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「イングロリアス・バスターズ」のスタッフ・キャスト
監督
クエンティン・タランティーノ
脚本
クエンティン・タランティーノ
製作
ローレンス・ベンダー
製作総指揮
ロイド・フィリップス
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
エリカ・スタインバーグ
ナレーター
サミュエル・L・ジャクソン(クレジット無し)
出演者
ブラッド・ピット
メラニー・ロラン
イーライ・ロス
マイケル・ファスベンダー
クリストフ・ヴァルツ
「イングロリアス・バスターズ」のあらすじ
この作品は5章のエピソードから成り立っています。
第1章『その昔…ナチ占領下のフランスで』
時は第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに占領下のフランス。田舎の一軒家ラパディット家にドイツ軍のランダ大佐が現れる。
会話の内容を他のものに悟られぬようラパディットを英語で尋問する。ランダは「ユダヤ・ハンター」と呼ばれる男で、ラパディット家を訪れたのもラパディットがユダヤ人のドレフュス一家をかくまっているとの情報を得ていたからであった。
ラパディットはとうとうユダヤ人を床下にかくまっていることを白状してしまう。
床下は無数の銃弾が撃ち込まれ、ドレフュス一家は惨殺される。
しかしドレフュス家の娘、ショシャナは唯一生き残り走って逃げる。
逃げるショシャナにランダはと声をかける
第2章『名誉なき野郎ども』
アメリカのアルド・レイン中尉率いる対ナチス特殊部隊、通称「バスターズ」。
捕虜はとらずに殺害しドイツ兵の頭の皮を剥いで殺すという残虐な手口でナチスに恐れられる存在だった。
この日もバスターズはナチス兵3人を尋問。そのうち1人は銃殺、1人は「ユダヤの熊」と呼ばれる大男ドニーによって殴り殺される。
アルド・レインは残りの1人にドイツ兵の潜んでいる場所を吐かせた後、ナイフで額にナチスの印を刻んで逃がす。額にナチスの印を刻むのは軍服を脱いでもそのものが一生ナチスというのがわかるためだった。
第3章『パリにおけるドイツの宵』
1944年6月、ランダ大佐の虐殺より逃げ出したショシャナはパリに移り住み、ミミューと名を変え、伯母と伯父から映画館を継いで、従業員で黒人の恋人マルセルと働いていた。
ある日、ドイツ兵のフレデリックが声をかける。
フレデリックは英雄視されている人物だった。
彼はショシャナに想いを寄せており、彼女を連れて映画監督のゲッベルス宣伝大臣に自身がモデル且つ主演を務める映画のプレミア上映をショシャナの劇場でできないか交渉する。
そこにランダも同席する。成長したショシャナをかつての少女と気づいていないランダだったが、ショシャナは恐怖におののく。
その後、プレミア会を自分の映画館で行うことになったショシャナはプレミアを利用して、劇場に集ったナチス高官たちを皆殺しにする計画を立てる。
感想・レビュー
タランティーノが仕掛けた快作
クエンティン・タランティーノの歴代監督作品の中でも最高の興業収入を叩き出した本作。
ナチス・ドイツをテーマにした映画は数あれど、ある一点をキーに同様のテーマの映画達の中では快作に仕上がっています。このことは後で話しますね!
物語は大きく分けて二つ。
幼い頃にナチスの『ユダヤハンター』に家族を皆殺しにされたショシャナの復讐。
もう一つがブラッド・ピット演じるアルド・レイン中尉率いる『イングロリアス・バスターズ(名誉なき野郎ども)』のナチス狩りと皆殺し作戦。
ショシャナ役のメラニー・ロランがとても美しいです。
絶妙なキャスティング
キャスティングもユニークで、ユダヤの熊と呼ばれる『ホステル』や『グリーン・インフェルノ』で知られるイーライ・ロスを配役
(これがまた絶妙にマッチしています!)
またランゲを演じたは今作で世界的にブレイク。
まだブレイク前のマイケル・ファスペンダーも出演していますね。
さて、今作の大きな大きな特徴は、ヒトラーが死んでしまうこと。
普通、こういう歴史モノだと、細部はともかくとして大まかには史実をなぞっていくものです。そして、史実のポイントを踏まえた上で、リアリティのあるフィクションを細部に挿入していくのがセオリーでもあるのですが、この映画ではそんなものおかまいなしです!(笑)
タランティーノの『どうせエンターテイメントの映画だろ?』と笑う声が聞こえてきそう(笑)
今までどんな映画でもヒトラーは史実の通り、自殺以外ではほとんど死ぬことはなかったはずです。それを敢えて無視することで、この映画はそれまでのナチス映画にはないカタルシスを感じることかできます。
さて、今作でナチスを倒すためのアイテムもまた、タランティーノが愛してやまない『映画』。
丹念に練り上げられた脚本のなかで、最強の武器に映画が選ばれたことはタランティーノの映画への限りない愛情とユーモアをかんじさせます。
そんな本作は日本でこそあまりヒットしませんでしたが(多分戦争もののいうことと、ナチスドイツの敵対国とか同盟国、植民地あたりに馴染みがなかったのでしょうか。)、全世界では当時のタランティーノ作品のなかではナンバーワンのヒットを記録しました。
劇中ラスト、アルド・レイン役のブラッド・ピットが発する台詞
『これは俺の最高傑作だぜ 』
この言葉はこの映画についてのタランティーノ自身の言葉でもあると言われています。