「ブレイブ」は1994年に制作されたジョニー・デップの初の監督作品。カンヌ国際映画祭ではパルムドールにノミネートされていましたが、アメリカでは批評家の評価が低かったため劇場公開されていません。日本では1998年3月公開。
自身もチェロキー族の血を引くジョニー・デップが、命の取引を通じてインディアンの苦しい生活を切なく描いています。
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「ブレイブ」のスタッフ・キャスト
監督
ジョニー・デップ
脚本
ジョニー・デップ
ポール・マクカドン
D・P・デップ
製作
チャールズ・エヴァンス・Jr.
キャロル・ケンプ
製作総指揮
ジェレミー・トーマス
音楽
イギー・ポップ
撮影
ヴィルコ・フィラチ
編集
パスクァーレ・ブバ
出演者
ジョニー・デップ
エルピディア・カリーロ
マーロン・ブランド
「ブレイブ」のあらすじ
アメリカ。インディアンの暮らす地域。インディアンの青年ラファエルは母親や子供たちの面倒を見ながら貧しい暮らしを余儀なくされていた。
そんな中、高額な出演料と引き換えに「スナッフ・フィルム」に出演しないかと声をかけられる。
「スナッフ・フィルム」とは実際の殺人を記録した動画のこと。
ラファエルが拷問され、苦しみながら死んでいく姿を撮りたいのだと言われる。
困惑するラファエルだが、命を捨てても家族のためにお金が必要と考え、出演を決める。
撮影の日は一週間後。
残された時間をラファエルは家族のために使おうとするが・・・
評価・レビュー
インディアン社会の問題点を写し出した切なさ
切ないですね。。。自身もインディアンの地を引いており、タトゥーにもネイティブ・アメリカンの影響を見てとれるジョニー・デップ。
インディアン社会の問題点を写し出す手段にスナッフ・フィルムを用いたのはいかにもジョニー・デップらしい気さえします。
ジョニー・デップ演じるラファエルに撮影依頼と大金を与えるのはマーロン・ブラント。
デップ同様、インディアンの問題に関心の強かったマーロン・ブラント、なんと今作には無償で出演しています。
※マーロン・ブラントは少ない出演時間で莫大なギャラをもらう俳優として有名でした。
さて、インディアン(ネイティブ・アメリカン)社会の大きな問題は貧困だと言われています。
ブレイブはインディアン(ネイティブ・アメリカン)の影の側面に大きくクローズアップした作品でもあります。
高い失業率とアルコールの問題。
ジョニー・デップ演じるラファエルも職にあぶれ、家族を養うためにこの仕事を契約するという経緯があります。
命の価値の不平等さ
マーロン・ブランド演じるがスナッフ・フィルムを作成する目的は娯楽のため。
つまり究極を言ってしまえばあってもなくても命には関わらないもの。
ラファエルはそのために命を落とす。これだけとっても、生まれた場所や環境で命の価値が変わってしまうのはやはり事実なのだと思わざるを得ません。
ブレイブはカンヌ映画祭で高い評価を得た作品でもありますが、アメリカでは批評家からはあまりよい評判は得られませんでした。
そのためにジョニー・デップはアメリカでの劇場公開を見送ったというエピソードもあります。
前述の命の不平等さ。今作では白人によるインディアンへの命の搾取という見方もできそうです。
そうなるとやはりアメリカで支持を得られなかったのも理解はできる気がします。
アメリカの歴史を紐解くと、建国以来、開拓の名の元に先住民族を虐殺し、彼らの土地を奪ってきた事実があります。
今でこそ、この映画はアメリカ建国以来の歴史と今の現状を端的に表現しているように思えるのです。