えらいもん観てしまった。。映画開始5分後の僕の率直な感想です。
ゴジラシリーズの中でも社会派の作品とは聞いていたのですが、それと並んで『カルト映画』でもあるらしいとは聞いてたんですよね。
冒頭から正に!といった作風でした。
あーびっくりした。
河川を埋め尽くすヘドロの圧倒的なビジュアル(※)。社会の教科書では公害問題ももちろん習うんですが、その真っ只中に作られた作品ということで当時の公害問題をよりリアルに知ることができます。
※どうやらセット撮影だったみたい。
ちなみに公開年は1971年。公害問題だけでなくサイケデリックな作風でもあります。
冒頭の歌のシーンからしてそうだし。。
とりあえずいつものごとくスタッフ・キャスト紹介しますね。
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「ゴジラ対ヘドラ」のスタッフ・キャスト
監督
坂野義光
脚本
馬淵薫
坂野義光
製作
田中友幸
出演者
山内明
川瀬裕之
木村俊恵
麻里圭子
柴本俊夫
感想・レビュー
ゴジラの名前を盾に好きなことやったといわんばかりの作風と、低予算ゆえのチープさで、ゴジラというメインストリームのコンテンツであるにも関わらず、カルト映画の名前を頂いたりしてます。
特徴的な伊良部音楽は今回は登場しません。
その代わり、公害原因物質をポップなメロディで覚えられる『太陽を返せ!』という怪作が流れます。
この曲と肩を並べるのはクイーンズ・オブ・ザ・ストーンエイジくらいですかね。。(Queens of the stone age の『Feel Good Hit of Summer』←この曲はサビの歌詞が全てドラッグの名前で構成されている。)
さて、カルト映画にはカルト映画なりの理由があるわけで、ホントにゴジラの名を借りてめちゃくちゃやってます。
製作陣が『これでどうやってゴジラを撮れというのか』と思うほどの低予算というのもあるのでしょう。
ストーリーの説明をなぜかアニメーションで処理したり、いきなりサイケデリックなクラブのシーンになったり、映像のコラージュかとおぼしき場面がチラホラ。
クラブのシーンはあれは子供たちのトラウマだったのではないでしょうか?
個人的には100万人ゴーゴーのシーンはあれ、要らなかったんじゃないかな?と思います。行動原理がわけがわからんよ(笑)
チープなところを挙げればきりがないのでそこは割愛します。
さて。このゴジラ対ヘドラについて避けてとおれないのは、この映画が第一作目のゴジラ以来の社会問題を取り扱った作品だということ。
第一作目のゴジラは原爆の恐怖を象徴した怪獣でもありました。今回は恐怖を公害に置き換え、それをヘドラという怪獣に体現させています。
ここまでゴジラを苦しめた怪獣はいないのではないでしょうか?
ゴジラの腕を白骨化させ、左目を潰す。。
最後は内蔵の一つ一つまでをゴジラに掴み出され、それら全てを焼かれて初めて死ぬという描写がなされました。
うーん、なかなか死なないんですよ、ヘドラ。
ターミネーターのt-1000みたいに、どんなにバラバラになっても再生するんです。
人間に対してもそれまでゴジラ映画における人間(大衆)の動きは、怪獣に対してただ逃げ惑うだけだったのですが、今回のヘドラはそんな人々を硫酸ミストで骨にしてしまうんです。
公害の恐ろしさを伝えようとする気持ちだけは恐ろしいほど伝わります。
やはり、その意味では惜しいのはチープさ。
いつか、潤沢な予算で撮られた、ホラー映画のようなゴジラ対ヘドラを観てみたい、そう思った映画でした。
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