「LUPIN the Third ~次元大介の墓標~」は2014年に公開されたアニメ映画。「ルパン三世」シリーズとしては『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』以来18年ぶりの映画作品となります。
原点回帰とでもいうべきスリリングさとハードボイルド、大人のカッコよさが前面に押し出された作品。全編にわたって次元大介の美学に溢れた映画です。
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「LUPIN the Third ~次元大介の墓標~」のスタッフ・キャスト
監督
小池健
脚本
高橋悠也
原作
モンキー・パンチ
製作
浄園祐
出演者
栗田貫一
小林清志
沢城みゆき
山寺宏一
皆瀬まりか
広瀬彰勇
尾花かんじ
「LUPIN the Third ~次元大介の墓標~」のあらすじ
秘宝「リトルコメット」を狙い東ドロアに潜入したルパン三世と次元大介。東ドロアは犯罪率が低い世界屈指の平和な国。だが自国の歌手クイーン・マルタが、隣国・西ドロアで暗殺され、この事件を契機に、西ドロアと一触即発の緊張状態が続いていた。ルパン達は「リトルコメット」を盗み出すが、何故か行く先々に警察が待ち構えている。かいくぐり逃走するルパンと次元だったが、どこからも死角のはずのビル影から飛び出した瞬間、一発の銃弾が次元を襲う!
一体誰が何のために次元を狙ったのか?次元は自分の身体を貫いた弾丸を見て気づく。西ドロアで暗殺されたクイーン=マルタを撃った弾丸と同じものだった。
次元はルパンとともに墓地を訪れる。そこには『次元大介』の名が記された墓が!次元は噂を耳にしていた。ターゲットの墓を事前に用意する殺し屋・ヤエル奥崎のことを。その男に墓を用意され生き延びた者はいないという。ヤエル奥崎は個人的な意思では動かない。背後に依頼主がいるはず…。
その頃不二子は狙った獲物のために秘密クラブへ潜入するが、オーナーに見つかり捕らえられてしまう。
ルパンと次元は、墓に残された花を手掛かりに、ヤエル奥崎のアジトを特定、潜入する。武器工房のような一室にモニターがあり、そこには囚われた不二子の姿が!驚く2人の前に、遂にヤエル奥崎が姿を現す。
ついに対決の時を迎える二人のガンマン、ヤエル奥崎と次元大介。
一瞬の間。
空気を切り裂き銃声が響く。
撃たれたのは――!!!
出典:https://lupin-3rd.net/jigen-movie/
映画『次元大介の墓標』公式サイト
感想・レビュー
テレビシリーズの復活作『峰不二子という女から続く大人向けルパンの劇場版。
ものすごくかっこよかった作品ですね。これはおすすめ!
今回主役に据えられているのはルパンの右腕の次元大介。
次元大介の敵は他の作品でも過去に何らかの因縁のあった相手になることが多いのですが、今回も一週間前に次元の目の前で護衛についていた歌手を殺した凄腕の暗殺者、ヤエル岡崎が次元の相手。
取り立てて信念のないルパンとは対照的に、美学ともいえるこだわりを随所に持っている次元大介。対する凄腕のガンマン、ヤエル岡崎もまた次元同様、強いこだわりを持つ男。
相手を何発で仕留めるか、まるでゲームのようにサイコロを振ってそれを決め、また仕事の際には常に新しいスーツに着替える、そして何より自分の意思では殺人は行わない。ヤエル岡崎もまた自分を貫く。
次元大介との違いをあげるならば、ヤエル岡崎は銃撃の腕だけではなく、メカニックにも強く殺人へ行きをいくつも開発するなど、多方面の才能に溢れる器用な男。
その点でいくというまでもなく、次元はその真逆を行きます。
例えば長年愛用しているリボルバー。重くて本来早打ちには不向きな銃ですが、次元は意に介さず使い続けています。「ルパン三世 GREENvsRED」では『大事に使えば一生物だ。大切なのはメンテナンスさ。おじさんなんかもう40年も使ってんだよ』というせりふがあり、その愛用具合を推し量れます。
今作でも
「お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこっちゃないが、俺に言わせりゃロマンに欠けるな」
と言うセリフが次元大介という男を物語っています。
次元の愛用する拳銃はリボルバー。相手の銃はもっと軽く、早打ちに適していましたが、次元は愛用の銃を変えてまで勝負に勝とうとは思っていません。
正にそれこそがロマンなのでしょう。
ルパン三世の魅力
「次元大介の墓標」の名言・名セリフ
ルパン「じゃあ、お前も同じ重さの銃を使えば負けねぇってわけか?」
次元「ふん、ごめんだね。」
全編を通して次元の美学に溢れた今作。
早打ちに勝つために銃を変えることはせずに、あくまで愛用の銃を大切にする。次元大介のロマンでしょうか。
生憎だが、丸腰の男を撃つシュミはないんでね
銃を向けてもいい相手、そうではない相手、その基準にも次元なりの美学が徹底されています。
こういった、騎士道にも通じる生き方は次元大介をよりダンディで魅力的な男にしています。
お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこっちゃないが、俺に言わせりゃロマンに欠けるな
例え目的のためには不利であろうと、自分の美徳を貫く。それこそがロマンだと次元大介は伝えているのではないでしょうか?
何を大切にするかの優先順位でカッコいい生き方も決まってくるのかもしれませんね。