【感想レビュー】衝撃の実話「スノーデン」監視社会の実態とは

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「スノーデン」のスタッフ・キャスト

監督
オリバー・ストーン

脚本
キーラン・フィッツジェラルド
オリバー・ストーン

出演者
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
シャイリーン・ウッドリー
メリッサ・レオ
ザカリー・クイント
トム・ウィルキンソン
スコット・イーストウッド
ローガン・マーシャル=グリーン
ティモシー・オリファント
ベン・シュネッツァー
レイキース・リー・スタンフィールド
リス・エヴァンス
ニコラス・ケイジ


「スノーデン」の予告編

「スノーデン」のあらすじ

感想・レビュー

実力派のキャスト・スタッフ

線の細いイメージのあるジョゼフ・ゴードンレヴイッドですが、骨太な演技をみせてくれましたね。

本作はアメリカ国内からの資金提供が受けれず、フランス・ドイツから資金提供されて製作された映画です。

監督はオリバー・ストーン。『プラトーン』で映画監督としてブレイクし、一貫してリベラルな立場をとってきた人物です。

今までの作品オリバー・ストーンもアメリカに批判的なものが多く、アメリカが世界の警察的な役割を自負し、他国へ介入してきたことを強く批判しています。

国家による自国民へのプライバシー介入

かつては国家による介入はベトナム戦争でのように他国に対する軍事的な介入が多かったのですが、今日においてはそれに加えて、インターネットで自国民や同盟国に至るまで無許可で違法に情報を集め、Facebookや送受信したメールに至るまで、個人のプライバシーに介入している現実を今作『スノーデン』では批判的に描いています。

劇中、スノーデンも一度はCIAでの国民のプライバシーを無視したやり方に反発し、CIAを辞めるのですが、政権がブッシュからオバマに代わると政府のやり方も正常化することを信じて、次は民間からの派遣という形で再度CIAに関わります。

この時の一度はオバマに期待したスノーデンの気持ちはオリバー・ストーンもまた同じ気持ちであったのでしょう。

オリバー・ストーンとアメリカ政権

後にスノーデンが『(オバマに期待したことは)間違いだった』と語りますが、オリバー・ストーンも、オバマ政権下でも他国への介入が引き続き行われたことに失望したとインタビューに答えています。

余談ですが、メリル・ストリープや、ジョニー・デップなど、多くのハリウッドの映画人が反トランプなのに対してオリバー・ストーンは他国への介入が減るだろうという観点からトランプに期待しているとも答えています。

個人情報やプライバシーの在り方

さて、肝心の映画は思ったより地味な印象。当初は暴露後のスノーデンをアメリカが追跡するようなサスペンスを想像してたんですが、暴露までのスノーデンの歩みと経験したことが主な内容でした。

情報の収集に関しては2003年の時点でエシュロンによって全世界のメールが傍受されているとも言われていましたし、正直そんな驚きはなかったですね。

スノーデンの暴露から一年後にfacebookは個人情報流出事件を起こします。

Cambridge Analyticaは、2016年のアメリカ大統領選の際、トランプ陣営に勝利をもたらした「データ解析型選挙キャンペーン会社」としてつとに知られていたが、よりにもよって、そのキャンペーンで利用したユーザープロファイルの基本情報が、2014年にFacebookを通じて不正に入手されていたものであった疑いが発覚した。

出典:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55050
フェイスブックは大丈夫? 個人情報流出事件に見る「情報社会の影」(池田 純一) | 現代ビジネス | 講談社

この事件によりFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグは謝罪とともにユーザーのプライバシー保護の対応に追われることとなりました。

一方で2010年には「facebookのユーザーは快く情報を共有するようになっており、インターネットではプライバシーは「社会規範」ではなくなってきている」との発言をしたことも。

かのように、プライバシーの在り方もまた変容してきているという見方を踏まえつつも、それでもその権利は情報公開も含めて個人に帰属するのが当たり前かなと思います。

日本でも自由権は保証されているものの、それが制限されるのは『公共の福祉』に反するときだとされています。


あえて批判的に見るならば

スノーデンの告白によると『名目はテロ対策だったが、テロとは無関係なものもあった』とのこと。G8のなかでアメリカが自国の優位を保つために同盟国に盗聴を仕掛けていたこともスノーデンは暴露しています。

ただ、個人的にはこれも『暗黙の了解』を言葉にしただけにも聞こえます。

というのは僕自身各国の大使館に盗聴器が仕掛けられやすいことも、また他国の大使館員がスパイの可能性があることも国際的な『常識』であると以前、何かで目にしたことがあるからですね。

その証拠として、警戒すべき国の大使館ほど国会議事堂より遠くにあると聞いたことがあります。

スノーデンの正義感と勇気には驚きと賞賛を感じますが、その一方で国家機密を扱う政府機関が雇い入れる人材の質はこのようなものでいいのか?という不安もあります。

組織の倫理においては機密情報を広く一般に流布することはあってはならないこと。

ましてや、国家機密を扱うとなれば、人物のチェックや、物理的な防止措置などもっと高いレベルでなくては一般の人は不安にも思うのではないでしょうか。

このスノーデンの行動についてはアメリカ国内でも賛否両論だそうです。

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