【感想 レビュー】宇宙戦争

『宇宙戦争』は2005年に公開されたSF映画。

監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はトム・クルーズ、ダコタ・ファニングが努めています。

原作はイギリスの作家H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説です。また小説以外にも1953年の『宇宙戦争』(H・G・ウェルズの小説の映画化)にも影響を受けています。

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『宇宙戦争』のスタッフ・キャスト

監督
スティーヴン・スピルバーグ

脚本
ジョシュ・フリードマン
デヴィッド・コープ

原作
H・G・ウェルズ

製作
キャスリーン・ケネディ
コリン・ウィルソン

製作総指揮
ダミアン・コリアー
ポーラ・ワグナー

出演者
トム・クルーズ
ダコタ・ファニング
ジャスティン・チャットウィン

『宇宙戦争』のあらすじ

アメリカのある町である日のこと、突然、稲光が何度も地上にまで達するという異変が起きていた。レイ(トム・クルーズ)は、黙って外出した息子のロビー(ジャスティン・チャットウィン)を探しにいくため、娘のレイチェル(ダコタ・ファニング)に留守番をするよういいつける……。

出典:https://www.cinematoday.jp/movie/T0002732
宇宙戦争 (2005) – シネマトゥデイ



感想・レビュー

『宇宙戦争』は公開当時映画館に観に行っています。当時はあまりピンとこなかった作品だったのですが、15年ぶりくらいに見直すといろんな発見がありますね。

まず目につくのは画質の荒さとドキュメンタリータッチで演出されていること。

その分『ゴジラ』みたいなエンターテインメント映画というよりは、シリアスで重厚な作品になっています。

『宇宙戦争』はどこに目線を置くのかで評価がガラッと変わる作品でもあります。

劇場公開時はあまりピンとこなかったのもまさにこの部分で、主人公であればいつかトライポッドを倒してくれるに違いないとずっと期待しながら観ていたんです。

同じ宇宙人モノでローランド・エメリッヒ監督の『インデペンデンス・デイ』がありましたが、宇宙人の来襲という危機をイケてない大人たちが救うみたいな話ですよね。

例えばジェフ・ゴールドブラムは別れた奥さんに未練タラタラの科学者ですし、戦闘機に自ら乗り込んで宇宙船に攻撃を仕掛ける大統領の支持率は最低でした。

『宇宙戦争』のトム・クルーズも人物設定は似たようなもの。典型的なブルーカラーで、なおかつ親としての自覚もあまりない。

しかし、『宇宙戦争』のトム・クルーズは宇宙人撃退のキーパーソンになるわけでもなく、ただ逃げるのみ。

では私たちは『宇宙戦争』の何を観るべきなのでしょうか。

『宇宙戦争』で見るべきもの

実は『宇宙戦争』ってかなりスティーブン・スピルバーグらしさの出た作品だと思います。

その一つが子供を守るために大人が成長する物語だということ。

ジュラシック・パーク』のサム・ニール演じるアラン・グラントも子供嫌いの考古学博士でしたが、ハモンドの孫のアレックスとティムを恐竜から守るために命を懸けます。

宇宙戦争ではこの子供との関係性の変化をより強烈かつショッキングなまでに見せつけます。その最たるものが、娘を守るためにティム・ロビンスを殺害するシーン。

映画の序盤、トライポッドの攻撃から車で逃げるときには叫びやまない娘の扱いがわからず、息子に押し付けるかのような行動がみられますが、ティム・ロビンスの殺害を決意するシーンでは娘に目隠しし、歌を歌うように優しく言い聞かせます。

娘を守るために殺人に手を染めてしまう。その苦しい決断こそがトム・クルーズの家族を守る覚悟の大きさを示しているように思えてなりません。

現実社会との距離感

『宇宙戦争』もちろんフィクションのSF映画なのですが、現実社会を色濃く反映しているという意味では『ゴジラ』とも近いかもしれません。

『ゴジラ』が第五福竜丸の被爆事件をきっかけに戦争の恐怖、原爆の恐ろしさを映画作品のなかに落とし込んだのと同様に、『宇宙戦争』では911のテロで受けた人々の衝撃や思いを映画に織り込んでいます。

例えば炎上して墜落する飛行機や、行方不明者の写真が張り出されるなど、監督のスピルバーグ自身、意図的にテロのイメージを連想させるためにあえて描いたと発言しています。

個人的にはダコタ・ファニングがトム・クルーズに『テロなの?』と叫ぶシーン。

小さな子供のなかにもテロの記憶が刻まれている、象徴的な一幕だと思います。



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