【上映禁止】なぜ?日本で劇場未公開になった映画まとめ

いままで日本国外で上映禁止になった映画をご紹介してきましたが、今回は日本で劇場未公開になった映画をまとめてみました。

先行して公開された海外での成績がよくなかったり、特殊な事情が絡んでいたり、映画というのは芸術であると同時にビジネスなんだなと言うのを改めて感じる結果になりましたね。

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マザー!

「マザー!」は‎2017年に制作された映画。監督はダーレン・アロノフスキー、主演はジェニファー・ローレンスが務めています。

アカデミー賞を受賞した監督と同じくアカデミー賞を受賞し人気絶頂の主演女優という組み合わせながら、日本では劇場未公開となりました。

それはいったいなぜなのでしょうか。暗喩に暗喩を重ねたメタファー的な内容、そしてそれが「とにかく不快」「見なくていい」までの暗い救いのない内容であったことからシネマスコアも最低評価の「F」となってしまいました。

おそらく「日本ではヒットしない」タイプの映画と思われたのではないかなと思います。

ダーレン・アロノフスキー自身も監督作『ブラック・スワン』などはヒットこそしたものの賛否両論を巻き起こすような映画ですから、アロノフスキーの作家性と言えなくもないのですが。。

ショーン・オブ・ザ・デッド

「ショーン・オブ・ザ・デッド」は2004年に制作されたホラーコメディ映画。監督はエドガー・ライト、主演はサイモン・ペグが務めています。

こちらは内容も面白く、今でこそホラーコメディの代表的な作品として認知されていますが、2004年の時点ではエドガー・ライト、サイモン・ペグともに日本ではまだ無名であったからかなとも思っています。本国イギリスでは大ヒットしたそうですが。。

むしろこの映画の口コミ効果によって徐々にエドガー・ライト、サイモン・ペグの名前も知れ渡っていったような、そんな印象です。

ちなみに制作から15年経った2019年3月にTOHOシネマズのスクリーンで限定公開されたそう。

クエンティン・タランティーノやニコラス・ホルトも本作のファンとして有名です。



ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ

「ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ」は1985年に制作された映画。監督はポール・シュレイダー、主演は緒形拳が務めています。

製作総指揮にフランシス・フォード・コッポラやジョージ・ルーカスが名を連ね、第38回カンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞するなどの評価も受けています。

なにより緒形拳をはじめとして坂東八十助、佐藤浩市、沢田研二、永島敏行などの日本人キャストと三島由紀夫という世界的な日本人小説家を主題に置きながら、日本では劇場未公開となており、今日までソフト化もなされていません。

その理由には三島由紀夫の未亡人でもある瑤子夫人が三島役の同性愛的な描写などに反対し、また右翼団体の一部が抗議しているという噂があったため。

現在、同映画を観るには海外で発売されているDVDを購入するしかありません。

バース・オブ・ネイション

「バース・オブ・ネイション」は2016年に制作された映画。監督・主演をネイト・パーカーが務めています。

1831年、バージニア州のサザンプトン郡で起こった奴隷反乱を率いた奴隷ナット・ターナーを描いています。

タイトルの「バース・オブ・ネイション」とはD・W・グリフィスが映画芸術を確立させた1915年の作品『國民の創生』と同じ原題であり、グリフィスが『國民の創生』の中で露骨に黒人を差別し、KKKを英雄的に描いていることを皮肉って同じタイトルにしたそう。

しかしながら今作はネイト・パーカーと本作の脚本家のジーン・マクジャンニ・セレスティンが強姦の罪で訴えられるなど、映画そのものとは無関係な暗い話題も付きまといました(のちに無罪)。

サンダンス映画祭では配給権が史上最高額の1750万ドルとなった今作ですが、北米での興行成績は苦戦し、この結果を受けて日本でも当初2017年2月下旬に公開予定だった「バース・オブ・ネイション」は急遽公開中止となりました。

「歴史ドラマは時として売りにくい」とワシントン・ポスト紙は北米での興行成績の原因について述べていますが、似たようなケースとして2004年の映画『ホテル・ルワンダ』も高い評価を受けたにも関わらず、そのテーマと日本人にとって馴染みのない事件を取り扱っていたことから、当初は日本で劇場未公開という同様の経緯を辿っています。


フェンス

「フェンス」は2016年に制作された映画。監督と主演はデンゼル・ワシントンが務めています。

デンゼルワシントンという知名度と実力を射兼ね備えた俳優、また第89回アカデミー賞では作品賞を含む4部門にノミネートされるという実績もある作品ですが、こちらも日本では劇場未公開になっています。

このようなケースは非常に稀であるらしく、その原因について読売新聞の福永聖二氏は複数の映画関係者の発言を以下のように紹介されています。

 映画興行に詳しい映画ジャーナリストの大高宏雄さんは「洋画で当たっているのは、ディズニーの『美女と野獣』のようなアニメと、分かりやすい超大作ばかり。観客はヒットしている作品に集中し、それ以外はだめ、という極端な状況になっている。以前ならヒットしたような、スター出演作や中規模のアクションなどは、ほとんど赤字で、若い人たちは、どんな作品か分からない外国映画よりは、マンガ原作で中身を予想できる日本映画を選ぶ」と言う。

 特に厳しいのがかつて「単館系」と言われたアート系の作品だ。映画評論家の渡辺祥子さんは「今の観客は、自分の尺度を持っていない。誰かが面白いと言った作品を選ぶなど、他者の評価を気にする。考えさせるような作品は避け、気楽に楽しめる作品を選ぶ傾向にあると思う」と語る。

出典:https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170905-OYT8T50058/4/
アカデミー賞「フェンス」はなぜ劇場未公開なのか : 深読み : 読売新聞オンライン

ブラック・サンデー

「ブラック・サンデー」は1977年に制作された映画。監督はジョン・フランケンハイマー、主演はブルース・ダーンが務めています。

原作は『羊たちの沈黙』や『ハンニバル』などの著者として知られるトマス・ハリス。



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