三木聡監督、オダギリジョー、三浦友和主演のコメディ映画。
三木聡監督作品にはヒッピーの匂いとどこかロードムービーに通じる自由さ、なんとなく中学生の夏休みのような空気があるのですが、この映画も例に漏れずその雰囲気を感じ取れます。
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「転々」のスタッフ・キャスト
監督
三木聡
脚本
三木聡
出演者
オダギリジョー
三浦友和
小泉今日子
吉高由里子
「転々」のあらすじ
オダギリジョー演じる文哉は借金80万円を抱える大学生8年生。三浦友和演じる借金取りの福原に借金帳消しのためのある提案をされる。
それは男二人の『東京散歩』。福原の思い出の地を巡りながら、二人は絆を深めいく。
福原の目的地と散歩の意味を抱えながらも道中出会うエキセントリックな人々とどこかシュールな日常の光景。
福原の知り合いの家で疑似家族を演じることになった文哉は、そこで自分の知らない『家族とは何か』を体験していくことになる。
いつしか芽生えていた福原への思慕を胸に、福原の決意をなんとか止めようとするが。。
感想・レビュー
というのが大まかな映画の縦軸なんですが、三木聡監督らしく、そこで出会う人々の方にも強烈なスポットが当てられます。
バスケが下手な黒人や、絵を描く人、愛玉子屋で暴れる息子、唐突に現れるギターを弾く男や、果ては一瞬だけ登場する三日月しずか(ドラマ『時効警察』でオダギリジョーと共演した麻生久美子の劇中の役柄 )に至るまで。。
決して爆笑ではなく、クスクス笑いなのだが、三木聡監督らしい、独特のゆるさが魅力的。
東京の路地やいろんな風景を巡りながら、霞が関で終える二人の『東京散歩』。
『街で岸部一徳に会うといいことがある』というジンクスのとおり岸部一徳に遭遇した二人。
それを踏まえ、ラストで福原は文哉に問いかけます。
『なにかいいことはあったか?』
『俺は、、、あったかな』
はにかみながらそう答える文哉に観ている私たちの心も温かい気持ちになれているはずです。
エンディングテーマは『髭と口紅とバルコニー』。
タイアップなどのしがらみのない映画の良いところで、無理に誰かの新曲をエンディングに入れ込んだような違和感がないので、どこかノスタルジックなメロディがじんわり染みてきます。
転々のキャッチコピーは
『歩けばわかる、優しくなれる』
何気ない小さな幸せを感じられる、そんな作品です。