【ネタバレ レビュー】ジェミニマン

『ジェミニマン』は2019年に公開されたSF作品です。監督はアン・リー、主演はウィル・スミスが務めています。

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「ジェミニマン」のスタッフ・キャスト

監督
アン・リー

製作
ジェリー・ブラッカイマー

出演
ウィル・スミス
メアリー・エリザベス・ウィンステッド
クライブ・オーウェン
ベネディクト・ウォン

「ジェミニマン」のあらすじ

ウィル・スミス演じる伝説的暗殺者ヘンリーは政府に依頼されたミッションの遂行中に何者かの襲撃を受ける。

その襲撃者はヘンリーの動きを全て把握し絶対に殺せない。その襲撃者の正体はが若い自分自身だった。

ヘンリーは政府をも巻き込むクローン技術の巨大な陰謀に巻き込まれていく。

感想・レビュー

フルCGによる、ウィル・スミス同士の対決。そのコンセプトにまんまと乗せられ、映画館まで足を運びました。
ジェリー・ブラッカイマー製作の時点で、凡百の王道エンターテインメントになってしまうのはわかっていたんですが、それでもCG技術の凄さ含めてチェックしておきたい作品でもありました。
主人公はウィル・スミス演じるDIA所属のスゴ腕スナイバーのヘンリー。天才的な記述を持っていた彼も加齢による腕の衰えやたくさんの人を狙撃してきたことへの良心の呵責に耐えきれなくなり、引退を宣言します。
しかし、その一言が思いもよらない戦いのきっかけになっていきます。
引退を決意したヘンリーの前に現れたのは自身にひけをとらないスゴ腕の殺し屋。その正体はクローン技術によって生まれた23才の自分自身、通称ジュニアなのでした。

フルCGで若い頃の姿を再現するのは、『ターミネーター』でも冒頭のT-800同士の対決で若いシュワルツェネッガーをフルCGで描いていましたね。
以前であれば、CGは実写を補完する枠割りではCGだと判別しづらかったものの、フルCGは比較的容易にCGだと判別できたものですが、技術革新はスゴいの一言。
映画の中身はジェリー・ブラッカイマーらしい、エンターテインメント。
ある程度のレベルまでは楽しめることが保証されているものの、激しく心を揺さぶるようなレベルにはない、というのが率直な感想です。

クローン映画であれば、クローンされた人間のアイデンティティが大きく揺れるというのは避けて通れないテーマのひとつだと思います。『シックス・デイ』にしろ、『エイリアン4』  にしろ、その悲哀がきっちり描き込まれていました。
では今回の『ジェミニマン』はというと、ヘンリーから自身がクローンであると告げられたジュニアはあっさりと育ての親であるを裏切り、ヘンリーに協力します。
それまで親だと信じていたのの言葉と、真実を告げたヘンリーの言葉どちらを信じるのか、その間で苦しみ、揺れ動く描写が足りない。自分とは何であるかに悩むジュニアの苦悩をしっかり描いていれば、アクション・エンターテインメントから一歩抜きん出た作品にもなれたはずです。
その割にヘンリーとジュニアの一番最初のバトルシーンにはかなりの尺が割かれており、正直冗長にすら感じるほどでしたが、このアクションエンターテインメント偏愛のスタイルこそよくも悪くもブラッカイマーらしいところかと思います。

『ジェミニマン』を映画作品として観るのであれば、単純なエンターテインメント映画として楽しめるかとは思いますが、ウィル・スミスがそれまでのキャラクターからの脱却を図っている作品にも見てとれます。

それはそれまでの3枚目を滲ませながらもあくまでカッコいいウィル・スミス像を全面に出した役柄ではなく、50代を迎え、老いを受け入れた現在のウィル・スミス。
ヘンリーにはそんなリアルなウィル・スミスが詰まっています。ジュニアにはおっさんよわばりされ、それでも「30年後はお前もこうなる」と自らを受け入れる器の大きさ。

若い頃とはまた違ったウィル・スミスの魅力を感じられる作品です。

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