【ネタバレレビュー】「三度目の殺人」映画の意味・解釈を徹底考察!

という印象を持たれています。

映画の真実のひとつとして、三隅は本当は無実であり、実際に殺害したのは被害者の娘の咲枝ではないか、という味方があります。
ただ、可能性として、タクシー運転手さんの証言から咲枝の単独犯行ではないと思います。

一方、終盤では辛い証言になると重盛に言われながらも勇気を出して証言台に立とうとする咲枝の姿が写し出されます。

咲枝について

是枝監督は咲枝を演じた広瀬すずさんに対しては

「あなたの母親は被害者意識だけで自分を支えていて、そこにアイデンティティがあるし、守りたいものが明快にあって、守りたいものの為なら平気で嘘をつく人だっていう。で、あなたは逆に加害者意識がアイデンティティの中にあり、守りたいものがあっても、本当の事を優先する。そこが母親と娘の違い。そこから後は任せたと」

出典:http://crofune.com/4512/
【映画『三度目の殺人』是枝監督インタビュー】「映画の面白さ、それは観た後で世界が変わって見える事」 | クロフネ

いうような話をされています。

ここから言えるのは咲枝も何らかの贖罪を負う立場にいるということです。

それは三隅に性的暴行を告白したことで憤怒した三隅が父を殺害してしまったことによって、

『間接的に殺害の原因を作ってしまった』のことによる加害者意識なのか、

『三隅とともに父の殺害に直接的に荷担したか』

いずれにせよ、無関係ではないというのは確実かと思います。

上手いのは咲枝が足の障害について『嘘をつき続けている』設定にしたこと。
これは重盛が嘘をついてることを追及しても決して認めようとしませんでした。
このことによって咲枝の言葉に『嘘が含まれている可能性』が常に含まれている点です。

ただ、咲枝の志望先が北海道の大学ということからは、父親から遠く離れたいという気持ちはもちろん、そうなったときに三隅の生い立ちを知り、三隅の生まれ育った北海道へ深い憧れを抱いている可能性も示されています。

自分の意志とは関係のなく命は選別される

劇中で繰り返し語られるのが、『自分の意志とは関係のなく命は選別される』ということ。そのことについては重盛も三隅も同じ考えを抱いていました。

しかしながら、三隅は死刑判決を下す裁判官のような『人の命をコントロールできる』存在への憧れを口にします。

それは一般的に考えると快楽殺人の動機のようにも思えますが、死刑判決を受けたあとの三隅は重盛に『自分は生まれてくる意味のない人間だと思っていた』と打ち明けます。

少しこの記事をさかのぼってみると、是枝監督は今作のキャッチコピーを『一度目はケダモノが、二度目は人間が殺した 三度目の殺人』と話されていました。

つまり、一回目の殺人はただの非道な殺人、しかし二度目はなんらかの人間的な理由があったということが伺えます。

三隅はずっと咲枝を自分の娘のように思っていたのでしょう。娘にも咲枝同様に足に障害があり、娘にしたように咲枝にも雪のケーキをプレゼントしています。

最初の殺人は非道な殺人だった。

そのために娘とも疎遠になり、また娘には辛い人生を送らせてしまうこととなった。

二回目は娘同様に思っている咲枝が実父に性的暴行を受けていることを聞かされ、咲枝を守るために犯した殺人だった。

そして三度目の殺人は自分を殺すことだった。自分を殺すことで咲枝を証言させずにすみ、また過去の自分の犯した罪(最初の殺人)への贖罪になる。

十字の表面的な意味は三隅に人間性が残っていること示すための『弔い』の意味ではないでしょうか。

つまり、モヤモヤは残るものの、とりあえず三隅は弁護士をうまく誘導して自分自身に死刑判決を出させた(自分の命をコントロールした)と言えるかもしれません。

映画の面白さ

是枝監督は映画の面白さ、意味について次のように語っています。

映画の面白さって多分、観た後で世界が変わって見えるという事。
そうやって日常を侵食していくという、それは感情だったり風景だったり。そういう強さを持ちうるものだと僕は信じているので。目指しているのは、そういう映画。

出典:http://crofune.com/4512/
【映画『三度目の殺人』是枝監督インタビュー】「映画の面白さ、それは観た後で世界が変わって見える事」 | クロフネ

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