今回は独特な世界観で脱力系コメディの代表ともいえる三木聡監督のオススメ作品をご紹介します!
脱力系コメディー!三木聡監督おすすめ映画特集
『亀は意外と速く泳ぐ』
2005年公開の三木聡監督作品です。上野樹里が『スウィング・ガールズ』でブレイクするかしないかの頃の作品だと思います。相変わらずのシュールな笑いが多い三木聡監督作品。
今回はスパイを題材にしています。
『転々』
元借金取りの福原と、借金を帳消しにしてもらう代わりに福原の散歩に付き合うことになった大学八年生の文哉。東京の路地やいろんな風景を巡りながら、霞が関で終える二人の『東京散歩』。
三木聡監督らしく、そこで出会う人々の方にも強烈なスポットが当てられます。
バスケが下手な黒人や、絵を描く人、愛玉子屋で暴れる息子、唐突に現れるギターを弾く男や、果ては一瞬だけ登場する三日月しずか(ドラマ『時効警察』でオダギリジョーと共演した麻生久美子の劇中の役柄 )に至るまで。。
決して爆笑ではなく、クスクス笑いなのですが、三木聡監督らしい、独特のゆるさが魅力的。。
「街で岸部一徳に会うといいことがある」というジンクスのとおり岸部一徳に遭遇した二人。
それを踏まえ、ラストで福原は文哉に問いかけます。
「なにかいいことはあったか?」
「俺は、、、あったかな」
はにかみながらそう答える文哉に観ている私たちの心も温かい気持ちになれているはずです。
『図鑑に載ってない虫』
2007年の三木聡監督作品です。伊勢谷友介、松尾スズキ、菊地凛子出演のロードムービーですね。
売れないルポライターの「俺(伊勢谷友介)」は月間黒い本の編集長によびだされ、友人のエンドー(松尾スズキ)、知り合ったサヨコ(菊地凛子)とともに「シニモドキ」と呼ばれる虫を探すハメに。
三木聡節炸裂!って感じの作品です。
ちりばめられた子ネタ、小道具の数々、なによりアウトサイダーにフォーカスした独特の目線。
出演者も岩松了、ふせえりなどのいつもの面々に加え、松重豊、森下能幸などの常連組、水野美紀や片桐はいり、笹野高史などの面々に加え、園子温に至るまでが出演。
『インスタント沼』
2009年の三木聡監督作品です。前作の『図鑑に載ってない虫』と『転々』を足して2で割ったかのような作品。
担当する雑誌が廃刊になり、会社をやめたジリ貧のOL、沈丁花ハナメ。
悪いことは続くもので、飼っていたウサギ(ゴンザブロー)は花嫁相手探しの途中で他のウサギに混じってわからなくなってしまうし、母親はカッパを捕まえにいって意識不明の重体になってしまう。。
そんな中、母親の昔の手紙が見つかり、秘密にされていたハナメの本当の父親の存在が明らかに。
期待半分に会いに行った父はインチキ骨董屋を営む、どこかヘンでどこか憎めない、変わり者だったー。
今作でもまともに働いている人は冒頭の出版社の人たちを除いてほとんどいません。
誰もが地図なき人生をロードムービーのようにあてなくただのんびりと漂っている、そんな印象を受けます。
そんな社会のレールを外れた人たちを三木聡監督はどの作品でも愛情をもって取り上げています。
『俺俺』
2013年の三木聡監督作。それまでの三木作品からすると異色とも言える内容です。
岩松了、ふせえりなどの常連組に加え、今回は亀梨和也が33役を熱演しています。
今作公開の2年前くらいの三木監督のドラマ『熱海の捜査官』も割とシリアスなものでした。
俺俺もどちらかといえばその系統の作品。『図鑑に載ってない虫』や『転々』など、大切なテーマをくだらないテイストのなかに上手く落とし込み、あくまで明るいエンターテイメントであったそれまでの三木聡作品とはうって変わった作品になりました。
『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』
主演に阿部サダヲと吉岡里穂を迎えて制作された2018年公開の作品です。
今回は音楽を題材にした作品で、声帯ドーピングで歌唱力を維持している歌手と、声が小さすぎるストリートミュージシャンの話です。
ギャグばかりでなく、毎回なにかしらのテーマがしっかりあるのが三木聡監督作品の魅力のひとつ。
今回はやらない理由ばかり探さないで、とにかくやってみろ!というのがテーマではないかと思います。
不安や心配、周りの評価を気にするあまり声の小さいストリートミュージシャンになってしまっていたふうか。そのちょっとネガティブな考え方は、ふうかをなにかと理由をつけて『行動できない自分』を正当化する人間にしてしまっていました。
しかし、このふうかのような人、実は結構いると思うんですよね。
三木聡監督もインタビューのなかで現代はコンプライアンスだらけ~と発言されていましたが、確かに何か大胆なことをしてしまうとあっというまに炎上してしまうこの時代。ふうかのような考え方が増えてしまってもおかしくないのかもしれません。
そんな、ふうかとは対称的な男、シン。
「テンションをあげろー!!」その声はふうかだけでなく、我々にも向けられたメッセージだと思います。