「三度目の殺人」のあらすじを結末までネタバレで紹介しているので、
まだ見てない人は閲覧注意です!
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「三度目の殺人」の予告編
「三度目の殺人」のネタバレあらすじ
三隅の犯行
ある夜、強盗殺人が発生する。後ろから被害者をスパナのようなもので殴り付け、遺体に火をつける。
逮捕されたのは三隅高司という男だった。また殺害されたのは三隅の勤めていた工場の社長だった。
弁護士の重盛
弁護士の重盛が三隅の面会に摂津と共に向かう。
三隅は犯行の概要や動機を話し出すが、摂津は以前三隅本人から聞いた概要や動機とは食い違っていることに気づく。
動機は金ほしさの強盗殺人。遺体を焼却したガソリンは前もって用意してたものではなく、勤務先の工場にとりに戻ったと供述する。
三隅には30年前にも殺人の前科があり、このままだと死刑は免れない。
重盛はなんとか強盗殺人の罪状を覆し、無期懲役にできないか画策する。
重盛は真実の追求は二の次で、弁護士としての勝利を優先するような人物でもある。
重盛は事件現場へむかう。遺体の焼却跡が十字架のようになっているのを気にかける。その後タクシー内の防犯カメラの映像から財布は遺体にガソリンをつけたあとで盗られた可能性を見つけ、そして遺族に謝罪に向かう。
そこで足を引きずる被害者の娘、咲枝に出会う。
重盛はある電話で目を覚ます。娘がスーパーで万引きをしたその引き受け人として呼ばれたのだった。
重盛の家庭は離婚間際で崩壊寸前でもあった。
父親の前で上手に泣き真似をしてみせる娘だったが、どこかその表情には寂しさが浮かんでいた。
保険金殺人疑惑
重盛は娘との食事を切り上げ、摂津とともに三隅との面会へ向かう。
三隅は摂津や重盛に無断で週刊誌の取材に応えており、それは今回の事件が被害者の妻からの保険金目当てでの殺人依頼だったという内容だった。その真偽の確認の面会だったのだ。
依頼金は前金で50万円。メールも残っているというが、その文言は解釈の余地の残る物であり、はっきりと殺人を依頼する文言は残っていない。
咲枝と三隅の接点
三隅の住んでいたアパートを訪ねた重盛は、そこに咲枝が通っていた事実を知る。
空の鳥かごに目をやった重盛はアパートの大家から、飼っていた鳥を三隅がアパートの下に埋めて良いか訊いてきたことを話す。重盛がその場所を調べると、墓には石で十字架が作られていた。
その事を踏まえ、また三隅との面会をする重盛。
墓には鳥が5羽埋められていたこと、また家賃が犯行月の時だけ10日も早く振り込まれていたことなどの不自然さを話す。
三隅は重盛の質問を交わし、逆に重盛の娘について問いただす。
咲枝の様子を調べていた重盛は咲枝が北海道の大学に進学を志望していること、そして生まれつきの足の障害を、『子供の頃の怪我』と偽っていることを知る。
事務所に戻ってきた重盛は父親が訪れているのに気づく。
元々は30年前に裁判長だった重盛の父親が担当していた三隅一度目の殺人事件のの裁判記録を頼んでいたのだが、なぜか父親までついてきてしまったのだった。
三隅を獣のような男だったという父親の言葉に違和感を抱く重盛。
北海道の第一の殺人
重盛は北海道へ向かい、第一の事件を調べ直してみることに。
当時三隅を逮捕した刑事に事件の概要を聞くと、三隅はやはり第一の事件でも供述をコロコロ変えていたのだった。
「怨恨などはなく、それが逆に不気味だった、まるで空っぽの器のような・・・」
刑事はそう三隅のことを振り返る。
切り替わる証言
情状証人として娘を呼ぼうと考える重盛だったが、三隅は拒否する。
そして、『あんなやつ殺されて当然だった』と言い放つ三隅の言葉に、それまで述べていた後悔の思いが消えていることに戸惑う重盛。
またも切り替わる供述に三隅の本心がわからなくなっていく。
重盛は咲枝に三隅のアパートに行っていた件を尋ねる。
咲枝は三隅に娘がいることを知らなかった。
本当のこと
夜遅くまで報道陣が家に押し寄せ、疲れきった咲枝の母親に対して咲枝は『本当のことを言えば良いじゃない』という。
あの50万円は殺人の依頼金ではなくて、三隅の勤めていた会社の食品偽装に対する口止め金だったのだ。
そして、余計なことは裁判で言わないでという母親に、「余計なことって?」と尋ねる咲枝。
「工場とか、お父さんのこととか・・・」そういった母親は小さな声で『お父さんだけが悪いわけではない』とつぶやくのだった。
三隅とまた面会する重盛は、三隅に十字の意味を問いかける。
三隅はカナリアが逃げたのは実は自分が逃がしたと言い、「自分と同じように命をもてあそんだ奴がどこかにいるのか」と言う。
重盛がなぜ裁判長(重盛の父)に手紙を出したのか問うと三隅は『だって人の命を自由にできるじゃないですか』と答えるのだった。
裁判
三隅の裁判が始まる。検察は起訴内容を読むが、三隅は強盗殺人ではないということと、殺人は被害者の母親からの依頼 ということを主張し、起訴内容を否認する。
その事を、被害者の母親に問いただすが、彼女はそれを否定する。
真実
裁判のあと、咲枝から衝撃の事実を聞かされる。
それは咲枝が実の父親から性的暴行を受けていたこと、そして母親は事件とは関係のないことを訴える。
重盛は咲枝に裁判では彼女自身のことや交遊関係まで洗いざらい調べあげられることの覚悟はあるかを質す。
咲枝は『隠してきたいままでのほうが辛かった』といい『母のように見ないふりしたくなかった』と言って裁判所を後にする。
重盛は三隅と会い、咲枝との写真、そして裁判長に送った手紙をみせる。犯行現場となった河川敷で、咲枝から三隅に実父からの性的暴行を打ち明けられたこと、そして、咲枝を自分の娘のように思っていたために、咲枝のために父親を殺したのではないかと問う重盛。
畳み掛けるように、重盛は普通は解雇した社員の呼び出しに普通はついていかないと言う。
三隅は被害者が食品偽装を行っていたことを打ち明け、その件で話があると言い、被害者を呼び出したのだと述べる。
重盛は50万は殺人依頼ではなく、食品偽装作業の見返りであることを見抜き、三隅が殺人依頼のお金だと供述したのは、性的暴行を見て見ぬふりした母親への復讐ではないかと問う。
ここで、三隅は思いもよらない告白をする。
殺人の否認
なんと殺人を犯していないと言うのだ。
なぜ本当のことを言わなかったのかと問う重盛に対して、刑事も、弁護士にも信じてもらえず、自供したほうが死刑より刑が軽くなるからという理由で、自供したと言うのだ。
この唐突な告白に対して本当のことを教えてくれと声を荒げる重盛。
財布は盗み、金は娘に送った、腕のやけどはたき火が原因で、犯行現場の河川敷には行っていない。
その告白に対して『戦術的に裁判で不利になる』という重盛だったが、三隅は『戦術などどうでもいい!信じるのか、信じないのか!』と語気を強める。
三隅の言葉を信じることにした重盛は弁護士事務所で、戦術を練り直すことに。
『負けるぞ』そう言い残す摂津。
『本人が否認がしている以上、弁護士としてはその心象に寄り添うべきではないのか』。重盛はそう答えるのだった。
裁判では咲枝の証人尋問が行われている。
検察側の尋問に対して、三隅の金銭目当ての犯行も、死刑への気持ちも否定した咲枝。
そして三隅は改めて殺人の事実を否認。
休廷して弁護士と検察側の話し合いの場所が持たれるが、この場での争点は犯人性の部分から裁判を一からやり直すか、それとも続行するのかという部分だった。不自然な目配せややりとりがあり、当初反対していた検察もやり直しではなく裁判の続行で落ち着く。
求刑
その後の裁判で三隅に科せられた刑罰は死刑。メールの内容も、犯行の否認も三隅の主張は客観的な信用性に欠けると判断されたのだった。
法廷から出た重盛を待っていたのは咲枝だった。
『ここでは誰も本当のことを話さない
誰を裁くかは誰が決めるんですか』
その言葉が重盛に重く突き刺さる。
死刑囚となった三隅のもとを訪れた重盛は三隅が犯行を否認していた理由をずっと考えていたと話す。犯行を否認することで、咲江につらい証言をさせずに済んだ、咲江を守るための行動ではと自分の考えを述べる。
三隅はそれが本当ならいい話だと言い、「もしこんな人殺しの私でも誰かの役に立てるんだから」と答え、結局のところ真実はわからないままだった。重盛ははっと「あなたはただの器?」と問うも、三隅は何ですかと言ってまた答えをはぐらかす。
重盛は帰り道、晴れない気持ちを抱えたままで十字路に立ち、空を見上げる。
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