【レビュー ネタバレあり】007 慰めの報酬

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「007 慰めの報酬」のスタッフ・キャスト

監督
マーク・フォースター

脚本
ジョシュア・ゼトゥマー
ポール・ハギス
ニール・パーヴィス
ロバート・ウェイド

原作
イアン・フレミング

出演者
ダニエル・クレイグ
オルガ・キュリレンコ
マチュー・アマルリック
ジャンカルロ・ジャンニーニ
ジェマ・アータートン
アナトール・トーブマン
イェスパー・クリステンセン
デヴィッド・ハーバー
ロリー・キニア
ティム・ピゴット=スミス
ホアキン・コシオ
ジェフリー・ライト
ジュディ・デンチ

「007 慰めの報酬」のあらすじ

ボンドカーのアストンマーチンのトランクの中には一人の男「ミスター・ホワイト」。英国諜報部員のジェームス・ボンドはミスター・ホワイトを捕らえ、ホワイトの部下とカーチェイスを繰り広げていた。

ボンドは前作『カジノロワイアル』で愛した女性のヴェスパーを操っていた「ミスター・ホワイト」を通じてその背後の組織を追っていたのだった。

ボンドはミスター・ホワイトをMに引き渡し尋問を始める。しかし、その場に居合わせた中の一人、長年Mの部下だったミッチェルが突然裏切り、M16のメンバーを銃撃して逃亡する。

ボンドは応戦し、追跡を開始するが、追跡の末、やむにやまれぬ危機ではあったもののミッチェルを殺害してしまう。更に尋問場所に戻るとミスター・ホワイトまで逃亡してしまっていた。

本部へ戻ったボンドはMにミッチェルを殺し、尋問できなくなったことをとがめられる。

残されたヒントはミッチェルが持っていた贋札だった。全く同じ贋札がスレイトの名で銀行に預けられていた。ボンドはスレイトを追い、ハイチを訪れる。

ハイチでスレイトの止まっている部屋に入ったボンドは、スレイトの急襲に遭う。
またも生け捕りにせず殺してしまい手がかり失くしてしまったボンドだが、スレイト宛に届けられた荷物がフロントに預けられていた。ボンドはスレイトになりすまし、ホテルの係からブリーフケースを受け取る。そしてスレイトを迎えに来たカミーユと出会う。スレイトは地質学者ということになっていたようだが、ボンドがブリーフケースを開けると中に入っていたのは銃だった。カミーユはボンドを車から降ろし、そのまま立ち去る。

ボンドはカミーユの後を追うが、カミーユは愛人のドミニク・グリーンと一緒にいた。
カミーユは彼女の家族を惨殺したメドラーノ将軍に復讐するため、その取引相手のドミニク・グリーンに近づいていたのだった。

感想レビュー

「ネバーランド」や「ワールド・ウォーZ」を手掛けたマーク・フォスター監督作品。

そのどちらもエンターテインメントでありながらファンタジー過ぎないドラマを描いていたマーク・フォスターらしく、今作もいわゆるSF的なスパイ道具などはほとんど登場せず、終始リアリティある作品となっています。
(もちろん諜報部員があんなド派手なことを・・・とは思いますが、アクション無しじゃ007が成り立たないからなぁ。。)

敵組織の狙いが石油資源ではなく、水資源であったり、ほろ苦いラストなど、ラストではほとんどボンドガールとお楽しみだった007のイメージを一新する作品でした。

個人的にはダニエル・クレイグのボンドが一番好きです。リアルタイムで知ったのは確かピアーズ・ブロスナンのボンドなのですが、どうしても「人たらし・甘さ」があるのが僕個人のブロスナンのボンドに対するイメージですね。

対してダニエル・クレイグのボンドが抱えているのは「繊細さ」そして人知れずそこに向き合うがために人から理解されない孤独。
それゆえに笑顔も少なく、ストイックな印象を受けます。

今作のテーマは信頼と復讐(あくまで私見ですが)。

何が正義で何が悪なのか。そして悪とわかっていても手を組まざるを得ない状況のなかで何が信じられるのか、誰を信頼するべきなのか

それはそれぞれの立場によって目まぐるしく変わっていき、その結果のひとつとしてボンドは一人で悪に立ち向かうことになります。

そしてもうひとつは復讐。

復讐とは最終目的の一つとしてこうした映画では取り上げられやすいテーマではありますが、今作ではカミーユのメドラーノ将軍への復讐を取り上げ、それが何も生まない=虚無ということを描いています。
メドラーノ将軍を殺してもカミーユの悪夢は終わらなかったのです。それは火事のシーンで子供のようにおびえうずくまる彼女の姿から伺えます。

カミーユのこのシーンがあってこそ、ボンドは当初の復讐ターゲットだったミスター・ホワイトを殺さなかったのです。

今作では冷静に見えても終始激情に駆られていたボンドでしたが、ラストで英国諜報部員へ戻ったと言えるでしょう。

余談ですが、個人的な007の魅力の一つは美しいスーツスタイル。今作からブランドがトム・フォードになっています。
コリン・ファースの「シングルマン」でもそのシルエットの美しさは際立っていましたが、今作でもどんなに汚れようがボロボロになろうが、やはりそのシルエットは美しく、ダニエル・クレイグの魅力と相まってボンドに優雅さと上品さを与えています。

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