社会派の作品ではあるものの、決して地味ではなく、ただ息子を想う父の愛情がこれほどかと伝わります。
どうしようもなく追い詰められた主人公は病院で人質をとりますが、決して悪人ではないんですよね。その姿は狂気と哀しみを同時に感じさせます。
その姿に人質になっている人たちまで動かされ、ジョンに協力し始めます。それは人質が犯人に共感してしまう「ストックホルム症候群」と言えなくはないのでしょうが、何よりも手段は別にしても、ジョンの主張そのものは普遍的で正しいことだとみんながわかっているからでしょう。
そして極限状態からの奇跡のようなエンディング。
近年流行りのファンタジー的な映画とは対をなす作品ですが、確かな満足感を与えてくれる映画です。