監督生命の危機?!映画監督のキャリアを脅かしたいわくつきの映画


映画・・・歴史の長い創作物なだけに、様々ないわゆる「いわくつき」の映画も存在しています。特に戦時中という時期的なタイミングや、政治的な理由から公開が危ぶまれたり、映画を撮った監督がキャリアを追われたり。。。
今回はそんな監督生命を脅かしたいわくつきの映画をご紹介します。

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フリークス

映画監督トッド・ブラウニングのキャリアは終わってしまう

『魔人ドラキュラ』などの古典映画のの名作を監督してきたトッド・ブラウニング。彼が今作のキャストに選んだのはサーカス小屋のヒーローたちでした。

当時のサーカスのヒーローたちは本物の障害者たち。そして、彼らの演じる映画のストーリーが『健常者が罰として障害者に変えられてしまう』という、当時としてはショッキングな内容でした。

そのことから各国で上映禁止になり、トッド・ブラウニング監督の映画人としてのキャリアは事実上終わってしまうこととなりました。

時計じかけのオレンジ

この映画がもとでキューブリックは殺害の脅迫を受けた

その暴力描写からイギリスをはじめとする多数の国で上映禁止となった「時計じかけのオレンジ」ですが、スタンリー・キューブリック監督の出身国であるイギリスでの上映禁止は他ならぬキューブリック自身の要請だったそう。

当時「時計じかけのオレンジ」に次ぐ次回作「バリー・リンドン」を撮影していたスタンリー・キューブリックのもとにキューブリックとその家族に対して殺害の脅迫状が送りつけられたことがきっかけでした。脅迫状には映画の中でアレックスと仲間たちがしたのと同じようにロンドン郊外にある監督の家へ押し入ると記されていたそうです。

それがきっかけでスタンリー・キューブリック監督は1999年に亡くなるまでイギリスとアイルランドでの『時計じかけのオレンジ』の上映を禁止することに決めたという逸話があります。



幻の湖

カルトの名作は日本を代表する脚本家を引退状態に追い込んだ

東宝創立50周年記念作品、第37回文化庁芸術祭参加作品という肩書と、脚本に黒澤明監督作の常連だった橋本忍の監督作………ではあるものの、あまりに奇想天外且つ難解なストーリーによって文字通り長らく「幻の作品」になっていた今作。

愛犬を殺された風俗嬢が犯人とマラソン対決をしたり、そこにスペースシャトルや戦国時代の話まで絡んでくる意味の分からなさで、公開から2週間と5日(東京地区)で打ち切りになってしまった映画です。

黒澤明監督の『生きる』、『七人の侍』などの脚本を担当し、日本を代表する脚本家の橋本忍ですが、この作品の失敗で当時、事実上の引退状態に追い込まれたそうです。
(後に橋本 忍自身も、本作を「失敗作」であると認めています。)

しかし、後年「映画秘宝vol.6 底抜け超大作」(洋泉社)にて本作が取り上げられたことをきっかけに、カルト映画として再評価されてもいます。
(その証拠に2003年にDVD化されていたりと、「珍作」「カルト映画」として人気があるということを証明しています。)

また、その再評価をきっかけに、橋本忍自身も映画人として再び活動を活発化させています。

オリンピア

第二次世界大戦期のドイツの女性監督レニ・リーフェンシュタールによるベルリンオリンピックの記録映画です。

今作はヴェネツィア国際映画祭で最高賞を獲得し、「『オリンピア』を超えるオリンピックの映画はない」と言われるほどの大傑作である一方、戦後にはナチスのプロパガンダ映画として糾弾され、レニ・リーフェンシュタールは映画監督としての生命を絶たれることになりました。晩年には再起を果たすものの、彼女についたナチス協力者のイメージは最後まで払拭されることはありませんでした。




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