【レビュー】「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」原題POSTに込められた想い

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」はスティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス出演の映画です。
ニューヨーク・タイムズの記者がこの最高機密文書一部の存在を発見したことが発端となり、対するライバル紙のワシントンポストは記事の全貌を入手・公開しようとします。

2大オスカー俳優のメリル・ストリープとトム・ハンクスの共演が見どころの本作。

30年もの間、ひた隠しにされてきた最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」。
4代にわたって歴代大統領がその存在を隠そうとしてきた理由とは?

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「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」とは

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のスタッフ・キャスト

監督
スティーヴン・スピルバーグ

脚本
リズ・ハンナ
ジョシュ・シンガー

音楽
ジョン・ウィリアムズ

撮影
ヤヌス・カミンスキー

製作
エイミー・パスカル
スティーヴン・スピルバーグ
クリスティ・マコスコ・クリーガー

出演者
メリル・ストリープ
トム・ハンクス



「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のあらすじ

1971年。泥沼化するベトナム戦争に対して、アメリカ国内では反戦ムードが濃くなってきていました。
国防総省がベトナム戦争を客観的に調査・分析し続けた7000枚の極秘報告書、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」。
ある時ニューヨークタイムズがその内容の一部をスクープ。
ライバル紙のワシントン・ポストのトップ、キャサリン・グラハムと編集主幹のベン・ブラッドリーは、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようします。
「真実を伝える」というジャーナリズムの使命に駆り立てられて彼らは行動しますが、政府の妨害があるのは目に見えていました。
果たして政府を敵に回してまで公表するのか。真実の価値が試されます。

ペンタゴン・ペーパーズって?

アメリカ政府がベトナム戦争を記録し続けた7000枚の極秘報告書のこと。
2011年6月13日、ペンタゴン・ペーパーズの機密指定は解除され、公式サイト等で全文が読める様になっています。
この文書ではベトナム戦争の正確な情報(必要兵力)などについて国民に隠していたことなどが記されています。

感想・レビュー

もともと早撮りで知られるスティーヴン・スピルバーグですが、彼の作品の中でも今作は最も短時間で制作された作品となりました。

その期間、この映画の制作を思い立ってから完成までわずか9か月間。

その背景にはドナルド・トランプが大統領に就任したことに対してスピルバーグの危機感があったのだと思われます。以下スピルバーグのコメントです。

「この映画は、フェイク・ニュースに対する解毒剤である」と、スピルバーグ監督は断言しています。権力による報復を恐れて萎縮し、異なった意見や価値観による議論が行われないことは危険だと考えた監督が、「権力に対して真っ向から勝負した」先例を示し、マスコミに対して“ゲキ”を飛ばしたのは間違いありません。

出典:https://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1115219/
スピルバーグ監督最新作『ペンタゴン・ペーパーズ』は、名作『大統領の陰謀』とセット見でさらに面白くなる! | dmenu映画

原題「POST」と邦題「ペンタゴン・ペーパーズ」の違い

注目したいのは原題と邦題の違いです。

邦題は『ペンタゴン・ペーパーズ』ですが、原題は『POST』。

最高機密文書そのものをタイトルに持ってきた邦題と、ワシントン・ポストをタイトルに持ってきた原題の違いは何でしょうか?

それは邦題が機密文書そのものにフォーカスを当てているのに対し、原題は機密文書を報じるかどうか、ワシントン・ポストのジャーナリズムにおける姿勢、在り方にフォーカスを当てている点です。

アメリカ政府の重要機密をスキャンダラスに扱うのではなく、政府による統制にどう立ち向かうのか、ベトナム戦争期の実例を挙げて、スピルバーグはトランプ政権下のメディアに今一度自らを見つめ直してほしかったのでしょう。

そして劇中でペンタゴン・ペーパーズをニューヨーク・タイムズにリークしたダニエル・エルズバーグに、その動機として次のようなセリフを語らせています。

政権や特定の個人への疑問や批判が、国家に対する反逆と主張しているわけですから”私が国家だ”と言うのと同じです。

この原題の『POST』も、製作途中に一度タイトルが『paper』になり、しかしその後あらためて『POST』に戻された経緯があります。

そのことを思うと、この原題のタイトルには並々ならぬ想いが込められているのがわかるかと思います。

『ペンタゴン・ペーパーズ』に込められたメッセージ

スピルバーグはこの作品について、『ツイートのような作品』だと述べています。

ツイートとはTwitterで発信するメッセージの意味ですが、その言葉通り、これだけのリアルタイム性を持ったシンプルで明快なメッセージが打ち出された作品もそうないかと思います。

「建国の父は報道の自由にに保護を与えた民主主義における基本的役割りを果たすためだ
報道が仕えるべきは国民だ、統治者ではない」

判事のこのセリフがすべてでしょう。

世界報道自由度ランキングというものがありますが、日本も2011年の原発事故以降、大幅に順位を下げたという報道がありました。

この映画のメッセージそのものはアメリカの社会に向けられたものかもしれませんが、私達にも大きな示唆を含んだ作品だと思います。



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