【ネタバレレビュー】「ミスター・ガラス」シャマラン完全復活の傑作!

「ミスター・ガラス」は2019年公開のアメリカ映画。監督はM・ナイト・シャマラン。
出演者はブルース・ウィリス、ジェームズ・マカヴォイ、サミュエル・L・ジャクソンです。
アンブレイカブル」「スプリット」と世界観を同一にした正統な続編です。

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「ミスター・ガラス」の予告編

「ミスター・ガラス」のスタッフ・キャスト

監督
M・ナイト・シャマラン

脚本
M・ナイト・シャマラン

出演者
ブルース・ウィリス
ジェームズ・マカヴォイ
サミュエル・L・ジャクソン
サラ・ポールソン
アニャ・テイラー=ジョイ

「ミスター・ガラス」のネタバレあらすじ

デヴィッド・ダンは15年勤めたスタジアムの警備員を退職し、息子のジョセフとともに『ダン・ホームセキュリティ』を経営する傍ら、能力を活かして日夜悪を成敗する裏の顔も持っていた。

ダンが探しているのは少女を誘拐して殺害している殺人犯。ジョセフの推理によって、工場街が怪しいとなり、ダンはその一角を歩いていると、服に赤土の汚れを残したケヴィンとすれ違う。

ダンの能力はすれ違う人に触れると、その人の『罪をおかした場面』が脳裏に浮かぶこと。そして彼自身は何があっても怪我ひとつ負わない「破壊不可能(アンブレイカブル)」な人間なのであった。

すぐさまケヴィンが少女を殺害した場面が脳裏に浮かぶダン。

ダンはとともにその場所を突き止め、監禁されていた少女たちを解放する。

そしてそこに現れたケヴィンの暴力的な人格「ビースト 」と戦うが、力は互角だった。ダンは自分の『破壊不可能』な体質を利用し、窓から外へビーストもろとも転落させる。

しかし、そこには警察も急行しており、ケヴィンはおろか、ダンにも銃口をむけるのだった。ダンは法に依らない自警者として警察から追われる身でもあったのだ。

ケヴィンとダンはイライジャ(通称「ミスター・ガラス」)が収容されている病院に共々収容されることになった。

(以下、『アンブレイカブル』の内容』)

イライジャは骨形成不全症を患っており、非常に骨が脆く折れやすい体質で産まれた。

彼はそれゆえに室内で過ごすことが多く、特にコミックブックに夢中になっていた。

そしていつしか、「自分のように弱く脆い人間がいるのなら、その対極のどうしても壊れないスーパーヒーローのような人間もいるのでは?」との考えを抱き、様々なテロ行為を働いていた。

そのようなテロの中で唯一生き残っていた人物がダンであったのだ。

しかしダンの能力により、イライジャの行為も知られることになり、精神病院に収容されることになったのだった。

(以上『アンブレイカブル』の内容)

女医のエリーはダンとケヴィンを別々の部屋に監禁し、彼らの「自分はスーパーヒーローである」という考えを精神病だとして治療を試みようとしていた。

感想・レビュー

シャマラン、完全復活ではないでしょうか?

凄く面白かったですねー!

『スーパーヒーローは現実社会のなかでどのように解釈されるのか?』

同じく現実社会でのヒーローの居場所を描いた2009年の映画『ウォッチメン』では 、それは非合法の自警団であったり、また政府に利用されたりと、常人離れした能力は認めながらも、秩序や権力の中に組み込まれていきました。

今作『ミスター・ガラス』では、彼らの能力はハイレベルではあるが、人間の限界を越えるものではないとされ、スーパーヒーローはすべて彼ら自身の妄想とされます。

ダンも、ケヴィンもその考えに納得し同調しようとしますが、イライジャは頑なに自分の信念を変えません。

『アンブレイカブル』では、圧倒的な知能というよりも、ダンをスーパーヒーローとして覚醒させる導き役として描かれていたイライジャですが、ここでは彼の並外れた『知能』が存分に描かれます。

全ての黒幕として存在し、映画の中盤からはストーリーを進めていくのはこのイライジャなのですね。

前半はほとんど台詞もなく、なぜ本作の題名が『ミスター・ガラス』なのだろう?と思っていましたが、正装して車イスに乗る姿はまさしく全ての黒幕にふさわしいオーラを感じさせます。

ケヴィンの中でも最も凶暴かつ凶悪なビーストを手なずけるあたりは、『羊たちの沈黙』のレクター博士のようでもありますし、座ったまま問題を解決していく様は、『安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティヴ)』にも見えてきます。


物語のストーリー的には途中まではまっすぐ。

ビーストとダンに病院を脱走させ、大観衆の目に触れる超高層タワー(オオサカタワー)で二人をスーパーヒーローとして戦わせる。

クライマックスにふさわしい豪華な舞台であり、シンプルなファイトであり、王道ですが、素直に楽しめる展開です。

しかし、実際は病院の前で、しかもほぼ誰もいない中での戦いとなりました。

「『ワールドウォーZ』みたいに制作費途中で使いすぎたんかな?」と思いながら観てましたが、(意外とクライマックスがショボい映画多いですよね。『ダイハード 4』とか。)

しかし、ラストではイライジャは初めからオオサカタワーに行く気がなかったこと、そして、真の『目的』のために命を落とす覚悟があったことが明かされます。

その目的とは『スーパーヒーローの実在を世界に知らしめること』。

それは大観衆の前ではなく、文字通りインターネットを通じて世界に発信することでした。そして、新たなヒーローを目覚めさせること。異端を排除せずに、許しあえる社会にしようというメッセージでした。

どんでん返しに次ぐどんでん返しに劇場でめちゃくちゃ興奮しましたね。

さすがはシャマラン。『シックス・センス』での鮮烈な登場でしたが、その後の監督作品で『シックス・センス』に並ぶ物語は作れていないのはその通りかと思います。

個人的には『シックス・センス』はネタバレの斬新さ、巧みさはもちろんあるものの、コール親子の和解という感動(ここは母と祖母の物語でもありました。)、マルコムの救済など泣ける要素もあったことが『シックス・センス』を名作にしている理由でしょう。

話を『ミスター・ガラス』のクライマックスに戻しましょう。例え予算がなかろうと(シャマラン自体そんなに制作費を使う監督ではないのですが)ここまで完璧な回収をしてくれたら文句はないです。

『アンブレイカブル』『スプリット』のヒーロー総集めで描かれた『ミスター・ガラス』はシャマラン版の『アベンジャーズ』とも言えるでしょう。

そこにブロック・バスターのようなエンターテインメントではなく、ヒーローとしての苦しみ(イライジャは人と異なって産まれた自分の人生を『最低だ』と漏らしています)、そして自らの存在意義を問う、リアリズム溢れる作品に昇華させました。

『ミスター・ガラス』、2019年始まったばかりですが、いきなり快作を観せつけられた思いがします。

シャマラン、完全復活です。

ちなみにヒッチコックへのオマージュで、毎回作品のどこかに出演しているシャマラン監督ですが、今回は前半にダン・ホームセキュリティのお客さんとして登場してます。



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