【問題作】人種差別を描いた必見の社会派映画

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人種差別について

人種差別を描いたおすすめ映画

グリーンブック

『グリーンブック』は2019年に公開されたピーター・ファレリー監督の伝記映画です。
イタリア系の用心棒トニー・“リップ”・バレロンガと黒人の天才ピアニストドン・シャーリーの友情を描いた作品で、91回アカデミー賞では作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞しています。主演はヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリが努めています。

第91回アカデミー賞では作品賞をはじめ、3部門の受賞に輝いた「グリーンブック」ですが、この受賞については黒人映画監督のスパイク・リーや『ブラックパンサー』に主演したチャドウィック・ボーズマンなどから激しい批判を受けています。

他にもシャーリーの遺族から「この映画が伝説のピアニストと家族の関係について観客に誤解を与えるような解釈をしている」と抗議を受けていることも影響しているようです。

※ちなみにトニー・リップ側からは実の息子のニック・バレロンガが製作に加わるなど、最大級の協力を得ています。

フルートベール駅で

『フルートベール駅で』は2014年に公開されたライアン・クーグラー監督の長編デビュー作。
主演はマイケル・B・ジョーダンが務めています。2009年に起きた「オスカー・グラント三世射殺事件」を題材にアメリカに根強く残る人種差別、またオスカー・グラントの人間性にも深くスポットを当てた作品です。

丸腰の黒人男性が警察官に射殺される「オスカー・グラント三世射殺事件」という実話を映画化した作品。言葉が出てこない、圧倒される映画でした。アメリカに今も根強く人種差別が存在していることを実感させられます。

人種差別を描いた映画としてよくあるのは人種差別の歴史を描いた作品であり、その中でどう人が戦ってきたかという点が主要なテーマとなることも多いのですが、今作は黒人の青年であるオスカー・グラントの日常を淡々と描き出します。

人種差別問題を浮き彫りにするとともに、オスカーの人生を前向きに生きようとしていた姿勢は悲劇と対照的に美しく、かつその日常の人生は私たちと何ら変わらないということに強く惹かれます。

黒い司法 0%からの奇跡

『黒い司法 0%からの奇跡』は2020年に公開されたデスティン・ダニエル・クレットン監督のドラマ映画。主演は『フルートベール駅で』でも主演を務めたマイケル・B・ジョーダン。
今作は貧しい死刑囚のために弁護士活動を行う弁護士ブライアン・スティーヴンソンが2014年に発表したノンフィクション『黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪』を原作としています。

『黒い司法 0%からの奇跡』ではマイケル・B・ジョーダン演じるブライアン・スティーヴンソンが無実の死刑囚であるウォルター・マクミリオンの冤罪を晴らすために挑戦するさまが描かれます。

今作におけるウォルター・マクミリオンの冤罪は事実なのですが、恐ろしいのはこれが80年代に起きた事件だということ。アラバマ州は人種差別が最も激しかった場所の一つだとは言え、黒人が法の下での平等を勝ち取って20年余りたっていてもまだ司法までゆがめるほどの差別が残っているのかと愕然とします。

「現在も冤罪の可能性のある死刑囚の10人に1人しか釈放されていない」という衝撃的な事実。そしてその裏にが黒人をはじめとする特定の人種への根深い差別意識が横たわっています。

元アメリカ合衆国大統領のバラク・オバマも「2019年のベスト映画リスト」に本作を選出したことからも、重大な社会的メッセージと差別問題への気づき、そして感動を与えてくれる名作だと思います。

大統領の執事の涙

『大統領の執事の涙』は2013年に公開されたドラマ映画です。
監督はリー・ダニエルズ、主演はフォレスト・ウィテカーが務めています。

監督のリー・ダニエルズいわく、今作は「『フォレスト・ガンプ』の反論として撮った」そう。

名作映画の名高い『フォレスト・ガンプ』ですが、同作には同時代のアラバマに存在したはずの人種差別や公民権運動が描かれていないという批判の声もまた根強い作品です。

フェンス

『フェンス』は2016年に公開された伝記映画です。
監督と主演はデンゼル・ワシントンが務めています。原作はオーガスト・ウィルソンの同名の戯曲『Fences』。

今作の舞台は1957年。主人公のトロイはニグロリーグ(黒人だけの野球リーグ)で活躍した元野球選手。

圧倒的な成績を残しながらも、年齢のせいもありメジャーリーグには行けませんでしたが、トロイ本人はそれを受け入れず、黒人に対する人種差別ゆえと固く信じています。

トロイは言います。「ジャッキー・ロビンソンより俺の方が成績はよかった、あいつがメジャーに行けたのは白人にとって都合がよかったからだ」

(ジャッキー・ロビンソンは黒人初のメジャーリーガー。ジャッキー・ロビンソンについては後程紹介する『42 〜世界を変えた男〜』で取り上げています。)

アメリカン・ヒストリーX

『アメリカン・ヒストリーX』は1998年に公開された人種問題・ネオナチをテーマにした作品です。
監督はトニー・ケイ、主演は エドワード・ノートンが務めています。エドワード・ノートンは今作の演技によって アカデミー主演男優賞にノミネートされました。

自由と平等を標榜するアメリカですが、実際にまだ根強い人種差別や偏見が根付いていることを教えてくれる作品です。

デレクとダニーは白人至上主義者。彼らは移民や有色人種がそれまでの白人の仕事を奪っているという捉え方をします。実際に彼らの家庭は決して裕福ではありませんでした。

彼らはその答えを人種差別に求めるのです。

かつては『アメリカってまだ人種差別が存在するんだ』と感じて、それでよかったんですが、今、観直してみると、少なからず日本も似たような状態になってはいないか?と思うんですね。

デレクと仲間たちはアジア系のオーナーのスーパーを襲撃するのですが、果たしてそのシーンを私たちはどう感じるのか、心のどこかでデレクに共感してしまうのか、それともデレクに対する嫌悪なのか、心に問いかけてみて下さい。

1998年の作品ですが20年前の作品にもかかわらず、そのメッセージ性は今のこの時代だからこそ、より重要に感じられることでしょう。

42 〜世界を変えた男〜

『42 〜世界を変えた男〜』は黒人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの実話をもとにした映画です。野球映画としてはオープニングの成績の新記録を樹立。

アメリカを今なお覆う人種差別の問題ですが、この映画は戦後すぐのアメリカ社会が黒人にどういう対応をしていたかが垣間見れる作品となっています。

ドリーム

『ドリーム』は2016年公開のアメリカの伝記映画です。
監督はセオドア・メルフィ、主演はタラジ・P・ヘンソンが務めています

60年代のアメリカの有人宇宙飛行計画のマーキュリー計画をテーマに、NASAで働く黒人女性たちの活躍にスポットを当てています。

アメリカ初の有人宇宙飛行計画の成功に向けて働く彼女たちですが、そこにはまだ当時アメリカで根強く残っていた人種差別の問題が降りかかります。

前述のように、史実とは異なる部分も多分にありますが、それでも彼女たちの努力と功績が色あせることはありません。

しかり、こうした宇宙モノの映画だと、どうしても宇宙飛行士に焦点が当たりますが、その裏で奮闘するスタッフを称えた作品は稀有であり、また一つの真実を私たちに伝えてくれています。

キャサリン、ドロシー、メアリーの三人はそれぞれ人種差別に直面しながらも、努力と行動によってそれらを跳ね返した彼女たちの功績は、今なおNASAの歴史に刻まれています。

ホテル・ルワンダ

「ホテル・ルワンダ」は1994年に起きたルワンダ虐殺を扱った映画です。

虐殺の中で自らが勤務するホテルに家族や難民を秘密裏にかくまい、1200人を虐殺から救ったポール・ルセサバギナの実話をもとにした映画です。

「アフリカのシンドラー」とも呼ばれる彼の物語は正に感動のヒューマン・ドラマそのもの。

しかし、劇中でも語られていたように西欧諸国とほぼ利害のないルワンダの虐殺は介入はおろか虐殺行為との認定もなかなか行われず、その結果として100万を越える死者を出す結果となってしまいました。

映画自体は高い評価を受けたにも関わらず、そのテーマとルワンダという日本人にとって馴染みのない場所だったことによって当初は日本で劇場未公開だった今作。

ルワンダへの無関心は日本も例外ではないということです。

グローリー/明日への行進


『グローリー/明日への行進』は2014年に公開された伝記映画です。
監督はエイヴァ・デュヴァーネイ、主演はデヴィッド・オイェロウォが務めています。

本作は公民権運動をテーマにした作品であり、原題の「Selma」というタイトルからもわかるように、アラバマ州セルマからモンゴメリーの行進や血の日曜日事件を描いています。

アメリカの中でも黒人差別の激しい南部。その中でもアラバマ州はキング牧師が「人種差別において全米で最悪」とも評した地でもありました。

そんな地域で選挙権を求めてキング牧師は行動していきます。

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