「ルパン三世 カリオストロの城」は1979年に公開された映画版ルパン三世の第二作目の映画ですね。
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「ルパン三世 カリオストロの城」のスタッフ・キャスト
監督
宮崎駿
脚本
宮崎駿
山崎晴哉
原作
モンキー・パンチ
製作
藤岡豊
出演者
山田康雄
増山江威子
小林清志
井上真樹夫
納谷悟朗
島本須美
石田太郎
「ルパン三世 カリオストロの城」のあらすじ
ルパンと次元はカジノからの現金強奪に成功する。札束を車一杯に詰めて意気揚々と帰路につく二人だったが、その札束は精巧に作られた偽札、通称『ゴート札』であることがわかる。
ゴート札の出所のカリオストロ公国を新たな目的にしたルパン一行だったが、入国早々カーチェイスに巻き込まれる。
運転したまま気絶していたドレス姿の少女をルパンは救い出すも、落ちてきた木が頭にぶつかり気を失う。その間に少女は水からの手袋を布巾がわりにルパンを介抱するが、ルパンが目を覚ますと何者かに連れ去られていた。
意識を取り戻したルパンは少女がはめていた手袋に残っていた指輪から、かつて自分を助けてくれた王女の娘、クラリスであることを悟る。
10年前、まだ駆け出しの泥棒だったルパンはゴート札の謎を解こうとカリオストロ公国に入国したが、こてんぱんにやられたのだという。
クラリスはカリオストロ伯爵との望まぬ結婚から逃げようとしていたのだった。
一方、食事をしていたルパンと次元にも、カリオストロ公国の暗殺者たちが迫っていたー。
感想・レビュー
宮崎駿が描く『ルパン三世』
高度経済成長期を抜けて、人々の暮らしが豊かになった70年代の終わり。
そんな時代に『お宝』を盗むルパンというキャラクターを成立させられるのか、という問題のなかで、宮崎駿が出した答えは『ファンタジー』という舞台でした。
中年男と少女の古典的なファンタジー。
本作のキャラクター造形
本作のルパンは他の作品と比べて年齢も高く設定されています。女たらしのルパンというイメージは今作ではかなり抑えめ。
ルパンとクラリスが月夜の部屋の中で邂逅するシーンはルパンは過度に紳士的で、保護者のような雰囲気さえ感じさせます。クラリスとは対照的に務めて「オトナ」でいようとするルパンのダンディズムが光ります。
また、銭形警部が他作品と比べて『切れ者』として描かれているのもポイント。
銭形警部といえば、一般的なイメージはルパン逮捕に命を燃やすも、ドジでいつもあと一歩で出し抜かれてしまう、コメディリリーフのような役割ではないでしょうか。
もともとモンキー・パンチの原作での銭形は宮崎駿が描いたように相当な敏腕刑事。その目的はルパン逮捕ではなく、『ルパンを殺す』こと。
その憎悪は凄まじく、八つ裂きにしても足りないというほど。
近年ではコミックの『刑事銭形』で敏腕刑事な銭形警部を見ることができます。
さて、「カリオストロ」での銭形警部の描きかたは原作者のモンキー・パンチをして『宮崎駿監督の解釈が一番正しい』と言わしめたほど。
ただ、「カリオストロ」での、偽悪的なルパンの描き方については素晴らしいと認めながらも、もともとルパン一味を義賊として描いたつもりもないことから「自分には描けない」とも漏らしています。
そんな偽悪的なルパンの象徴がラストシーンでしょう。
「私も連れてって」
泥棒だってきっと覚えるから・・・そこまでの覚悟を口にしてまで自分についていこうとするクラリスを抱きしめようとして、しかしその直前で思いとどまるルパン。
その葛藤は燃えるような恋愛の愛情と、大人として少女を見守る、穏やかな愛情の狭間で激しくルパンの思いが揺れ動いていることを映画を観ている私たちにも痛いほど感じさせます。
一般的にはその後の銭形警部とクラリスのやり取り、「やつはあなたの心を盗んでいきました」の方が名シーンとされているでしょうが、僕はこの抱きしめたくても抱きしめられない『大人』のルパンがいつみても心が締め付けられ、やはり名シーンはここだなと思います。
公開当時の興行収入こそ、前作『複製人間』に及ばなかった今作ですが、いまやルパンの枠を越えて名作アニメの代表作として高い評価をうけています。
「ルパン三世 カリオストロの城」の名言・名セリフ
「泥棒です…こんばんは、花嫁さん』
「私の獲物は悪~い魔法使いが高い塔の天辺にしまいこんだ宝物・・どうかこの泥棒めに、盗まれてやってください・・」
「ああ何というとだ。その女の子は悪い魔法使いの力は信じるのに、泥棒の力は信じようとはしなかった。その子が信じてくれたなら、泥棒は空を飛ぶ事だって、湖の水を飲みほす事だってできるのに」
「奴はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」
「ルパン三世 カリオストロの城」の受賞歴
1979年
第34回毎日映画コンクール・大藤信郎賞受賞
1982年 – 1984年
アニメージュ アニメグランプリ歴代ベストワン作品1位
2004年
キネマ旬報創刊85周年オールタイムベスト・テン アニメーション部門1位
2006年
日本のメディア芸術100選 アニメーション部門 専門家選出4位、一般選出5位
2010年
キネマ旬報オールタイム・ベスト 映画遺産 アニメーション篇1位
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