こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~


『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』は2011年に公開された、ドラマ版のこち亀の映画版です。

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スタッフ・キャスト

監督
川村泰祐

脚本
森下佳子
高橋麻紀
十川誠志

出演者
香取慎吾
香里奈
速水もこみち
深田恭子
谷原章介
沢村一樹
夏八木勲
平田満
柴田理恵
ラサール石井
伊武雅刀

あらすじ

行動が破天荒な亀有公園前派出所配属の警察官・両津勘吉(香取慎吾)はある日、小学生時代の幼なじみで旅芸人として日本中を旅している沢村桃子(深田恭子)と再会を果たす。桃子はシングルマザーで、小学生の長女ユイ(川島鈴遥)と二人で暮らしている。そんな中、ユイが何者かに誘拐され、両津たちは事件解決のためにあらゆる手段を尽くす。

出典:こちら葛飾区亀有公園前派出所 (テレビドラマ) – Wikipedia

感想・レビュー

実写ドラマ版『こち亀』の映画化

主人公の両津勘吉のキャスティングが話題になった実写ドラマ版の『こち亀』。

もうあのドラマから10年近く経つんてすね。

今回はそのドラマ版の『こち亀』を映画化した『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』について書いていきます。

時間を置いて香取慎吾の演じる両さんを観てみると、これはこれでアリかなと言う気がします。

原作者の秋本治も言っているように、単行本一巻の最初期の両津勘吉として考えれば、そこまで不自然ではないですし。逆に他に誰がいるの?とも思います。

さて、今回のストーリーは、かつて1ヶ月間だけクラスメイトだった同級生、沢村桃子と再会。彼女はシングルマザーとして娘のユイを育てながら、全国を舞台役者の巡業で旅していました。

沢村桃子には子供の頃「勝鬨橋は開く!」と言っても信じてもらえず、「嘘つき勘吉」と呼ばれていましたが、沢村桃子との再会に浮足立両さん。

しかしある時ユイが何者かに誘拐される事件が発生してしまい、両さんは事件の解決のために奔走します。

原作でいえばちょうど『浅草七ツ星物語の巻』(原作76巻)と『勝鬨橋ひらけ!の巻』(原作7Ⅰ巻)のいいとこ取りをしたような感触です。

実写という制約

『こち亀』に限らず何かと批判されがちな実写映画なのですが、『こち亀』に関しては合わせて観たアニメ版の映画よりは断然こちらの方が良かったですね。

マンガのメディアミックスを考えたときに、アニメは良くも悪くも表現にほとんど制約がない分、荒唐無稽な表現も原作マンガにほとんど忠実にできるかと思いますが、実写だと相当な制約が生まれると思います。

一例として、主人公が爆発に巻き込まれるギャグ描写。

大抵のマンガでは黒こげになりながらも普通に生きているオチですが、実写でやろうとするとどうしてもコントのそれになっちゃいますよね。

なので、実写にする場合はどこまでを表現の限界として意識していくのか、またどこまで現実的な描写にしていくのかも重要なポイントかなと考えます。

その点、るろうに剣心はギャグも少なくかなり現実的な方向に舵を切った成功作だと思います。

今作もそうですね。ギャグシーンもあるものの、それは両さんがアイスの当たり棒を偽造して駄菓子屋の婆さんにしこたま怒られるという現実的なもの。

アニメ映画の方では両さんがスチュワーデスに扮するというギャグがありましたが、実写でそれをやってしまうと噴飯ものでしょう。

ただ、『こち亀』がギャグや人情もの、アクションまで様々なトーンや演出、雰囲気を受け止められるだけの力強いコンテンツであることはここで強調しておきたいと思います。

今作でも、人情あり、踊る大捜査線のようなサスペンスもあり、舞台芝居ありと、様々な表情を見せてくれます。

作品に感じるそれらを全て包み込む空気はノスタルジーであったり、下町に暮らす人々のいい意味での庶民臭さだったりするのかなと思います。

それもあって、大人が鑑賞するにはアニメ版より実写の方が楽しめます。香取慎吾の演じる両津勘吉に慣れれば、というところはありますが。それと麗子の実写だと浮きまくりのピンクの制服。

「こち亀らしさ」を押さえた作品

しかし、『こち亀』として外してはいけないポイントをしっかり押さえた作品でもあります。

『ほげ~!』というセリフこそ原作ではほとんど言わないものの、金に汚く、借金取り(商店街の人々ですが)に追われ、部長とはケンカばかりしているようでも実は強い絆がある、人情あふれるお巡りさんというのは原作そのままの両さん像です。

映画の中で部長が発するセリフ

「私はあいつがいい警察官になるとずっと信じていた・・・待っていて本当に良かった」

は、原作への強い愛情がなければ出てこないセリフでしょう。

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