【ネタバレレビュー】「不能犯」人気サスペンスの実写化は果たして成功か?

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「不能犯」のスタッフ・キャスト

監督
白石晃士

脚本
山岡潤平
白石晃士

原作
『不能犯』(原作・宮月新 / 画・神崎裕也)

出演者
松坂桃李
沢尻エリカ
新田真剣佑
間宮祥太朗
テット・ワダ
菅谷哲也
岡崎紗絵
真野恵里菜
忍成修吾
水上剣星
水上京香
今野浩喜
堀田茜
芦名星
矢田亜希子
安田顕
小林稔侍

「不能犯」のあらすじ

都市伝説のように巷に流れる『電話ボックスの男』
とある電話ボックスに連絡先を書いておくと、黒いスーツの男に殺人を依頼できるという話。

捜査一課の女刑事・多田管轄でヤミ金融の経営者の男が突然亡くなる事件が起きる。

その死に様はスズメバチに刺されて亡くなったようだが、いかなる毒物も検出されない。

事件現場の防犯カメラに映った男は黒スーツの男。

その後のいくつもの殺人事件の現場の周辺でもその男が目撃されている。

多田はその黒スーツの男、宇相吹正(うそぶきただし)に任意同行を求め、署で話を聞くものの、全く証拠が出てこない。

彼の能力は例えばおもちゃのナイフを本物のナイフだと被害者に「思い込ませる」ことで殺人を犯すことができるもの。
しかし、それは通常、立件はできず、罪に問うことのできない「不能犯」と呼ばれる行為でしかない。

そしてその夜、取り調べに同席した夜目刑事までも亡くなる。

宇相吹は多田に「僕を止めたいなら僕を殺すしかない」と迫る。

正義とは?法とは?揺れ動く多田の前にあらなる事件の知らせが-。

感想・レビュー(ネタバレしまくります!)

原作のエピソードの中の4つくらいを小エピソードとして上手く盛り込んでましたね。ただやはり原作ファンとしてはそれぞれのオチがわかってしまうのが辛いところ。

大枠としては連続爆弾事件があって、宇相吹の事件の影でゆっくり進んでいく感じ。

映画オリジナルエピソードがないとなー。と思ってたのでこれは良かったです。原作のエピソードだけだと多分絵的に地味っていうのもあったのかな?

原作ファンとしては厳しくならざるを得ない。。

ですが、原作ファンとしてはところどころ惜しい点があって。。

まず最大は設定の変更。

不能犯に関しては以前にも書いたんですが、やはり多田刑事の設定の大幅な変更ですね。

映画版の沢尻エリカのキャラには合った、姉御肌で勝ち気でしっかりものの多田さんなのですが、原作の不器用ながらも純粋に正義を信じる多田の方が魅力的かな。

逆に多田刑事を女性にする必要性はあったのか。。全体に沢尻エリカの演技的な口調(声優っぽいとでも言えば近いかな?)も少し興ざめでした。

多田と宇相吹のラストについてはしっくりこない、物足りないなどを他のレビューサイトでみましたが、僕はこれでよかったと思います。

下手に殺されたりとかしたら宇相吹の超人感がなくなっちゃうもんなぁ。。

ただ、ラストの多田刑事の『希望でお前を殺す!』←この台詞はいかがなものかと。。

セリフは全体的に説明じみたセリフが多くて少し辟易しましたが、ラストのこの台詞は本当にいただけない

一見、キレイなセリフなんだけど、いみがわからないんだもん。

途端にセリフが薄っぺらくなってしまいます。

それと宇相吹もただの不気味君になっちゃいましたね。。

何を考えてるかはわからないけれども、独特のユーモアや愛嬌も持ち合わせているところが宇相吹の宇相吹らしさではなかったかと思いますが、二時間弱の映画ではもっと分かりやすいキャラの方が良かったのでしょうか?

なんか宇相吹だけあからさまに画的にもトーンが違っていたり、凄い廃ビルに住んでたりと演出過多ではないか?という気がしてきます。。

松坂桃李の演技はなかなかでした!

表情ひとつにしても、油断すると彼自信の幼さののこる表情も垣間見えてしまうだろうと思うのですが、そこをしっかり抑え込んでいましたね。

ただ、そのせいで少し、演技が一本調子かな?とは思いましたが、宇相吹をよく演じていたと思います。

客に原作以上によかったのは安田顕さん!

最初はなぜ安田顕さんがこんな地味な役どころなのか?と思ってましたが、見せ場きちんとありましたね。地味な風貌ながら、内に秘めた憎しみというか、そういうのが出ていて、改めていろんな表情のある役者さんだなと。

漫画の実写化が一番難しいと思います。

はい。そうなんです。実写化するために叩かれる、、。もはや各実写化映画の製作委員会はドMなのではないか?と思うほどに。

小説だと文字の表現で各々が頭にイメージを描いていくことになります。

その分、映像としての解釈に差があったとしても、『そういう想像をしてたんだ、この監督さん』って解釈の幅の分だけ相手を許しやすいと思うんです。

これが漫画だと、例えば各キャラクターはすでに絵にしてあり、外見をどう解釈するかはあまり解釈の余裕がありません。

構図もそう。テンポはコマ割りとその大きさで、おのずと固まってきます。
それを再現するのは並大抵ではなく、他のメディアに比べて漫画の実写化は大変だろうなと感じますね。

悪役からアンチヒーローへ

クライマックスで連続爆弾魔に囚われた窮地の多田刑事の前に表れた宇相吹。

身動きのとれない多田刑事の代わりに爆弾魔と戦う宇相吹はこのときから多田の悪役ではなく、ヒーローとしての面を前面に出しています。

このシーンは原作にはなく、今回の映画で一番魅力的だった場面。

ここだけはホラー映画の『リング』みたいにねちっこい演出でもよかったかな?

『目』のあたりね。

最後に

原作と比べてしまうと色々な意見が出てしまう作品ですが、逆に予備知識がなければそれなりに楽しめる作品ではないでしょうか?

続編はわからないですが、あるとすれば今回の映画で描ききれなかった分を深く掘り下げて欲しいなと思います。




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