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アマデウスのあらすじネタバレ
1823年ウィーン。とある老人が自殺を図る。彼の名はサリエリ。
翌朝、彼のもとを神父が訪ねる。
彼の曲を知らない神父が唯一理解できたのはモーツァルトの楽曲だった。
『モーツァルトは私の憧れだった』
サリエリは同時代の天才音楽家、モーツァルトについて語り出す。
幼い頃、神に『生涯純潔を捧げる代わりに音楽の才能を与えたまえ』と切望したサリエリ。その祈りのとおりに、かれは人々から認められ、敬われた宮廷作曲家だった。
モーツァルトを知るまでは。
その圧倒的な音楽的才能とは裏腹にモーツァルトの素顔はお世辞にも上品とは言えない男。
女性を追いかけ、卑猥な言葉をしゃべる、いわば下品なせいかくだった。
モーツァルトに関しては宮廷でも賛否両論だったが、サリエリだけは彼の才能の大きさに気づいていた。
今までに聞いたことのないような素晴らしい音楽だと。
『神はなぜ音楽の才能を彼のような下品な男に与えたのか?』
やがてモーツァルトは宮廷作曲家として登用されることになり、サリエリは彼を歓迎するマーチを書き、モーツァルトに献呈するが、モーツァルトはそれを一度聞いただけで見事に弾きこなし、さらにはより優れた曲にその場で弾き直してしまうのだった。
そしてサリエリが密かに思いを寄せていたオペラ歌手にも手を出していたことが判明する。
神に純潔を誓っていたサリエリにとってそれは耐えがたいことだった。
この事を契機にサリエリの中には嫉妬だけでなく、憎しみもはっきりと芽生えていた。
ここからサリエリの暴走が始まる。
まず皇帝ヨーゼフ2世の娘の家庭教師にモーツァルトが就くのをサリエリには妨害するが、なんとしてでも夫に教師になってほしかった妻コンスタンツェがモーツァルトのオリジナルの譜面をもってサリエリのもとへ直談判に訪れる。
モーツァルトのオリジナルの楽譜を見たサリエリは愕然とする。
その楽譜はどこにも書き直しの跡がなく、すでにモーツァルトの頭の中で楽曲が完成していること、そしてその楽曲はこれ以上ないほど完璧であること。
『至上の美を見た』
そうサリエリは回想する。
そして神が音楽の才能をモーツァルトに与え、自分には彼の才能を見抜く能力しか与えられていないことに気づき、モーツァルトを潰すことを決意する。
借金の話をきいてモーツァルトの元を父レオポルトを訪れる。
モーツァルトは借金については話をはぐらかし、レオポルトと共に遊びに行き、仮面舞踏会で椅子取りゲームを楽しむ。
モーツァルトは罰ゲームの一環として、その場で流れていた曲をバッハ風に弾く。次は誰の真似がいいか観客に問いかけるモーツァルトに、その場に居合わせたサリエリ(仮面で顔を隠している)は自分(「サリエリ」)をリクエストする。
悪意を込めた物真似でサリエリ風に弾きこなすモーツァルトを、目にしてサリエリはさらに憎悪を深めていくのだった。
ある日、モーツァルトの家にメイドがやってくる。誰が依頼したかもわからないメイドをきっかけにモーツァルトの妻コンスタンツェは苛立ちを隠せない。
メイドの雇い主はサリエリだった。彼はメイドを利用してモーツァルトの情報を抜き出そうとしていたのだ。サリエリはモーツァルトの留守中にメイドの手引きで彼の部屋へ忍び込む。
そこで彼が見たのはフィガロの結婚と題されたオペラの楽譜だった。
実はフィガロの結婚はヨーゼフ2世が有害な芝居として禁止していた演目。サリエリはそのことをヨーゼフ2世に伝える。
この事でモーツァルトはヨーゼフ2世から詰問され、宮廷での立場も危うくなりかねるが、熱意をみせつけ、モーツァルトはとうとうリハーサルにまでこぎ着ける。サリエリは対抗策として『フィガロの結婚の中のダンスがあること』そしてダンスのある芝居をヨーゼフ2世が嫌っていることを理由にまたも妨害しようとする。
何も知らないモーツァルトはサリエリに助けを求める。
サリエリはモーツァルトの願いを「陛下へ伝える」とその場をとりつくろい、実際には何もせずに劇の進行を見ていた。その最中のリハーサルにヨーゼフ2世が現れ、バレエシーンに曲をつけるように命令する。
またもサリエリの目論みは外れ、そして再びモーツァルトの才能の凄さに打ちひしがれる思いに駆られる。
そんな完璧な『フィガロの結婚』だったが、ヨーゼフ2世が途中であくびをしてしまう。
『フィガロの結婚』結局、9回で打ち切りになり、サリエリはモーツァルトに自分のオペラを見てもらう。それはヨーゼフ2世から称賛され、またモーツァルトにも評価される。
そんな折、モーツァルトのもとに父の訃報が届く。
その結果『フィガロの結婚』につづくモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』はとても暗い作品となった。
その作品を回顧しながらサリエリは言う。
「あの作品の亡霊は亡くなったモーツァルトの父親のことだ。彼は観客のまえで父親をよみがえらせ、自らを非難させたのだ」
サリエリは父の亡き後もモーツァルトには常に父の影、そして父への悔恨がつきまとっていることを悟る。
創作に打ち込むモーツァルトのもとに、父と同じ姿をした者が訪れる。
依頼内容は鎮魂歌(レクイエム)の作曲。
その姿にモーツァルトは動揺を隠せない。
サリエリの計画はこうだった。
モーツァルトを殺し、彼が依頼されていた鎮魂歌を彼の葬儀で演奏する。モーツァルトの代わりに鎮魂歌を書くのはサリエリ。
モーツァルトの葬儀に集まった大勢のウィーン市民の前に自らの才能を知らしめようとしたのであった。
宮廷オペラから大衆オペラへの鞍替えを求められたモーツァルト。
金のためにその提案をのむモーツァルトだったが、依然として頭の中はレクイエムに支配されていた。
サリエリが送り込んだメイドがモーツァルトの家への派遣を拒否するほど、次第に狂気にとりつかれてゆくモーツァルト。
そんななか、また父と同じ姿の男が現れ、レクイエムの進捗を尋ねられる。
彼の存在は更にモーツァルトを追い詰めていく。
すでにモーツァルトは正常な思考ができなくなっていた。
死神に怯え、酒に逃避し、さらには妻コンスタンツェにも逃げられてしまう。
彼の衰弱は更に進み、ついにはオペラの途中で気を失い倒れ込む。
ベッドに運ばれたモーツァルトに話しかけるサリエリ。
『私の知る限り君は最高のオペラ作曲家だ』
複雑な感情とともにサリエリはモーツァルトにそう伝える。
そしてサリエリはさらにモーツァルトを追い詰めていく。
大衆オペラの役者の訪問をあの男の訪問に見せかけ、明日までのレクイエムの完成の要望を伝える。困惑するモーツァルトにサリエリは『よければ私が手伝おうか』と提案する。
モーツァルトの頭の中にある楽器と旋律を譜面にしてゆくサリエリ。
その中でモーツァルトはサリエリへの悔恨の言葉を伝える
『僕がバカだった。許してくれ』と。
その翌日にコンスタンツェが帰宅。寝室にサリエリの姿を見つけたはサリエリを部屋から追い出そうとする。彼の筆跡の「レクイエム」の楽譜を見つけたコンスタンツェはレクイエムのせいで主人は病気になったと、それをケースに入れてしまう。
その最中、モーツァルトは帰らぬ人となっていた。
雨の中、モーツァルトの葬儀が行われる。サリエリの予想とは逆に共同墓地にみすぼらしく葬られるモーツァルト。
すべてを神父に語り終えたサリエリは神への憎しみを口にする。
『凡庸なる人間にはなんの栄光も与えなかった。』
凡庸なる人間である自分の音楽も忘れられてゆく、しかしモーツァルトの音楽は。。。
アマデウスの映画情報
1984年上映時間
158分監督
ミロス・フォアマン
脚本
ピーター・シェーファー原作
ピーター・シェーファー
製作
ソウル・ゼインツ
出演者
F・マーリー・エイブラハム
トム・ハルス