「ターミネーター」シリーズの魅力とは何か

監督のティム・ミラーはジョンのことを『可能性を秘めた子供』だとしていますが、この言い方は「成長した大人のジョン」は含まれていないということを付記しておきます。

『ターミネーター』シリーズの魅力

ただ、それでも今作を観ると『ターミネーター』シリーズの何が魅力だったのかは改めて浮き彫りになってきます。

それは追う/追われるのスリル。そして大事なものを命を犠牲にしても守ろうとするキャラクターたちの想いに私たちは胸を打たれるのではないでしょうか。
そうなると、それらを兼ね備えているのは『ターミネーター』、『ターミネーター2』『ニューフェイト』しかありません。

『ターミネーター』ではアーノルド・シュワルツェネッガー演じるはどこまでもサラ・コナーを追跡し追い詰めていきます。それに対してカイル・リースは命を犠牲にしてもT-800を倒そうと奮戦するのです。
『ターミネーター2』ではいよいよ本格的に「未来を変える」ことが大きなテーマとなっていきます。
前作でのカイル・リースの役回りはT-800が担い、その命を犠牲にして未来を変え、ジョンに希望を教えるのです。

『ターミネーター3』ではそう言った意味での人物はいませんし、『ターミネーター4』ではマーカスがその役に一番近いのですが、演出が淡々とし過ぎていて、剥き出しの熱さが不足しているように感じます。

『ターミネーター ニューフェイト』はグレースが犠牲となるキャラクターなのですが、その身を盾にしてダニエルを守り続ける様子をストーリーのなかで見せ続けることで、ダニエルのグレースへの信頼関係も観客に無理なく受け入れられるでしょうし、別れのシーンの涙や演出も多少大袈裟であろうと、それまでの信頼関係や紆余曲折のドラマを見せられた観客には感動的にすら感じられることでしょう。

やはり『ターミネーター』シリーズの中心にあるのはSF映画としてのリアリティではなく、ヒューマニズムなのでしょう。

B級映画としてスタートした『ターミネーター』シリーズですが、その設定の斬新さももちろん大きな魅力ではあったと思いますが、人の心に訴えかける普遍的な恐怖やスリル、愛情が高い純度でスクリーンに反映されていたこそ、これだけのシリーズに繋がっているのだと感じます。

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