【ネタバレ レビュー】「無限の住人」三池崇史×木村拓哉!なにこれ最高なんですけど!

「無限の住人」は2017年に公開された日本のアクション映画。

監督は「クローズZERO」「13人の刺客」の三池崇史、主演は「HERO」「武士の一分」の木村拓哉が務めています。

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「無限の住人」のスタッフ・キャスト

監督
三池崇史

脚本
大石哲也

原作
沙村広明「無限の住人」

出演者
木村拓哉
杉咲花
福士蒼汰
市原隼人
戸田恵梨香
北村一輝
栗山千明
満島真之介
金子賢
山本陽子
市川海老蔵
田中泯
山崎努

「無限の住人」のあらすじ

100人斬りの異名を持つ万次(木村拓哉)は、わなによって妹を失い、謎の老人に永遠の命を与えられる。死ぬことのできない無限の体となった今、斬られた傷は自然に治るが、剣術の腕は落ちていた。ある日、孤独な万次の前にあだ討ちを頼みたいという少女・浅野凛(杉咲花)が現れる。彼女の願いを聞き入れた万次は、凛と共に剣客集団・逸刀流の首領である天津影久(福士蒼汰)の命を狙う。

出典:https://www.cinematoday.jp/movie/T0020490
無限の住人 (2017) – シネマトゥデイ

感想・レビュー

公開当時、SMAPの解散の余波もあったのか、メディアに『爆死』と呼ばれていた本作「無限の住人」。

これが結論から言うと凄く面白い映画でした!

三池崇史監督の残酷描写は世界レベルで突出したものがありますが、今作でもそれは遺憾なく発揮されています。

それが際立っているのがラストシーン。

300人を斬り殺した後の風景はせせらぎは血の赤で染まり、そこらじゅうに血しぶきまみれ。倒れている死体と無数に転がる誰かの手足。

血のぬかるみに足をとられたり、服や刀が血で汚れているなど、細かい演出の素晴らしさが際立っています。

元々の『無限の住人』の原作の雰囲気もあるのかもしれせんが、流石残酷描写に定評のある三池監督だと感じます。

同じく三池監督が製作した時代劇に『13人の刺客』があるのですが、こちらは拷問された女性のシーンとか、色々グロい。こちらには同じく元SMAPの稲垣吾郎が出演していますが、こちらは悪役。

サディスティックな狂気溢れる稲垣吾郎の役柄の強烈さといったらありませんでした。

また一方で徹底的にエンターテインメントに特化した映画も撮れるのが三池崇史監督の良さ。古くはSPEEDの四人が主演した「アンドロメディア」だったり、実写版の「忍玉乱太郎」だったり、決して残酷描写ができない作品でもきっちりエンタメ映画に仕上げてくるのは三池監督がエンターテインメントとして気持ちの良いテンポを知り尽くしているからだろうと思います。

『無限の住人』は木村拓哉の演技の素晴らしさも特筆すべきポイント。『武士の一分』のレビュー記事でも書いたのですが、影のある役を演じさせたら木村拓哉の横に出る役者はそういないのではないでしょうか?

パブリック・イメージのマイペースに我を貫く熱い男。一面でそれは『何を演じてもキムタク』との評価をつけられてしまいましたが、それは木村拓哉という役者の真価を知らない戯れ言かと思います。

今回演じたのは過去に妹の旦那をそうと知らずに斬ってしまった、そして、その妹も目の前で斬殺されるという過酷な過去を背負った男、万次 。

おまけに八百に不死の体にされ、ずっと死ねずに死に場を探している世捨て人の役柄。

残念なのはそのために戦闘シーンにいまいち緊張感が欠けること。影を背負った万次の一面と、それと相反するような荒ぶる戦闘者としての万次。木村拓哉の対称的な演技は見応え十分なのですが、どうせ死なないとわかっていては、素晴らしいアクションもスリリングさには欠けるかなと思います。

ちなみに、この『無限の住人』、なんかるろうに剣心にそっくりなんですよね。

剣心もそうとしらず、妻の前の夫を斬り殺し、また妻も謝って斬殺してしまいます。

万次の右目の傷は妹の夫からつけられたものですが、剣心の十字傷も妻と妻の前の夫からつけられたもの。

ともに愛する者の大切な人を奪い、また愛する人を亡くした過去を背負っています。

剣心が振るうのは刃と峰を逆にした逆刃刀。本来の刀であれば死ぬような打撃を相手に与えても相手は死なない。逆に万次は死ぬような打撃を相手から受けても決して死なない。

こういうところもどこか共通点があるなと感じます。

途中、万次の治癒能力に好不調の波が現れますが、その説明がなかったのはちょっと残念。

むしろ、万次が死にたいと思っている時こそ、虫は活発に傷を塞ぎ、命を繋ぎ止め、逆に生きようと思ったときこそ、虫の動きが鈍くなり、中々回復しない、とかの方がより残酷で、かつ世界観にも合うんじゃないかな?と考えながら観ていました。

栗山千明のド金髪も江戸の町にギャグレベルで不自然ですが、それでも気にならないほどの面白さと魅力をこの映画は持っています。

確かに面白くても大ヒットは難しい作品だとは思うんですよね。

手足がビュンビュンちぎれて、傷だらけ血だらけの男たちの殺し相手が延々続くので。。

女の子向けでもカップル向けでも小さな子供がいるファミリー層にもきつい部分はあると思います。

しかし、それでもこの映画は面白い。エンターテインメントとしての魅力がふんだんに詰まっています。

三池崇史と木村拓哉の組み合わせ、これは確かに成功と呼べるのではないでしょうか。

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