鬼才・リドリー・スコットが名作「羊たちの沈黙」の続編のメガホンをとった今作。
ハンニバル・レクター役のアンソニー・ホプキンスは続投したものの、クラリス・スターリングはジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアへ交代してます。
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「ハンニバル」のスタッフ・キャスト
監督
リドリー・スコット
脚本
デヴィッド・マメット
スティーヴン・ザイリアン
原作
トマス・ハリス
『ハンニバル』
製作
ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス
製作総指揮
ブランコ・ラスティグ
出演者
アンソニー・ホプキンス
ジュリアン・ムーア
ゲイリー・オールドマン
レイ・リオッタ
フランキー・R・フェイソン
ジャンカルロ・ジャンニーニ
「ハンニバル」のあらすじ
バッファロー・ビルの事件から10年、クラリス・スターリングはFBI捜査官として第一線で働いていた。
リッチモンドの麻薬捜査で陣頭指揮を執るが、応援の手違いから犯人グループと壮絶な打ち合いとなり、多数の犠牲者を出したことと、
クラリス自身、赤子を抱いた大手麻薬ディーラーのイヴェルダ・ドラムゴをやむなく射殺したことで、遺族に加えマスコミからもバッシングを浴び、窮地に立たされる。
しかし、その様子を知った大富豪メイスン・ヴァ―ジャーが司法省の役人・クレンドラ―を使ってクラリスをレクター捜査に復帰させようと画策する。
メイスン・ヴァ―ジャーはレクター博士の被害者で唯一生き残った大富豪だったのだが、博士に言いくるめられ、顔の皮を自らそぎ落とした挙句、犬に食わせ、
なおかつ脊椎損傷で自分自身では自由に動くこともままならない姿にさせられていた。
メイスンの目的はクラリスを囮にしてレクターを捕らえ、残酷な「私刑」で復讐することであった。
そんな中、レクター捜査に復帰したクラリスのもとに手紙が届く。
差出人はハンニバル・レクター。
レクター博士からの手紙であった。
感想・レビュー
原作は中学生のころに繰り返し読みました。映画もそのあたりで一度見てはいるんですが、今回15年ぶりくらいに見返してみています。
中学校の頃は正月でお茶の間のテレビで家族で観てた記憶が。。。
「正月に見る映画じゃないよね」って言葉がやけに耳に残っています。
サイコホラーからサスペンスへ
さて。
地下牢の湿って凶器に溢れた空間の支配する前作から、うってかわって舞台はアメリカの街中、イタリアにまで移り、作品のテイストもサイコホラーの側面が強かった前作からサスペンスへガラッと変わっています。
同じくリドリー・スコット監督の2012年の作品「悪の法則」で見せたようなトーンと質感。
原作で描写されたイタリアでの格調高くも滑らかな レクター博士の生活や風景の数々。その荘厳さ、美しさが味わえるのは映画ならではですね。
前作ではスケッチや言葉にとどまっていたレクター博士の趣味嗜好が今作では鮮やかに描かれます。
著作権の問題で映画内の画像貼れなかったので、代わりにフィレンツェの写真をどうぞ!
キャスト面ではクラリス・スターリング役がジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアへ交代してますね。
勝ち気で生真面目な訓練生からちょっとスレたような所もあるバリバリの捜査官ヘクラリスも成長しました。
当時はかなり違和感があったのですが、今見返してみると、なんていうのか、FBIで男社会の中で揉まれてたらそりゃー目つきも悪くなるし、どこかマッチョイズムにもなってこんな顔になることもありえなくはないなと感じましたね。
途中、森のなかを走り抜けるシーンは前作のオープニングと同じ。オマージュですね。
映画オリジナルのラストシーン
さて、今作のラストシーンは原作と全く違うものになっています。原作ではイタリアからアメリカに戻る途中の飛行機での1コマがラストシーンになっていますね。
原作では笑いどころでしたが、映画では不気味な余韻を残します。
ラストもクラリスとレクターが狂依存関係になる原作に対して、あくまでFBIとしての責任を果たそうとするクラリスに対して、親愛と自由の狭間で自分を犠牲にするレクター。
原作者のトマス・ハリスも映画版のこのエンディングに対しては「映画版の方が良い」と称賛を贈っています。
しかし、、、レクター博士、イタリアでの履歴書の写真は髭も蓄えていてまぁまぁ別人になれているのに、それ以外では指名手配の写真のまま(笑)
なぜ捕まらないのか逆に疑問でもあります(笑)。あんなにまんまなら世界中、、、例え日本にいても通報されそうです(笑)。
ちなみに映画とは逆に、アンソニー・ホプキンス自身はベジタリアンだそうです。