以前、実際の出来事を元にしたヒューマン・ドラマ映画を特集しましたが、今回は実際の事件を元にした映画を特集します。
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チェンジリング
『チェンジリング』は、2008年に公開されたクリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演のドラマ映画です。
1928年、シングルマザーのクリスティンは仕事から帰宅すると、息子のウォルターがどこにもいないことに気づく。ロサンゼルス市警に捜査を依頼するが、5か月後、警察が見つけてきた「ウォルター」は全くの別人だった。クリスティンは必死にそのことを訴えるが、逆に彼女は精神病院に入れられてしまう―。
タイトルの『チェンジリング』は取り換え子の意味で自分の子供が醜い子供に取り替えられるというイギリスの伝承を元にしています。
ゴードン・ノースコット事件
『チェンジリング』の元になったのは、1928年に起きたゴードン・ノースコット事件と呼ばれる複数の子供たちに対する殺人事件です。犯人は養鶏場を経営していたゴードン・ノースコット。子供たちを誘拐、監禁したのちに暴行、遺体は養鶏場の近隣の砂漠に遺棄してました。
裁判で有罪になったのは3人の殺害に対してのみでしたが、実際には20人の殺害を認めています。そしてその中には『チェンジリング』で取りあげられたウォルター・コリンズも含まれています。
なお、ウォルターの母のクリスティンは息子の死を信じず、生涯にわたって息子を探し続けたとのことです。
パブリック・エネミーズ
『パブリック・エネミーズ』は2009年に公開されたマイケル・マン監督、ジョニー・デップ、クリスチャン・ベール主演の映画です。
マイケル・マン監督、ジョニー・デップ、クリスチャン・ベール共演の実在したギャング、ジョン・デリンジャーを題材にした映画です。
禁酒法と大恐慌の渦中にあった1930年代のアメリカに実在したギャング、ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じています。
暗い世相にあって、鮮やかに銀行強盗を繰り返し行い、また弱きものからは何も奪わなかったジョン・デリンジャー。彼は民衆からはあたかも義賊のようにもてはやされ、FBIからは「社会の敵ナンバーワン」と呼ばれました。
ジョン・デリンジャー
『パブリック・エネミーズ』のもとになったのは禁酒法や世界恐慌のあえいでいた1930年代に活躍したジョン・デリンジャー。
1903年にインディアナ州インディアナポリスのブライトウッドで生まれたデリンジャーは1924年に食料雑貨店の強盗罪によって刑務所に入ります。1933年に出所したのちは仲間と銀行強盗を繰り返し、当時のFBI長官のJ・エドガー・フーヴァーによって「社会の敵ナンバーワン」に指名されます。
1934年に交際していたアンナの裏切りによってFBI捜査官に取り囲まれ射殺。この時アンナが着ていた赤いドレスから、その後「赤いドレスの女」は自分を破滅へ導く女性を意味するようになりました。
モンスター
『モンスター』は2003年に公開されたパティ・ジェンキンス監督・脚本、シャーリーズ・セロン主演の映画です。
実在の殺人犯アイリーン・ウォーノスをテーマにした作品です。
シャーリーズ・セロンは本作のために14キロもの増量を実現させ、眉もすべて抜くなど持ち前の美貌をすべて捨て去る役作りを行いました。
アイリーン・ウォーノス
『モンスター』の元になったのはアイリーン・ウォーノスという女性です。
フロム・ヘル
『フロム・ヘル』は2001年に公開されたアメリカのスリラー映画。1888年にイギリスで起きた「切り裂きジャック」事件をモチーフにしています。
監督はアルバート・ヒューズ、アレン・ヒューズ兄弟。
主演はジョニー・デップ、ヘザー・グラハムが務めています。
切り裂きジャック
『フロム・ヘル』のもとになったのは1888年にイギリスで起きた「切り裂きジャック」事件。
切り裂きジャックはあまりに有名で、未だに犯人にたどり着かないために様々な推測や憶測を呼び、その様はある意味では犯罪ロマンとも呼べるかもしれません。また多くのフィクション作品にも登場し、小説や映画など様々なメディアで取り上げられています。
ゾディアック
『ゾディアック』は2007年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督
50年近く未解決となっているソディアック事件を元に、
ソディアック事件
ソディアック事件とは1968年から1974年にかけて起きた連続殺人事件。
犯人が「私はゾディアックだ」との文言を声明文の中で多用したことからこの名がつきました。
依然として捜査継続中の事件であり、現在に至るまで何人かの名前は浮上するも犯人の特定には至っていません。
ブラック・スキャンダル
『ブラック・スキャンダル』は2015年に公開された犯罪映画です。
監督はスコット・クーパー、主演はジョニー・デップが務めています。
ホワイティ・バルジャー
ホワイティ・バルジャー:本名はジェームズ・ジョセフ・バルジャー。ボストン生まれのギャングです。実弟は、元マサチューセッツ州上院議長ウィリアム・バルジャー。
また交友関係のあるFBIのジョン・コノリーに30年にわたって敵対組織であるパトリアルカ一家に関する情報を提供していました。その裏でFBIはバルジャーを野放しにしバルジャーはボストンの元裏社会のトップに上り詰めました。バルジャーとFBIのこの行為は一大スキャンダルとなりました。
2011年にカリフォルニア州で逮捕され、2018年10月29日に刑務所内で死亡しました。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は2002年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督、トム・ ハンクス、レオナルド・ディカプリオ共演の映画です。
実在する天才詐欺師だった、フランク・アバグネイルの詐欺師時代のお話。
なお、劇中でフランクの父を演じたクリストファー・ウォーケンは、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、英国アカデミー賞では助演男優賞を受賞しています。
フランク・W・アバグネイル・Jr
フランク・W・アバグネイル・Jrは1948年生まれ、ニューヨーク出身のセキュリティ・コンサルタント。
非常に若い時(16歳)から詐欺行為に手を染め、なおかつその手口も鮮やかだったことから、本映画以前からアメリカでは有名な人物でした。
パイロット・医師・弁護士などの職業に自分を偽り(弁護士資格は実際に取得)、不渡り小切手を26カ国で乱発するなどの犯行を重ねました。
ちなみに映画で登場したカール・ハンラティはフランクを追い詰め、かつサポートする人物として描かれましたが、実際は実在の人物ではなく、フランクにかかわった複数の捜査官(主に連邦捜査局捜査官のジョー・シア)をモデルにしているそうです。