★【感想 レビュー】「バッドボーイズ フォー・ライフ」続編の稀有な成功例!

『バッドボーイズ フォーライフ』は2020年に公開されたアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー監督のアクション映画。
主演はウィル・スミスとマーティン・ローレンス。
前作の『バッドボーイズ2BAD』から実に17年ぶりの続編となります。

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「バッドボーイズ フォー・ライフ」のスタッフ・キャスト

監督
アディル・エル・アルビ
ビラル・ファラー

脚本
ジョー・カーナハン
クリス・ブレムナー

製作
ジェリー・ブラッカイマー
ウィル・スミス
ダグ・ベルグラッド

製作総指揮
マイク・ステンソン
チャド・オマン
バリー・ウォルドマン

出演者
ウィル・スミス
マーティン・ローレンス
ヴァネッサ・ハジェンズ
アレクサンダー・ルドウィグ
チャールズ・メルトン
パオラ・ヌニェス
ケイト・デル・カスティーリョ
ニッキー・ジャム
ジョー・パントリアーノ

感想・レビュー

『バッドボーイズ2BAD』から実に17年ぶりの続編となった今作。

ターミネーター ニューフェイト 』や『インデペンデンス・デイ リサージェンス』なと、名作エンターテインメントの続編ではあるものの、評価があまり芳しくない作品も多い昨今、『バッドボーイズ フォーライフ』はファンが求める続編映画は何かをきちんとわかっている稀有な作品だなと思います。

まず、前提として続編に必要な要素はそれまでのシリーズの魅力を保つということと、新しいもの、斬新さを加えていくということです。

今回の敵はかつてマイクと恋愛関係にあったメキシコのマフィアの女性イサベル・アレタスとその息子のアルマンド・アレタス。シリーズ初の女性の悪役となっています。

『バッドボーイズ2BAD』もそうでしたが、『バッドボーイズ』シリーズの悪役は常に一般的な悪役のイメージを裏切っていきます。

『バッドボーイズ2BAD』の悪役はキューバの麻薬王。その言葉からイメージされる恰幅よく熟れた風貌とは異なる、若い痩身の男のキャラクターで意外性と斬新さを打ち出していました。

今回は女性というまたこれまでとは異なるアプローチを採用。もちろん肉弾戦で戦わせるとウィル・スミスやマーティン・ローレンスには敵わないので、息子を実行犯役としてマイクのもとに送り込みます。

このイサベル・アレタスはメキシカン・マフィアという設定ですが、最近は『ランボー5』しかり 、『ボーダーライン』しかり、メキシコを敵にしている設定の作品が増えていますね。

現実にはイラクなどの中東がより大きな脅威かもしれませんが、おそらく宗教的にデリケートなことと、個人レベルではなく、国家レベルでの関わりとなるため、中東は敵にしづらいのでしょう。

ちなみにの脱獄シーンは『羊たちの沈黙』でレクター博士が脱獄したシーンと酷似しています。これも一種のオマージュでしょうか。

また、続編映画に欠くことのできない要素であるシリーズのもつ魅力は保たれたまま、よりパワーアップしています。

ウィル・スミスとマーティン・ローレンスの掛け合いも変わらずに楽しく笑えますし、アクション・シーンのアイデアは毎回よく練られています。

今回、監督が前二作のマイケル・ベイからアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラーに変わったために、細かく割りすぎたカットもなく、映像としては見やすくなっています。

もちろんにオマージュを捧げたシーンも満載。

何気ないカットにも『バッドボーイズ』らしさがふんだんに感じられます。

今作の企画は10年以上前から存在していました。それだけの時間をかけて作られた脚本には、まさに今でなければならない必然性が溢れています。

ちなみに監督のアディル・エル・アルビとビラル・ファラーは二人とも以前から『バッドボーイズ』シリーズの大ファンだったそう。

そのため、本当にファンと同じ目線でキャラクターを愛しているのがすごくよく感じられます。

意外とこのことを考慮できていない続編映画は多く、『ターミネーター ニューフェイト』ではジョン・コナーを冒頭から殺してしまうなど、ある意味ではファンを悪い意味で裏切る展開にしてしまった作品も少なくありません。

『バッドボーイズ フォーライフ』はほとんどそういったことはなく、しかし、前二作の焼き直しにならないように絶妙な方向に深化したといえるでしょう。

それは時間の重さ。

マーカスが孫を持ち、自分の人生を考え直したり、またマイクももう若くはなく、最新の操作方法を駆使するチームに戸惑いを見せるなど、強く時の流れを感じさせるものになっています。

その中で過去の過ちも浮き彫りになってくるのが今作の最も印象的な部分でしょう。

マイクには実はイサベルとの間に息子がいたことが明らかになります。

恋と任務の間で揺れる若き日のマイクは、任務を選び、彼女を逮捕。

刑務所に送られた彼女が獄中出産した息子は、マイクとの間にできた子供なのでした。

その瞬間、このエンターテインメント映画は単に警察vs犯罪者という図式にとどまらない複雑さ、深みを見せてくれます。

もちろん、これらの設定がスンナリ受け入れやすいのも、もともとがコメディからシリアスなアクションまでのふり幅が広い『バッドボーイズ』シリーズならではのこともあるのでしょう。

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