【ネタバレ レビュー】「バケモノの子」親子とは血とは何か?

バケモノの子 (スタンダード・エディション) [Blu-ray]

サマーウォーズから続く家族をテーマにした細田守監督のオリジナル長編の四作目。今回は父と子がテーマです。

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「バケモノの子」のスタッフ・キャスト

監督
細田守
脚本
細田守
原作
細田守
製作
齋藤優一郎
伊藤卓哉
千葉淳
川村元気
出演者
宮崎あおい
染谷将太
役所広司
広瀬すず
山路和弘
宮野真守
山口勝平
長塚圭史
麻生久美子
黒木華
諸星すみれ
大野百花
津川雅彦
リリー・フランキー
大泉洋

感想・レビュー(ネタバレあり)

3組の親子

今作に登場する親子は以下の3組

・熊徹と九太(=蓮)(擬似的な親子)

・九太の父と蓮(実の親子)

・猪王山と一郎彦

愛情の重さ

見てて思うのが愛情とはここまで重いのかと。。

この愛情というのを良い意味でとらえると九太を救おうとする熊徹の覚悟のようなもの、そして悪い意味では親に追い付こうとする、その思慕という愛情の強さのために劣等感という闇を抱えるのような、そんな親子にもなってしまいます。

ちょっと話は変わりますが、これ見るその少し前に『リーガル・ハイ』見てたんですよね。

天才子役が母親との共依存関係から抜け出すために、親権からの独立を訴える話だったんですが、なぜ親子が協力して共依存関係から抜け出そうとしないのかという問いに対して、子役の弁護を受け持つ弁護士のはこう答えます。『親子の愛情というのは離ればなれにせねばならないほど、重いからだ』と。

(ごめんなさい、こっからネタバレ)

なるほど、と思いました。今作でいうなら一太郎の親子が近いかな?

親の猪王山はそうではないにしても、一郎彦の親への憧れは相当なもの。その狂信的な愛情はやがて人間である自分への劣等、そして同じ人間である九太への敵意へ変わっていきます。

血より濃いもの?

今作『バケモノの子』でもよくあるような

血を分けた親

育ての親

の二つがあります。

よくあるのは結局血を分けた親のもとに還っていくというものですが、今作ではもちろんそういうことになるんですが、それもどこか消極的な理由。そして実の父親はあまり物語のなかで描写されないんですよね。

育ての親の熊徹を終始『不器用ながらも絶大なる愛情を与える親』として描きぬいているところが新鮮でした。

そして九十九神に転生してしまう熊徹の姿に、すいません、少し涙してしまいました(恥)。

と同時に九太の実の親にここまではできないでしょうから、やはり熊徹を親として描いて当たり前でもあるんです。

互いに反目しながらも少しずつ歩みより、いつしかお互い認め会う。

まるで少年マンガのようです。

キャスト陣が凄く良い!

すごくよかったです。宮崎あおいちゃんの少年ぶりや、リリー・フランキーさんの達観したような口振り、麻生久美子さんは母性そのもののような声でしたし、絶妙なキャストだったと思います。

なかでも役所広司さんには脱帽!

知的で穏やかそうな本人のイメージとは逆の役柄ですが、少し濁声も加えて、なんら違和感のない、熊徹そのものの声でした。

職業声優ではない、役者が声優を務めることに批判的な見方も存在しますが、僕は好きです。

逆に声優さんの方が声ですべてを表現しようとしてる感じの方もいて苦手に感じることが多いかな?

これも別記事で詳しく書きますね。

観終わって

切なくも希望のあるラスト。ハッピーエンドかな。僕はど根性カエルが思い浮かびましたが(笑)

全体を通してどこか既知感が随所にあったのは少し残念。

九太の成長シーンではライオンキングを思いだし、決闘シーンではもののけ姫を思いだし、熊徹が倒れるシーンではロッキー・ザ・ファイナルを思いだし。。

まぁ個人的なことだけれどもね(笑)

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