタを全開にしてる作品。
下ネタ系統の映画はコメディ系だとままあるのですが、その中でもこれは最高峰ではないでしょうか?、
ミュージシャンの大槻ケンヂ氏も『この映画はカルト化するのではないか』ということを著書で書かれていました。
三、四年ぶりくらいに見返してみると、凄いはやっぱり凄いんだけど、幻想抜きで「女の子同士の普段の会話ってこういう感じなのかな?」と思ったりもしました。キャメロン・ディアス含む主演3人のハジケっぷりが素晴らしいです。特にキャメロン・ディアスはブレイクして全盛期の頃だと想うのですが、よくOKしたなぁと。。(本人も得点映像の中で「台本をみてびっくりした」と述べていますね。)
内容は伏せ字にするレベルなので書けません!ごめんなさい!
隠れた名作映画14. 『ミスター・ノーバディ』
あらすじ
2092年の世界。そこでは医学の進歩により、どれもが不老不死の生活を謳歌していた。そんななかで、118歳のニモと呼ばれる老人が世界で最後の命に限りのある人間だった。老衰によりまもなくその生涯を終えようとしているニモは、自らの過去を回想していく。
ここがおすすめ
人生のいくつもの岐路と選択とその先にある可能性。それらを同時に経験することは不可能ですが、『ミスター・ノーバディ』は見事にそれを一つの作品にまとめ上げることに成功しています。
映画という作品の表現の可能性。そして緻密に練り上げられた作品。マイナーながらも名作な映画というのはこのような作品を言うのでしょう。
隠れた名作映画15. 『ベクシル 2077日本鎖国』
あらすじ
テクノロジーの急速な発展により寿命が大幅に伸びた21世紀の日本。しかし国際連合は日本のテクノロジーの危険性を懸念し、日本に対し規制をかけようと働きかける。
日本は国際連合の意見に沿うことなく2067年にハイテクを駆使し鎖国状態に突入し、海外から日本の情勢を知ることはできなくなった。
10年後の2077年。アメリカ合衆国の特殊部隊・SWORDは日本の会社大和和重鋼が協定に反したロボット研究を行っている」との情報をもとに日本への潜入を決行する。
ここがおすすめ
隠れた名作映画16. 『ダイアナの選択』
あらすじ
高校生の時、反抗的な性格のダイアナは真面目な優等生のモーリーンと親友になります。
友達になって一年がたった頃、クラスメイトによる銃乱射事件が発生。トイレで逃げ遅れていたところを運悪く犯人に見つけられてしまった二人。犯人からは「どちらかを殺す?」と言われました。どちらかを助け、もう一人は殺すと。
究極の問いを突きつけられたダイアナの選択は?
ここがおすすめ
こちらも『ミスター・ノーバディ』と同じく選択をテーマにした作品。ただこちらはSFではない分だけそのリアルさが胸に迫ってきます。
隠れた名作映画17. 『エンジェル・ウォーズ』
あらすじ
1950年代のアメリカ。ベイビードールは、継父ののたくらみによってレノックス精神病院に閉じ込められてしまう。5日後にロボトミーを受けることになったベイビードールは同じ精神病患者の女性4名とともにファンタジーの世界へと飛び込み、自由を求めて戦うことになる。
ここがおすすめ
オタク系監督のザック・スナイダー監督のシュミ全開な作品。
ストーリーを追ってしまうとつまらないと思うんですが、エミリー・ブラウニングの可愛らしさとセーラー服とニーソとバトルヒロインのキュートさだけでもうカルト映画に推しちゃいます!(笑)
おまけに敵はドラゴンだったりロボットだったり節操なし。男の子の好きそうなものを先に全部詰め込んで後からストーリーくっつけたんじゃないの感が半端ないです。
そもそもこのザック・スナイダーという監督、「300(スリーハンドレッド)」とか勇壮な作品も撮ってるんだけれど、もともとコミックやアニメに造詣が深く、オタク気質。
本作は強烈なビジュアルがありながらストーリーの弱さをカバーしきれず、批評家からの評価は芳しいものではありませんでした。
しかしながら個人的にはだからこそカルト化していく可能性の高い映画だと思っています。
隠れた名作映画18. 『エド・ウッド』
あらすじ
エド・ウッドは映画監督としての成功を夢見る若者。情熱はあるものの、才能がなく、同い年で成功を納めるジョージ・ウェルズと自分を比べながら悶々とした日々を過ごしていた。
そんな中に舞い込んだ、『世界初の性転換手術成功』のニュース。エド・ウッドは自身の女装癖も織り混ぜて、プロデューサーに監督させてくれるように頼み込む。
晴れて出来上がったその作品、『グレンとグレンダ』は性転換の作品ではなく、女装癖のある男と科学者もいるわけのわからない作品となってしまった。
当然スポンサーは怒り出すが、エド・ウッドには新しい出会いがあった。
かつてホラー映画で一世を風靡した役者、ベラ・ルゴシである。
ベラ・ルゴシの名前を全面に押し出し、エド・ウッドは更なる作品を撮ろうとするも、またも評価は酷評の嵐。
スポンサー探しも難航するが、洗礼を条件に教会が新作のスポンサーになることに。
こうして撮影が始まった『プラン9フロムアウタースペース』だが、その撮影の最中、ベラ・ルゴシが死去。
また、スポンサーの過大な干渉にも嫌気がさし、スタジオを飛び出すことに。
しかし、ある人物との邂逅が、エド・ウッドに映画への情熱を取り戻させ、そしてかれの最高傑作『プラン9アウタースペース』が完成する—。
ここがおすすめ
世界最低の映画監督して映画ファンには有名なエド・ウッド。
(※一般的にはまだまだ無名なんですけどね!)
本作はジョニー・デップとティム・バートンの定番コンビでそんなエド・ウッドの黄金期を描いた作品です。とはいっても、エド・ウッドの映画で当時評価された作品は皆無。彼が映画製作に情熱を捧げていた時期としての黄金期です。
エド・ウッドの映画への愛情、ひたむきさをティム・バートンがどこまでも優しい視点で取り上げています。映画に対する情熱と愛情だけで突っ走ったエド・ウッド。前向きになれる作品です。
隠れた名作映画19. 『スパイナル・タップ』
あらすじ
1960年代にデビューしたイギリスのロックバンド、スパイナル・タップ。彼らのアメリカツアーと再ブレイクへの挑戦を追ったモキュメンタリー作品。
取材の中でスパイナル・タップのバンドの軌跡が明かされる。
ここがおすすめ
「スタンド・バイ・ミー」「ミザリー」「最高の人生の見つけ方」などのロブ・ライナーの初監督作品です。
架空のロックバンド「スパイナル・タップ」の再ブレイクまでを追うというストーリー。
「いや映画好きには有名でしょ!」というツッコミが来そうですが・・・一般的にはマイナーかなと思うのでご了承ください。
ホラーではなくて、コメディなのでアハハと笑えるところも多いです。
ちなみにスパイナル・タップは厳密にいうと半分架空のロックバンド。映画の人気により、現実でもアルバム発売やライブ活動などロックバンドとして存在しているからです。
ミュージシャンの大槻ケンヂ曰く、「ロック・バンドを描いたどの映画よりもリアル」だそうです。
他にも世界の名だたるミュージシャンが『スパイナル・タップ』を評価しています。
隠れた名作映画20. 『キューブ』
あらすじ
ここがおすすめ
ホラーサスペンス系の映画ですが、アイデアが秀逸ですね。
「CUBE」という正立方体の中に閉じ込められた6人がどうCUBEから脱出するかという話。
5000万円という低予算映画ですが、その面白さ、完成度が評判を呼び、数多くの亜流作品も生まれています。
正統な続編としては「キューブ2」「キューブ ゼロ」がありますが、一般的に最も評価が高いのは第一作目のこの作品です。
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