【ジョン・コナー不要論】 ジョン・コナーとは何だったのか?

ジョン・コナー。それは『ターミネーター』ファンにとって、人類の救世主であり、その存在こそが最後の希望、まさに「運命の子」なのでした。
今回はジョン・コナーについて、そのキャラクターの変遷を『ターミネーター』シリーズの各作品から見ていきたいと思います。

スポンサーリンク

『ターミネーター』におけるジョン・コナー

まず『ターミネーター』から。今作ではサラ・コナーを殺害し、ジョン・コナーの誕生を阻止することがターミネーターの目的となっているため、ジョン・コナーは存在していません。
しかし、カイルの話からいかに人類のリーダーとにて優れた男だったかがひしひしと伝わってきます。
レジスタンスをまとめあげ、抵抗軍を組織し、戦い方を教え、人類を勝利に導く。姿形こそ見えませんが、第一作目の『ターミネーター』ですでにジョン・コナーのキャラクターは完成に近いものでした。

『ターミネーター2』におけるジョン・コナー

ジョン・コナーがスクリーンに初めて登場したのは1991の映画『ターミネーター2』から。今作では当時演技未経験だったエドワード・ファーロングがジョン・コナー役に抜擢されています。
そして、その美少年ぶりと相まってジョン・コナーの容姿上の明確な基準はエドワード・ファーロングになりました。

『ターミネーター2』は少年ジョン・コナーの成長物語であり、『ターミネーター3』は一介の若者から指導者としてのジョン・コナーに成長する物語でもありました。
しかし、広く受け入れられた『ターミネーター2』に比べ、『ターミネーター3』のジョン・コナーには否定的な意見も目立ちます。
その理由としては、ジョン・コナーを演じたニック・スタールの顔立ちがエドワード・ファーロングとは違う系統であったこともあるかとは思いますが、人類の救世主となるはずであった男が日雇い労働で自堕落な若者に成り下がっていたことによって、ジョンコナーの持っていたヒーロー性を打ち砕いてしまったことが挙げられます。
『ターミネーター2』でT800との別れの際に涙をこらえながら「行くな」と命令したジョン。わずか10歳の少年ながらも指導者としての側面が垣間見れた瞬間でした。


ジョン・コナーというキャラクターの変質

しかしながら『ターミネーター3』ではとことん落ちぶれた姿で登場してしまうのです。
ここからジョン・コナーというキャラクターの変質が始まります。
一作目で語られるジョン・コナーとは、追い詰められた人類にとっての唯一の希望であり、救世主でした。正に今日のイエス・キリストのようなイメージです。
対して3作目以降は言わば「史的イエス」ともいうべき描かれ方であり、一個人としてのジョン・コナーの実像が描かれています。

この実像としてのジョン・コナー、それもまだ青年であり、人類を指導する立場にはない時期のジョン・コナーにターミネーターシリーズの重圧を耐えるだけの力があったのか?と思います。
カイル・リースには命を懸けてサラを守るという任務があり、サラ・コナーにとっては命を懸けてジョンを守るという使命がありました。
もちろん『ターミネーター4』ではジョンは若き日のカイルを見つけ出し、守り抜くという使命があるにはあるのですが、二人の共演シーンは短く、カイルの保護者してはマーカスの方が長い時間をカイルと過ごしています。

ジョン・コナー不要論

結局のところ、ジョン・コナーは人類全体を救う役割を負っているわけですが、それよりも身近な1人を守る方が観客はキャラクターに感情移入しやすいのかもしれません。 ジョン・コナーは作品世界における最重要人物でありながらも、映画としての『ターミネーター』シリーズを引っ張っていけるキャラクターではないのではないか。

それを検証したと言えるのがリブート作の『ターミネーター 新起動』であるでしょう。
この作品は物語の主人公を再びカイルとサラに戻し、なおかつジョン・コナーを悪役に配するという、ジョンのこれまでの設定を全て覆す大胆なアイデアを採用しています。

このことからも作品の求心力をジョン・コナーに求めていないことは明らかです。
そして6作目の『ターミネーター ニュー・フェイト』では冒頭でジョンはターミネーターに銃撃され、死亡してしまいます。

実はこの展開を考えたのはジェームズ・キャメロン本人。あえてジョン・コナーを殺すことで観客をびっくりさせ、かつ「これから新しい物語が始まる」ことを強烈に意識させることを狙ったといいます。監督のティム・ミラーもこのキャメロンの考えには賛成のようで、審判の日が来ない世界で大人になって教師や会計士になったジョン・コナーの姿は逆に観客をがっかりさせると考えたそう。

また、今作でサラ・コナーをターミネーターに対して深い憎悪を抱えているキャラクターとして再構築されましたが、そのキャラクターに説得力を持たせるためにもジョン・コナーを殺す必要があったとインタビューにて述べています。



この記事を見た人におすすめ

スポンサーリンク
スポンサーリンク