【感想 レビュー】「第9地区」ニール・ブロムカンプの長編デビュー作

第9地区 [Blu-ray]

2009年のニール・ブロムカンプ監督の長編映画デビュー作品。
地球に亡命してきた宇宙人と彼らを強制移住させようとする人間の職員の話。
SF映画ではありますが、ストーリーはアパルトヘイト時代に起きたケープタウン第6地区からの強制移住政策を題材にしています。

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「第9地区」のスタッフ・キャスト

監督
ニール・ブロムカンプ

脚本
ニール・ブロムカンプ
テリー・タッチェル

製作
ピーター・ジャクソン
キャロリン・カニンガム

製作総指揮
ケン・カミンズ
ビル・ブロック

出演者
シャールト・コプリー
デヴィッド・ジェームズ
ジェイソン・コープ
ヴァネッサ・ハイウッド

「第9地区」のあらすじ

1982年突然ヨハネスブルグの空にUFOが出現する。未知との生命体との出現に沸き立つ人類だが、何の動きもないままであった。人間側の調査隊が宇宙船の中を覗いてみると、死亡した支配層のエイリアンと宇宙船の故障によって難民となった多くのエイリアンだった。
地上に降り、超国家機関MNUの監視のもと、ヨハネスブルク内の隔離地区である「第9地区」で暮らすことになったエイリアンたちだが、人間側の住人との小競り合いが絶えない状態でもあった。
28年後の2010年、彼らを専用の居住地区、「第10地区」へ移住させることが決まる。
MNU職員のヴィカスは、立ち退き要請の同意を得るため第9地区を訪れ中は強制的に立ち退かせ家宅捜索のようなことまで行っていく。そんな中、とあるエイリアンの自宅でスプレー缶の形をした何かを見つける。それをいじっていたところ、ヴィカスは黒い霧のような液体を浴びてしまう。ヴィカスの体は液体の影響で徐々にエイリアンの身体に変化していく。

「第9地区」の感想・レビュー

ニール・ブロムカンプのデビュー作

はい、ニール・ブロムカンプの長編デビュー作となった今作。全編にわたってドキュメンタリータッチの作品となっています。台詞もすべてアドリブだそう。

最初はエイリアンに対してすごく高圧的な態度だったヴィカスがだんだん心情を変化させ、そこまで悪くない人間になっていくとか、少し希望を残したロマンティックな結末だとか、とにかく一般的な評価の高い作品です。低予算で作製された映画ですが、満足度は高いと思います。

全体的に暗い。。。

ただ、僕はあまり見ない作品なんですね。DVDも持ってるんだけど。。

なぜかというと全体的にストーリーが暗いのと、ヴィカス、確かにいい人にはなっていくんですが、終盤になってもどこか身勝手さを捨てられない、その人間性があまり好きになれないから。

ジョージ・A・ロメロの映画『ゾンビ』は人種差別への抵抗が根底にあった映画と言われていますが、こちらもアパルトヘイトをそのモチーフにしています。

序盤では人間の方が横暴でエイリアンがなんだかいたたまれない気分になるんですよね。。

一見、エイリアンの方が高度な科学力を持っていてもブレインとなる支配層がいないためにエイリアンが非力なまま、自治を獲得することもできずに地球側の超国家組織に監視させられている哀れさ、それをかさにかけて暴力も辞さず強制的に物事を推し進める人間の醜悪さ。

なので、僕はあまり見ない作品なんですね。DVDも持ってるんだけど。。

なにより人間が一番恐ろしい

南アフリカを舞台にしているからなのか、エイリアンを信仰するオカルトチックなギャングもいて、その『野蛮さ』と国家機構がそれほど発達していない『無秩序』の怖さもたまらない、独特のものがあります。

徐々にエイリアン化していくヴィカスですが、まずそして、ギャングが彼を『特異なもの』として人間としては見なさず、あたかも『珍種』のようにモノのように捉えています。
ちなみに「第9地区」には続編の構想があることをニール・ブロムカンプが公言していまして、頓挫した「エイリアン5」の企画の代わりにこちらの製作が決定するかもという話もあります。

3年という約束の果てがどうなるのか、当初より続編を強く意識させるラストであっただけに、実現が望まれます。



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